更新日:
2026/7/15

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近年、救急車の出動件数は増加の一途を辿っており、多くの医療機関で救急受け入れの限界が課題となっています。限られたベッド数やスタッフ数で増加する患者に対応するためには、物理的な拡張だけでなく、業務フローの見直しといったソフト面での効率化が急務です。
藤田医科大学岡崎医療センターでは、ERのボトルネックとなっていた「放射線部門での検査」に着目しました。CTやMRI撮影時の医師や看護師による付き添いをなくし、放射線技師単独での撮影体制を構築。データによる安全性の証明や、ワンタッチでスタッフを呼べる警報機の設置など、現場の不安に寄り添う独自の工夫を取り入れました。
本記事を読むことで、他部門と連携してERの回転率を向上させるための具体的なアプローチ手法を学ぶことができます。現場の漠然とした不安を解消し、スタッフ間の信頼関係を築きながら業務効率化を進めるマネジメントのヒントが得られます。
セミナー動画本編では、瀬川悠史先生による詳しい解説に加え、現場のリアルな運用状況や、MRI撮影時のチェックリストの活用方法など、すぐに自院で活かせる実践的なノウハウをご覧いただけます。
限られたリソースで急増する救急患者を安全に受け入れるためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。今回は、放射線部門とERの連携強化によって診療時間を創出した成功事例をもとに、医療現場における業務改善のプロセスを紐解いていきます。
ERの回転率を下げる大きな要因の一つは、患者の移動が伴う放射線検査において、医師や看護師の付き添い業務が発生することです。
救急車の受け入れ要請が増加する中、限られた初療室で高回転の対応が求められます。しかし、放射線検査(CTやMRI)はほぼ全ての患者に実施されるにも関わらず、採血のように検体を送るだけでは完結しません。患者自身の移動が伴い、その際に医師や看護師が付き添うことになれば、初療室は人員不足となり、新たな救急車の受け入れがストップしてしまいます。この「検査に伴うスタッフの拘束時間」こそが、ER全体の業務を停滞させるボトルネックとなっていたのです。
放射線技師単独で検査を実施できる体制を整えることで、医師や看護師のER滞在時間が増加し、より多くの患者の診察やケアに専念できるようになります。
年間約1万件に及ぶ造影CT検査などの際、移動を含めて1件あたり約10分から15分の時間がかかります。これらの検査を放射線技師のみで行うことができれば、医師と看護師に膨大な時間が創出されます。例えばMRI検査だけでも、付き添いをなくすことで年間約90時間もの医師の時間が捻出できたというデータがあります。これにより、忙しい時間帯でも検査待ちによるタイムロスが減り、ER全体の回転率が劇的に向上するのです。
急変リスクに対する漠然とした不安から、「念のため」という過剰な保険(ルールの厳格化)をかけすぎてしまい、結果として業務効率や患者への対応スピードが落ちてしまうことです。
「もし検査中に急変したら誰が責任を取るのか」という不安は、どの医療現場でもつきものです。特にMRIのような閉鎖空間では、放射線技師側の心理的ハードルが高く、医師の付き添いが必須とされがちです。しかし、過去のデータを検証すると、実際に検査中に急変するケースは非常に稀でした。起こるかどうかわからない事態への過度な不安が、責任の押し付け合いを生み、本来ならスムーズに進むはずの検査を滞らせ、患者のER滞在時間を無駄に延ばしてしまう原因になっていました。
データによる客観的な安全性の提示と、現場が安心できる物理的なセーフティネットの導入、そして継続的な対話によってワンチームの意識を醸成することが重要です。
現場の不安を力技で抑え込むのではなく、解消するための具体的なアクションを起こすことが成功の鍵となります。
データによる説得と対話:大学病院などでの実績データを提示しながら、月に1回定期的に話し合いの場を設け、技師の不安に真摯に耳を傾けました。
物理的な安心感の提供:CT室やMRI室からワンボタンでERに異常を知らせる警報機を設置。数秒〜1分以内で医師が駆けつけられる体制を構築し、心理的なハードルを下げました。(電波が届きにくいMRI室には中継機を導入するなどの工夫も実践しています)
明確な基準の策定:どうしても不安が残る症例(呼吸リスクがある場合など)についてはチェックリストを作成し、「条件を満たさない場合は医師が付き添う」という確約を取り交わしました。
これらの取り組みにより、技師側も自分たちの裁量で検査を進められるようになり、待ち時間の削減というメリットを享受できるようになりました。結果としてお互いの感謝の声が増え、真のワンチームとして機能するようになっています。
本記事では、ERの救急受け入れ枠を拡大するための、放射線部門の業務効率化アプローチについてご紹介しました。
放射線検査における医師付き添いの不要化がもたらす圧倒的な時間創出
現場の「漠然とした不安」をデータと警報機などの物理的ツールで解消するステップ
部署間の垣根を越え、お互いにメリットを感じられるワンチーム体制の作り方
より具体的な実践ステップや現場のリアルな工夫の詳細は、以下のセミナー見逃し配信ページで公開しています。自院の改革を加速させたいマネジメント層の方は、ぜひこの機会にご視聴ください。
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登壇者紹介
藤田医科大学 岡崎医療センター 助教 瀬川悠史 先生
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ



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