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こちらは2025年12月15日配信されたセミナーレポートをベースに内容を一部編集させて頂いた記事です。
救急出動件数が過去最多を更新し続ける中、病院の救急受け入れ体制の強化と経営課題(資金難・人手不足)の解決が急務となっている
クラウドファンディングは単なる資金集めではなく、地域のファン獲得や職員のモチベーション向上をもたらす強力なマネジメント手法になり得る
動画本編では、救急医ゼロから受入台数を倍増(約5,000台)させ、3,400万円超の調達に成功した具体的な「タスクシフト術」や「地域巻き込みの営業ステップ」を公開
「救急の受け入れを強化したいが、人手も予算も足りない」「地域との連携を深めたいが、何から手をつければいいのか分からない」——そんな悩みを抱える急性期病院の院長や事務長は多いのではないでしょうか。
本記事では、北里大学メディカルセンター救急科副部長の田村智先生をお招きし、「病院単体ではなく社会と勝つ!」をテーマに開催されたセミナーの要点をお届けします。救急医ゼロ、老朽化した設備、厳しい経営状況といった逆境から、いかにして地域社会を巻き込み、組織を再建させたのか。そのエッセンスを解説します。
結論: 救急搬送件数が過去最高を記録して現場の負担が増大する一方で、病院側は「働き方改革への対応」と「設備投資の資金難」という板挟みに直面しています。
解説: 総務省消防庁のデータによると、救急自動車による出動件数は年々増加の一途を辿り、近年では年間700万件を突破し過去最多を更新しています。特に高齢者や独居者の搬送割合が高く、救急隊の現場滞在時間や医療機関への照会回数の増加が深刻な社会課題となっています。
こうしたニーズに応えるため、病院側も救急受け入れ体制を強化したいものの、2024年からの医師の働き方改革に伴う労働時間制限や人材不足が壁となっています。さらに、物価高騰などによる病院経営の悪化も重なり、老朽化した救急車や高額な医療機器の更新費用を捻出することが極めて困難な状況にあります。日々の診療報酬や通常の医業収益だけで、地域が求めるインフラ投資を賄いきれないのが現代の急性期病院のリアルな実態です。
結論: 医業収入外の資金調達ができるだけでなく、地域住民からの認知向上(広報効果)や、職員のモチベーションアップという組織マネジメント上の恩恵が受けられます。
解説: 近年、医療・福祉領域でクラウドファンディングを実施する法人が急増しています。一般的な市場調査でも、プロジェクトを実施した病院の約80%が「病院の取り組みを発信(広報・PR)できた」、約70%が「職員のモチベーションアップに繋がった」と回答しており、その価値はお金だけにとどまりません。
本セミナーでも強調された通り、クラウドファンディングの最大の目的は「病院の活動や思いを地域に知ってもらい、ファンを作ること」です。北里大学メディカルセンターの事例では、21年間使用しボロボロになった救急車の更新をテーマに掲げました。これをフックにして地域住民や地元企業と直接コミュニケーションを図ることで、最終的に目標額の2,300万円を大きく上回る、3,400万円以上の支援を集めることに成功しています。
結論: 「お金を集めること」自体をゴールにしてしまい、ストーリーや実績(行動)が伴わず、地域からの共感を得られないことです。
解説: クラウドファンディングにおいて多くの病院が陥りやすいのは、Webサイトにプロジェクトページを立ち上げただけで満足し、「誰かが支援してくれるだろう」と受け身になってしまうことです。
セミナー内で田村先生が指摘しているように、地域を動かすには「ストーリー」と「実績」の両輪が不可欠です。「経営が苦しいから助けてほしい」というメッセージではなく、「地域医療を守り、この街の未来をこう変えたい」という大義名分が必要です。さらに、それを口先だけでなく、日々の診療や救急受け入れといった「実績」で証明しなければなりません。自ら地域へ足を運び、理解を求める泥臭いアクションが欠落していると、人々の共感を呼ぶことはできず、資金調達は失敗に終わってしまいます。
結論: 院内でのタスクシフトを徹底して機動力を高めつつ、自ら地域社会(商工会や行政など)へ飛び込み、双方向の連携ネットワークを構築することです。
解説: 病院単体で解決できる課題には限界があります。本事例では、ドクターズプライムを活用した外部医師の確保や、2021年の法改正で院内での活動範囲が拡大した「救急救命士」の積極採用により、医師や看護師のタスクシフトを強力に推進しました。
そうして院内に余力を生み出した上で、地域の消防の負担を減らすための「お迎え搬送」を実施し、さらには商工会へ加入して地元企業や市長へ直接アプローチを行うなど、病院の壁を越えた連携を実現しています。 しかし、この一連の改革をどのように進め、院内の反発や人手不足をどう乗り越えたのでしょうか? また、全く接点のなかった地域の商工会や企業から、いかにして寄付を集める具体的な営業活動に落とし込んだのか……。
詳細は動画で詳しく解説していますが、重要な鍵は「トップの覚悟と、現場を巻き込む泥臭いプロセス」にあります。
本記事では、過去最高となる救急ニーズの現状と、地域を巻き込むクラウドファンディングの意義について解説しました。資金調達の枠を超え、組織の活性化や地域社会との強い絆を生み出すアプローチは、多くの急性期病院にとって大きなヒントになるはずです。
より具体的な「救急救命士の効果的な採用・配置方法」や、受入台数を2,500台から約5,000台へ倍増させた「他院の成功事例(Before/After)」の詳細は、以下のセミナー見逃し配信ページで公開しています。ぜひご覧いただき、貴院の経営改善・組織マネジメントにお役立てください。
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登壇者紹介
北里大学メディカルセンター 救急科副部長 田村智 先生
東京大学理学部と新潟大学医学部を卒業という経歴を持ち、「理学」と「医学」のバックグラウンドを併せ持つ。脳神経外科医として新潟大学医歯学総合病院、山形県立中央病院、秋田赤十字病院で勤務。その後、北里大学病院にて救命救急の現場に従事。現在は、脳神経外科・救急科・脳血管内治療のトリプル専門医として活躍されています。脳卒中から救急医療まで、幅広い視野と医学博士の知見を併せ持つスペシャリストです。
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ



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