更新日:
2026/7/10

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地域の医療を支える病院の経営と、次世代を担う医師の育成。一見異なる二つの課題は、実は密接に結びついています。
本記事では、志摩市民病院の院長として経営再建に尽力される江角悠太先生のお話から、これからの医療現場に求められる「教育のあり方」と「リーダー育成」のヒントを探ります。
江角先生が考える医師教育のコアは、非常にシンプルでありながら本質的な「医師であれ」という言葉に集約されます。
これは、世のため人のために自分の健康を顧みず尽くすという先人たちの教えです。現代の働き方改革の潮流の中では教えることが難しい概念になりつつありますが、これからの医師には「病気を治す、命を延ばす」ことだけでなく、治らない病気や老衰を抱える患者の残された人生をどう支えるかという視点が強く求められます。
志摩市民病院では、指導医が手取り足取り教えるのではなく、「患者から教えてもらえるセッティング」を重視しています。実習に来る学生に対しては、以下の姿勢を求めています。
「学習者」ではなく「実践者」として臨む 受け身でお客様扱いされるのではなく、能動的に現場に関わることが求められます。
患者の「幸せ」に責任を持つ 受け持った患者がどうすれば豊かになるのかを考え、病院職員や地域住民、他職種、さらには外部の資源もすべて活用して実践します。
このような能動的な関わりを通じて、学生は「医療の真の意義」を肌で学ぶことができます。また、医師だけでなく全職員や地域全体で学生を育てる意識を持つことで、指導医1人あたりの負担を最小限に抑えつつ、多職種連携の重要性を自然に伝えることにも成功しています。
一般的に僻地での医師採用は困難を極めますが、志摩市民病院では実習に訪れた医学生が再び戻ってくる「好循環」が生まれています。その理由は大きく2つあります。
地域住民との深い交流による「縁と愛着」 「医師」としてではなく「学生」として地域に入ることで、住民から大いに可愛がられます。お祭りに参加したり、住民の家に泊まったりといった交流を通じて、地域への強い愛着が育まれます。
病院側の「見返りを求めないサポート」 病院側は、将来の就職を強く迫ることはしません。学生の進路を第一に考え、ただひたすらに学生のために尽くします。「恩を返す」という双方向の温かい関係性が、結果としてUターンという形で実を結んでいるのです。
現在、全国の多くの地方病院が「リーダー不在」による経営危機に直面しています。この課題を解決するため、志摩市民病院では「病院長養成プログラム」を立ち上げました。
OJTによる徹底した実践 院長や副院長といった役職に就き、実際の病院運営(安全管理、感染対策、経営、人事など)の意思決定に携わります。権限と責任を持った状態で実践することが、リーダー育成の最大の鍵となります。
座学と振り返りの反復 月に1度の振り返りや経営会議を通じて、実践と理論を紐づけます。
このプログラムを通じて、数年後には他の危機に瀕した病院を立て直すことができる、真の病院経営者を輩出することを目指しています。
まとめ 江角先生の取り組みは、医師不足や病院経営に悩む多くの地域にとって大きな希望となります。「見返りを求めない利他の教育」こそが、人を育て、地域を愛する医療者を呼び込み、結果的に病院を救う好循環を生み出しているのです。
登壇者紹介
志摩市民病院 江角悠太先生
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ



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