更新日:
2026/7/10

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2026年の診療報酬改定を控え、多くの急性期病院が直面している最大の論点が「救急応需を維持しながら、いかに病院経営を成立させるか」です。
Dr.'s Prime Workが主催する経営者向けセミナーでは、帝京大学医学部附属病院 内科主任教授 兼 循環器内科科長であり、CVIT理事長も務める上妻 謙(こうづま けん)先生をお招きし、「内科の体制設計」を鍵とした解決策についてお話しいただきました。
現在の急性期内科、特に循環器救急の現場は、かつての「やりがい搾取」とも言える自己犠牲の上に成り立っており、限界を迎えつつあります。上妻先生は以下の3つの課題を指摘します。
若手の循環器離れ: 24時間365日体制の過酷な労働環境が敬遠され、若手医師の循環器内科専攻が減少(-6.9%)しています。
現場の自己犠牲依存: 全国的に見ても、カテーテル治療(PCI)を担う循環器内科医の1病院あたりの平均は3〜4名程度。少人数で年間100日近い待機(オンコール)を回す過酷な状況が常態化しています。
地域格差と集約の限界: 地方では病院間の距離が遠く、医師が1名しかいない施設が地域救急を支えているケースも少なくありません。
働き方改革が推進される中、宿日直許可で「ごまかす」ような運用はもはや持続可能ではなく、若手医師から選ばれない病院へと直結してしまいます。
2026年の改定では、「急性期病院A・B」の新設や、内科系疾患の評価強化、地域包括医療病棟の細分化などが論点となっています。
しかし、制度面での手当てが進む一方で、現場のオペレーションには依然として高いハードルが存在します。
高度な専門医療を目指す急性期病院が、90代の誤嚥性肺炎や心不全といった高齢者救急をどこまで受け入れるべきか。受け入れたとしても、長期入院化や胃ろう造設を巡る課題、転院先の確保難などにより、「救急車がたらい回しになる」状況が頻発しています。
本来であれば、各病院の機能分担や集約化を進めるべきですが、地域の事情や政治的な背景もあり、十分な再編が進んでいないのが日本の現状です。
このような厳しい環境下で、急性期病院が生き残るためには、各病院単位での「内科×救急」のオペレーション設計が不可欠です。
当直体制の再設計 内科を細分化された専門科(循環器だけなど)で分けるのではなく、「内科全体」として当直体制を組み直す必要があります。また、働き方改革に対応した勤務間インターバルの確保や、翌日の勤務免除などのルール化が急務です。
オンコール輪番の最適化 各科の負担を可視化し、持続可能なオンコール体制を構築することが求められます。
地域連携・転院動線の確保 自院の機能(高度急性期に特化するのか、高齢者救急も広く受けるのか)を明確にし、地域の他施設との連携や転院の動線をあらかじめ設計しておくことが重要です。
最後に、上妻先生から病院の経営層(院長・事務長)へ向けた3つのメッセージが送られました。
内科を「経営ユニット」として可視化する 診療科ごとのサイロ化を防ぎ、内科全体を一つの経営単位として捉え直すことが重要です。
個別採用から地域設計へ 自院だけで完結しようとせず、地域の医療ニーズと自院の立ち位置を客観的に分析した上で体制を組む視点が求められます。
持続可能な働き方への投資 当直やオンコールの手当、業務分担の見直しは、単なる「コスト」ではありません。若手医師を獲得し、離職を防ぐための「人材確保への投資」として経営判断を下す必要があります。
これからの病院経営は、「断らない救急」を精神論で維持するのではなく、制度とデータに基づいた『内科ガバナンス』の構築が最大のカギとなります。
登壇者紹介
帝京大学医学部附属病院 循環器センター長 上妻 謙先生
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ



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