更新日:
2026/7/10

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今回は、藤田医科大学 岡崎医療センター 助教の瀬川 悠史 先生をお招きし、「入院件数増とER滞在時間18分短縮を両立した裏側 〜ER看護師が主導する業務効率化〜」をテーマにお話を伺いました。
岡崎医療センターは、開院して間もない病院でありながら地域の救急患者を広く受け入れてきました。しかし、年々増加する救急車搬送台数(年間約8,000台近く)に対し、ERのキャパシティは限界に達していました。
当院のERは、病床数に対して初療室が3室しかないという物理的な制約を抱えています。さらに人員も決して潤沢とは言えず、限られたスペースとスタッフ数で、いかに安全かつ効率よく回すかが急務となっていました。
限られた人員とスペースで最大限のパフォーマンスを発揮するため、ER看護師が中心となり、徹底的な業務効率化に取り組みました。
スタッフが物品を取りに行く「無駄な移動時間」を削減するため、配置を根本から見直しました。
血液培養セットの作成: 頻繁に行われる血液培養検査に必要な物品を1つの袋にまとめ、清潔操作に必要な手袋と共にすぐ手に取れる位置に配置しました。
松葉杖などの常備: 以前は整形外科の外来まで取りに行っていた松葉杖などをER内に常備するようにしました。
案内表示の工夫: トイレの場所など、患者さんからよく聞かれる質問に対しては、遠くからでも見える大きな案内表示を設置し、業務が中断されるのを防ぎました。
医師や看護師が常にERの全体状況を把握できるよう、情報の集約ポイントを作りました。
以前は壁際にあった大型モニターを、フロアの中央に移動させました。
これにより、スタッフ全員がどこからでも即座に患者の状況や全体の進捗を確認できるようになり、情報伝達のための無駄な歩行や確認作業が削減されました。
ER内だけでなく、他部門との情報共有も効率化しました。
3次専用電話の設置: 重症患者の受け入れ要請が鳴る電話を別に設け、着信音の時点で即座に重症度を察知し、受け入れ準備を前倒しで行えるようにしました。
病棟へのモニター設置: HCU(高度治療室)にERの患者一覧モニターを設置しました。病棟側からERの混雑状況や入院予定患者の情報を事前に把握できるようにし、電話での申し送り時間を大幅に短縮しました。
これらの「情報を探す時間」や「移動する時間」を削る取り組みにより、ERの滞在時間は平均して約18分短縮されました。その結果、ERの回転率が上がり、より多くの救急患者(入院件数)を受け入れることが可能になりました。
また、看護師を対象としたアンケートでも、「業務がスムーズになった」「情報共有がしやすくなった」と高い評価を得ており、多忙なERにおける業務負担の軽減とやりがいの向上につながっています。
高額な医療機器を新しく購入しなくても、今あるものの「配置」や「情報共有の仕組み」を少し見直すだけで、大きな業務効率化が可能です。現場の看護師の視点を取り入れた小さな改善の積み重ねが、ER全体のパフォーマンス向上に繋がった成功事例と言えます。
登壇者紹介
藤田医科大学 岡崎医療センター 助教 瀬川悠史 先生
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ



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