【セミナーレポート】新しい日本型救急部門をどうつくるか ER+ICU+総合診療で実現!起死回生した救急部門
更新日:
2026/5/26

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こちらは2026年5月15日配信されたセミナーレポートをベースに内容を一部編集させて頂いた記事です。
本記事の要点をまとめました。
市場の課題: 高齢化による「複数疾患患者」の急増と医師の働き方改革により、各専門科による「片手間での救急対応」が限界を迎えている。
解決アプローチ: 救急部門が初期診療(ER)だけでなく、集中治療(ICU)や病棟管理(総合診療)まで引き受ける「新しい日本型救急部門」の構築。
動画本編で得られるノウハウ: 救急医1名の状態から、院内のハレーション(対立)を抑えつつ他科と連携し、9名体制まで拡大させた具体的な組織マネジメント術と交渉ステップ。
結論:高齢化に伴う「複数疾患患者」の増加と、医師の働き方改革によるタスクオーバーが主な原因です。
現在、二次救急医療機関に搬送される患者の多くを高齢者が占めています。高齢の救急患者は単一の疾患だけでなく、「心疾患を抱えつつ肺炎を起こしている」など、多臓器にわたる複数の疾患(併存疾患)を抱えているケースが少なくありません。従来の「この臓器の病気だから〇〇科が診る」という縦割りの診療体制では、どの専門科も「自科のメイン疾患ではない」と判断しやすく、結果として院内での受け入れ先が宙に浮く「出口問題(たらい回し)」が発生しやすくなっています。
さらに、2024年4月から本格適用された「医師の働き方改革(時間外労働の上限規制)」が、この状況に拍車をかけています。労働時間管理が厳格化されたことで、各専門科の医師が通常業務の延長として片手間で救急対応や当直をこなす余裕は失われつつあります。京都大学などの最新の調査データでは、働き方改革後も急性期医療のパフォーマンス自体は維持されているものの、それは「勤務体制の見直し」や「チーム制への移行」に成功した病院に限られます。現場の医師への負荷が限界に近い状態のままでは、いずれ救急の受け入れは立ち行かなくなります。
結論:院内の負担を劇的に軽減しつつ、若手医師の採用力・定着率を飛躍的に高めることができます。
済生会野江病院の鈴木先生が実践したのが、「ER+ICU+総合診療(病棟管理)」を融合させた新しい救急部門の確立です。救急科が単に患者を初療で診て他科へ振り分ける(トリアージする)だけではなく、複数疾患を抱え他科が受け入れにくい患者を、救急部門自体が病棟で引き受け、全身管理まで行います。
この体制の最大のメリットは、各専門科の負担(ハレーション)を大きく減らせることです。専門外の患者を無理に押し付けられることが減るため、既存の医師たちは自身の専門業務に集中できるようになります。
さらに採用面でも強力な武器となります。「初期対応(ER)だけで終わらず、集中治療(ICU)から退院に向けた全身管理(総合診療)まで一貫して経験できる環境」は、キャリア形成を重視する若手・中堅医師にとって非常に魅力的です。実際に済生会野江病院では、この体制と専門医プログラムを整備したことで、様々なバックグラウンドを持つ医師が集まり、採用難の時代にありながら人員を拡大することに成功しています。
結論:単一の「ソロ救急医」に依存し、院内の出口問題を放置してしまうことです。
セミナー内で鈴木先生も指摘していますが、多くの病院が陥りやすいのが「日本型ソロER(救急医1名体制)」の限界です。救急対応を改善しようと優秀な救急医を1名採用しても、その医師の得意分野や個性が強すぎると、特定の疾患しか診られなかったり、幅広い領域の指導ができず、後進が育たないという問題が起きます。
また、救急外来での受け入れ口だけを広げても、その後の入院治療を担う各診療科との連携が構築されていなければ、結局は院内で「誰が診るのか」という押し付け合いが始まります。いくら入り口の仕組みを整えても、院内の調整(出口)が滞れば、救急医は疲弊し、結果として組織から離れていってしまうのです。
結論:各専門科の「困りごと」を的確に把握し、ギブ・アンド・テイクの協力関係を築くことです。
救急部門の守備範囲を広げ、病棟管理まで行う体制を作る上で最大の障壁となるのが、既存の診療科との摩擦や反対です。「救急ですべて診ます」という理想論だけでは、現場の反発を招きかねません。
成功の鍵は、コミュニケーションを通じて各科の事情を細かく把握することにあります。例えば、「消化器内科が手一杯の時は、内視鏡の処置だけお願いし、その後の病棟管理はこちら(救急・総合診療)で引き受ける」といった柔軟な連携です。相手の負担を減らす(ギブの)提案を積み重ねることで、いざという時の協力(テイク)を得られる信頼関係が構築されます。
しかし、これは言葉にするのは簡単でも、実践するのは至難の業です。実際にたった1名の状態から、どのように他科との泥臭い調整を行い、大学病院も巻き込みながら9名体制の強固な救急部門を作り上げたのでしょうか?
高齢化と働き方改革という二つの大きな波が押し寄せる中、二次救急医療機関が地域での役割を果たし続けるためには、従来の「各科依存型」から脱却し、救急部門の機能を拡張・再定義することが不可欠です。
本記事ではそのエッセンスをご紹介しましたが、
具体的にどのようなステップで他科の協力を取り付けたのか?
若手医師を惹きつける教育体制をどう構築したのか?
人員が不足する苦しい時期をどう乗り切ったのか?
これらの「実践的なHow To」や「生々しい成功・失敗の軌跡」については、鈴木先生ご本人が語るセミナー動画内で余すところなく解説されています。
自院の救急体制や組織マネジメントに限界を感じている院長・事務長の皆様は、ぜひ以下の見逃し配信ページより、組織改革の具体的なヒントを手に入れてください。
登壇者紹介
鈴木 聡史先生
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ



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