更新日:
2026/5/26

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こちらは2026年5月7日配信されたセミナーレポートをベースに内容を一部編集させて頂いた記事です。
2024年問題の余波:「医師の働き方改革」施行後、宿日直許可のジレンマや救急搬送の断り事例増加など、多くの病院が直面している市場背景を客観データとともに解説します。
常勤医を守るマネジメントシフト:高齢化して疲弊する常勤医の負担を減らしつつ救急を回すための、「柔軟なタイムシフト」や「ベッドコントロール機能」の概念を一部公開します。
見逃し配信で得られる実践知:動画本編では、外部医師(スポット・非常勤)が現場で混乱せずに定着するオンボーディング手順や、救急隊からの信頼を回復させる実践的なノウハウを大公開しています。
全国の急性期病院において、院長や事務長の皆様が抱える最大のジレンマは、「地域のために救急を受け入れたい」という使命感と、「常勤医の労働時間を守らなければならない(働き方改革)」というルールの板挟みではないでしょうか。
本記事では、74の病院経営者から寄せられたリアルな悩みに、救命救急の最前線で長年指揮を執る専門家が即答したセミナーの要点をレポートします。自院の救急体制や組織マネジメントを根本から見直すためのヒントとして、ぜひお役立てください。
結論:2024年の「医師の働き方改革」施行以降、時間外労働の上限規制により、これまで常勤医の自己犠牲で成り立っていた救急体制が限界を迎え、「救急搬送の断り事例」が増加傾向にあります。
一般的な市場動向として、2024年4月より医師の時間外労働の上限規制(原則年960時間、地域医療確保等の特例で年1860時間)が始まりました。日本医師会が実施した「働き方改革施行後の地域医療への影響調査(2024年秋)」によれば、地域医療で実際に生じている問題点として「救急搬送の受け入れ困難(断り)事例の増加」がトップ(約15%強)に挙げられています。
現場を最も苦しめているのが「宿日直許可」のジレンマです。宿日直許可を取得して夜間を労働時間外(休息扱い)とするには、「救急対応がほとんどないこと(軽度な業務のみ)」が要件となります。しかし実際には「地域の救急車は断るな」という相反する要請があり、制度と現場の矛盾が深刻化しています。
さらに、地方を中心に第一線で活躍してきた常勤医の平均年齢は50代〜60代に達しており、体力的に月2〜3回の当直負担が限界を超え、「もう辞めたい」という声が多発しているのが、客観的に見た日本の救急現場の現在地です。
結論:疲弊した常勤医の離職を防ぐとともに、外部人材を戦略的に活用することで、病院の収益基盤と「地域ブランド(救急隊からの信頼)」を盤石なものにできる点です。
救急体制を見直すことは、単なる「労基署対策・コンプライアンス対応」にとどまりません。例えば、柔軟なシフトを導入することで、日勤のみで働きたい女性医師や若手医師の時間を有効に活用できるようになります。また、外部の応援医師に対して働きやすい環境(マニュアルの整備や事前のオリエンテーション)を提供できれば、医局派遣に依存しない「新たな人材獲得のパイプライン」が生まれます。
さらに、受け入れ体制が整うことで救急隊(消防)からの要請に安定して応えられるようになります。「あそこの病院はいつも断られる」という負のレッテルを払拭し、地域における中核病院としての信頼を取り戻すことは、中長期的な病床稼働率の維持や経営安定において計り知れないメリットをもたらします。
結論:「自院の常勤医だけで24時間365日を完璧にカバーしようとする」「外部医師の受け入れ態勢を整えずに丸投げする」といった、硬直化したマネジメントです。
セミナー内で指摘された「現場でよく起きている構造的エラー」には、以下のようなケースが存在します。
「専門外」を理由にした断りの放置 当直医が「専門外だから」と救急を断ってしまうケース。これは医師個人の怠慢ではなく、病院として「各科のバックアップ体制(オンコール等)」や「まずは初期診療を行い、必要なら他院へ転院させる」という組織ルールを用意していないことが根本原因です。
外部医師へのフォロー不足による現場の混乱 スポットで来てくれた医師に対して、自院のローカルルールや設備を十分に共有せず現場に投入してしまうケース。結果として、看護師との間で不要なトラブルや混乱を招き、外部医師も定着しなくなります。
勤務交代時間帯の「空白」の放置 夕方17時や朝8時といった勤務交代・外来開始の隙間の時間帯に「救急の断り」が集中しているにも関わらず、従来通りの一律なシフト時間を敷き続けているケース。
全体最適を欠いた「満床」判断 実際には退院や転棟の調整ができるにも関わらず、全ベッドの稼働状況を俯瞰してコントロールする機能がないため、目の前の病棟状況だけを見て「満床につき受入不可」と判断してしまうケース。
結論:硬直化したルールを捨て、柔軟な「タイムシフト導入」と「ベッドコントロール専任者の配置」、そして「地域全体での医療リソースのシェア」に舵を切ることです。
成功する病院は、すべてを「1つの病院」、あるいは「1人の医師」に背負わせません。 例えば、勤務交代時に救急を断ってしまう問題に対しては、全員を同じ時間帯で動かすのではなく、1時間だけシフトをずらしてカバーに入る医師を配置する「タイムシフト」が有効です。
また、満床問題に対しては、当直が始まる前の夕方までに、緊急入院に備えて病棟間で患者を移動させ、必ず数床の空きを作る「ベッドコントロールのマネジメント機能」を置くことで状況は劇的に改善します。自院だけでカバーできない領域については、地域の他の二次救急病院と連携し「今日はうちが内科を重点的に診るから、そちらは外科を頼む」といった地域全体のチーム医療を構築する発想が不可欠です。
しかし、頭では理解できても、実際にこれを現場に落とし込むのは至難の業です。
「外部の医師がスムーズに動けるマニュアルや評価フロー」はどう作ればいいのか?
「救急隊との関係性を修復する具体的なコミュニケーション手順」とは?
常勤医の不満を抑えながら、新しいシフト体制を導入するステップは?
これらのより具体的な実践ステップや、他院がどのようにして救急応需率をV字回復させたのかの成功事例(Before/After)の詳細は、以下のセミナー見逃し配信ページで余すところなく公開しています。
ぜひ動画本編をご覧いただき、貴院の組織マネジメントと採用戦略にお役立てください。
登壇者紹介
守田 誠司先生
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ



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