更新日:
2026/7/10

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高齢化に伴い、救急車を使わずに来院する「ウォークイン救急」が急増しています。一般外来の混乱を招き、医療従事者の疲弊につながるこの問題を、いかにして病院の「収益の柱」へと転換していくべきか。日本医療伝道会衣笠病院グループ理事の武藤正樹先生の解説をもとに、その実態と具体的なオペレーション改革についてご紹介します。
ウォークイン救急とは、救急車ではなく、徒歩や自家用車で一般外来を受診する救急患者のことです。特に高齢者に多く、週末明けの月曜日や、週末前の金曜日に駆け込んでくるケースが目立ちます。
高齢者のウォークイン救急には、以下のような特徴があります。
高い入院率:全体の25%〜35%(約3人に1人)が入院を必要とします。
主な疾患:高度の脱水、感染症(無熱性肺炎など)、心不全の増悪が多く見られます。
帰宅困難:独居や老老介護、認知症などの背景から、医学的には軽症でも「外来フォローができない(家に帰せない)」ために即入院となるケースが多々あります。
このような患者が一般外来に飛び込んでくると、本来の予約患者の診察が遅れ、クレームにつながるだけでなく、隠れた重症患者を見逃すリスクも高まります。
一般外来を圧迫するウォークイン救急ですが、視点を変えれば大きな収益機会となります。
実は、ウォークイン救急患者の約半数は、「救急医療管理加算」が算定できる重症患者です。意識障害や吐血、広範囲な脳梗塞など、本来であれば救急車で搬送されるべき状態の患者が、家族に連れられて一般外来を受診しているのです。
需要が多いこれらの患者を適切に受け入れ、入院へとつなげることができれば、外来診療の何倍もの収益をもたらす柱となります。そのためには、従来の「一般外来の片手間」での対応をやめ、専門のオペレーションを構築する必要があります。
ウォークイン救急を安全かつ効率的に受け入れ、収益を最大化するためには、以下の3つの段階での仕組み化が不可欠です。
一般外来でのトリアージ体制を構築します。医師任せにするのではなく、看護師が中心となってチェックシートを活用し、バイタルサインの測定だけでなく、認知機能や服薬状況、家庭環境(独居かどうかなど)を即時に確認します。特に85歳以上で頻度の高い隠れ脱水や肺炎を重点的にチェックし、必要に応じて迅速に検査へ回す仕組みが必要です。
「外来担当医」と「入院担当医」の役割を明確に分離します。外来担当医が診察から入院手配まですべてを行うと外来がストップしてしまうため、外来担当医は初期診断までを行い、入院が必要と判断した段階で入院担当の医師(病棟医など)に引き継ぐフローを確立します。これにより、外来の停滞を防ぎます。
高齢者の場合、「家には帰れない」というケースが頻発します。この転院先の選定や家族への説明といった業務を外来担当医が行うことは不可能です。地域連携室などの専門部署がこれらの出口戦略を担い、医師は医療行為に専念できる環境を整えます。
近年の診療報酬改定でも、時間外や休日の救急医療管理料が手厚く評価される傾向にあります。これは、国もウォークイン救急を含む救急医療の適切な評価を進めている証拠です。
ウォークイン患者の中に潜む重症患者を見逃さず、確実に入院と加算算定につなげること。そして、医療従事者が疲弊しないオペレーションを構築することが、これからの病院経営において極めて重要です。
登壇者紹介
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事 よこすか地域包括ケア推進センター長 武藤正樹先生
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ



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