更新日:
2026/6/5

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こちらは2025年12月24日配信されたセミナーレポートをベースに内容を一部編集させて頂いた記事です。
救急出動件数が過去最多を更新する中、病院単体のリソースだけでは資金難やスタッフの疲弊に対応しきれない限界が訪れている。
クラウドファンディングは単なる「資金調達」ではなく、地域とのつながり強化、職員のモチベーションアップ、採用力向上をもたらす経営戦略である。
救急医ゼロの状態から受入台数を倍増させた北里大学メディカルセンターの事例から、地域を巻き込み「社会と勝つ」組織マネジメントの秘訣を解説する。
セミナー動画本編では、地域企業への泥臭いアプローチ手法や、救急救命士を活用したタスクシフトの具体的な導入ステップを公開中。
急性期病院の経営において、「救急応需率の改善」や「医師・コメディカルの採用と定着」は常にトップの経営課題です。しかし、限られた予算と人員の中で、老朽化した設備の更新や抜本的な働き方改革を進めることは容易ではありません。
本記事では、医療機関のマネジメント層に向けて配信されたセミナー「病院単体ではなく社会と勝つ!地域を巻き込むクラウドファンディングでの資金調達」のレポートをお届けします。クラウドファンディングを起点として資金の壁をクリアしつつ、地域の信頼を獲得して組織全体を劇的に活性化させるマネジメントのヒントを解説します。
結論:救急需要が爆発的に増加する一方で病院の経営リソースは限界を迎えており、自院の枠を超えた「地域社会との連携と新たな資金獲得手段」が不可欠になっています。
総務省消防庁が発表した「令和6年版消防白書」によると、2023年の全国の救急自動車出動件数は763万8,558件(搬送人員は約664万人)に達し、集計開始以来の過去最多を記録しました。高齢化の進展に伴い、救急車が足りない事態や、救急隊の現場到着・病院収容までの時間が延伸する課題が全国で顕在化しています。
このような厳しい社会背景の中、現場では老朽化した救急車両の更新や、スタッフの負担を軽減する最新設備の導入が急務となっています。しかし、昨今の物価高騰や診療報酬改定の影響により、多くの病院は厳しい収支状況下にあり、自己資金や銀行融資だけに頼るモデルは限界に近づきつつあります。そこで近年、新たな資金調達手段として「クラウドファンディング(CF)」に活路を見出す医療機関が急増しているのです。
結論:返済義務のない資金を獲得できるだけでなく、「病院のブランディング(PR)」と「職員のモチベーション向上」を同時に実現できる点です。
一般的に、病院がクラウドファンディングを実施する最大のメリットは、数千万単位の設備投資資金を借入以外の方法で集められる点にあります。クラウドファンディング事業者(READYFORなど)のデータによると、医療機関のCF実施件数は単年で60件、調達総額10億円を突破する年もあり、医療業界の新たな資金調達市場として定着しつつあります。
さらに、セミナーに登壇した北里大学メディカルセンター救急科の田村智副部長は、資金獲得以上に「自分たちの活動とビジョンを地域に知ってもらう(PR効果)」ことこそが最大のメリットであると語ります。同院では「地域とお迎え搬送(地域のクリニックや他院から自院の救急車で患者を迎えに行く体制)で繋がる」という独自のストーリーを掲げ、クラウドファンディングを実施しました。
結果として、地域住民や地元企業との接点が生まれ、病院に対する感謝や応援の声が可視化されました。こうした支援者の声は、日々疲弊しがちな現場スタッフのモチベーション向上に直結します。また、集まった資金で電動ストレッチャーを導入したことにより、女性スタッフや高齢スタッフの身体的負担が大幅に軽減され、具体的な働き方改革にも寄与しています。
結論:目的を「単なる寄付集め(資金補填)」に限定してしまい、地域や職員の共感を生むストーリーや実績づくりが欠如してしまうことです。
クラウドファンディングは、ただ「お金が足りないから助けてほしい」とウェブサイトに掲載するだけで集まる魔法のツールではありません。失敗に終わるプロジェクトの多くは、「なぜその資金が必要なのか」「それを達成することで、地域や患者にどのような未来(メリット)をもたらすのか」という明確なビジョンが抜け落ちています。
実績や共感を伴わない呼びかけは、地域住民の心を動かしません。北里大学メディカルセンターでは、資金を募る前に、まず自院の古い救急車を使った「お迎え搬送」などの実績を地道に積み重ねました。「私たちは地域のためにここまで動いている。だからこそ、さらに救うために皆さんの力が必要だ」という実態の伴うストーリーを構築したのです。この「現場での実績づくり」のステップを飛ばしてしまうことが、多くの病院が陥りやすいマネジメント上の盲点と言えます。
結論:医師だけに頼らず、救急救命士など多様な職種を巻き込んだ「タスクシフト」を推進し、病院のストーリーに共感した人材が集まる仕組みを作ることです。
人手不足を打破するためには、医師や看護師だけに業務を依存しないチーム医療の構築が不可欠です。北里大学メディカルセンターでは、クラウドファンディングの実施と並行して、一般的に消防への就職枠が限られている「救急救命士」を積極的に採用しました。彼らに救急外来でのタスクシフトや救急車の運用を任せることで、救急受入台数を2020年の約2,500台から2024年には約5,000台弱へと倍増させることに成功しています。また、ドクターズプライムワークのような外部サービスも活用し、非常勤医師の力を借りながら組織をスケールさせています。
しかし、「どのようにして地域の商工会に飛び込み営業を行い、協力を取り付けたのか?」「救急救命士に具体的にどのような業務を移譲し、院内の反発なくスムーズなチーム医療を構築したのか?」といった、実際の現場で直面するハードルを乗り越えるための具体的な「実行手順」や「裏側のノウハウ」については、記事の文面だけではお伝えしきれません。
本記事では、医療機関を取り巻く厳しい資金・人材不足の背景と、それを打開する「地域巻き込み型のクラウドファンディング」の重要性について解説しました。
目標額2,300万円に対し、約3,340万円もの支援を集めた北里大学メディカルセンターの事例は、病院単体で抱え込むのではなく、社会や地域と連携することの強さを証明しています。
「具体的にどのような企画書やメッセージでクラウドファンディングを立ち上げたのか?」 「地域の商工会や市長を巻き込むための、泥臭くも効果的なコミュニケーション手法とは?」 「救急救命士を活用したタスクシフトの具体的なルール作りと、院内調整の秘訣とは?」
これらの詳細な実践ステップや、他院でも再現可能な成功事例(Before/After)の全貌は、以下のセミナー見逃し配信ページで限定公開しています。採用戦略や組織改革、資金調達に行き詰まりを感じている経営層の皆様は、ぜひ動画本編にて「成功のリアルなプロセス」をご確認ください。
登壇者紹介
北里大学メディカルセンター 救急科副部長 田村智 先生
東京大学理学部と新潟大学医学部を卒業という経歴を持ち、「理学」と「医学」のバックグラウンドを併せ持つ。脳神経外科医として新潟大学医歯学総合病院、山形県立中央病院、秋田赤十字病院で勤務。その後、北里大学病院にて救命救急の現場に従事。現在は、脳神経外科・救急科・脳血管内治療のトリプル専門医として活躍されています。脳卒中から救急医療まで、幅広い視野と医学博士の知見を併せ持つスペシャリストです。
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ



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