更新日:
2026/7/15

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地域の中核を担う救急外来(ER)において、救急車の搬送台数が増加し続ける一方で、限られた物理的スペースや人員不足により、現場の疲弊と受け入れの限界(不応需)が生じているという深刻な課題があります。
「モノの配置の最適化」による業務中断の排除と、「情報の集約・シームレスな共有」によるコミュニケーションロスの削減を軸に、ER内の無駄な動線を徹底的に見直しました。
限られた人員とスペースという厳しい条件下であっても、事前準備と情報共有の仕組みを工夫することで、ER滞在時間を短縮させながら入院受け入れ件数を増加させる、実践的な業務効率化のノウハウを学ぶことができます。
セミナー動画本編では、実際のERのレイアウト図や情報共有モニターの活用画面、そして改革を通じた看護師のやりがいや意識変化を示す具体的なアンケート結果をご覧いただけます。
人員や設備を急激に増やすことが難しい医療現場において、今あるリソースでいかに最大のパフォーマンスを発揮するか。本記事では、その具体的な改善ステップをご紹介します。
救急搬送数が増加する一方で、初療室の数や専門スタッフの人数が限られていると、現場のキャパシティは容易に限界を迎え、安全な医療提供が困難になります。
紹介されている岡崎医療センターでは、年間約8000台の救急車を受け入れていましたが、初療室は3つのみ、病床数も400床と決して大規模な設備ではありませんでした。さらに、人員も潤沢ではなく、他部署からの応援スタッフを交えてギリギリの人数で回している状況でした。その結果、対応の遅れやスタッフの疲弊が生じ、一時的に救急車の受け入れ件数が前年割れを起こすなど、物理的・人的な限界を迎えていました。
必要な物品をセット化し、最適な場所に配置することで、スタッフの「モノを探す・取りに行く」という無駄な動線と業務の中断を防ぐことができます。
スムーズな医療提供は「ラーメン屋の事前準備」に似ています。例えば、使用頻度の高い血液培養のセットはすぐに使用できるようひとまとめにして配置し、一般外来にあった松葉杖などもER内に常備するように変更しました。これにより、看護師が物品を取りに持ち場を離れる10〜15分の空白時間を削減し、最少人数でも滞りなく対応できるオペレーションを実現しました。些細な工夫に見えますが、忙しい現場においてはこの「事前準備」が極めて重要視されます。
スタッフの居場所が離れていたり、情報が複数箇所に点在していたりすると、確認のための移動や会話の手間が生じ、業務の大きなボトルネックとなります。
以前の環境では、患者さんの情報(お薬手帳や書類など)がERの端のホワイトボードで管理され、医師の待機場所もそこから離れていました。そのため、情報を確認したり相談したりするたびに、看護師が業務を中断して医師の元へ歩いていく必要がありました。また、「トイレはどこですか?」といった患者さんからの質問に対応するだけでもスタッフの作業が止まってしまうため、視認性の高い案内札を設置するなど、業務中断を招くあらゆる要因を排除する必要がありました。
情報を中央に集約し、さらに他部門や病棟ともリアルタイムで画面共有を行うことで、無駄な連絡業務を極限まで削減し、病院全体でのスムーズな受け入れ体制を構築します。
具体的なアクションプランとして、以下のステップで情報共有の仕組みを改善しました。
ER内の情報を中央に集約 ホワイトボードや全体把握用のモニターをERの中央に移動。医師と看護師が常に同じ情報を一覧できるようにし、進捗状況をひと目で把握できるレイアウトに変更しました。
他部門・病棟とのリアルタイム連携 放射線科や入院病棟にもERの状況がわかるモニターを設置し、「入院になりそう」といった進捗を色別(緑色など)で可視化。これにより、病棟側はERからの電話を待たずに事前準備を進めることが可能になりました。
電話連絡の負担軽減と効率化 モニターで情報を共有しているため、申し送りの電話をする際も「画面にある〇〇さんですね」と双方が同じ情報を見ながら短時間で会話できるようになりました。さらに、3次救急(重症)専用の直通電話を新設し、着信音が鳴った瞬間に重症患者の受け入れ準備に移行できる仕組みを整えました。
本記事では、限られたリソースの中でERの滞在時間を短縮し、受け入れ件数増を両立させた業務効率化の取り組みをご紹介しました。
最小人数でも回る「事前準備」と「モノの配置」の具体例
医師・看護師・他部署をシームレスに繋ぐ「情報集約モニター」の活用術
業務改善がもたらした現場スタッフのやりがい向上と今後の課題
より具体的な実践ステップや現場のリアルな工夫の詳細は、以下のセミナー見逃し配信ページで公開しています。自院の改革を加速させたいマネジメント層の方は、ぜひこの機会にご視聴ください。
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登壇者紹介
藤田医科大学 岡崎医療センター 助教 瀬川悠史 先生
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ



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