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急性期病院からの転院受け入れに必要な患者情報リスト──「これだけは欲しい」13項目チェックリスト

急性期病院からの転院受け入れに必要な患者情報リスト──「これだけは欲しい」13項目チェックリスト

更新日:

2026/6/24

急性期病院からの転院受け入れに必要な患者情報リスト──「これだけは欲しい」13項目チェックリスト |メソッド

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「急性期病院から転院依頼の電話が入ったが、判断材料が足りずその場で受け入れ可否を答えられない」「紹介元によって送られてくる情報がバラバラで、毎回照会のやり直しが発生している」—こうした実務課題に直面している地域連携室長・事務長は少なくないのではないでしょうか。

転院受け入れ判断のスピードと質は、後方支援病院の応需率と病床稼働率に直結します。そして2026年度診療報酬改定では、救急患者連携搬送料の点数引き上げ地域包括医療病棟の点数細分化包括期充実体制加算の新設など、急性期からの転院受け入れを経済的に評価する仕組みが大幅に拡充されました。

本記事では、転院受け入れ判断に必要な患者情報を「13項目」のチェックリストとして整理し、自院・紹介元双方が運用できるフォーマット設計を提示します。


本記事のポイント(30秒でわかる転院受け入れ情報設計)

論点

結論

2026年度改定の方向性

急性期から後方支援病院への「下り搬送」を双方で評価する仕組みが拡充。転院受け入れ件数が経営インパクトに直結

転院判断の本質

「いま受けられるか」だけでは決まらない。急変時・専門外時の「戻り受け入れ可否」まで含めた事前合意が必須

必要情報の全体像

患者属性・医療情報・連携情報の3層、計13項目で構成

運用設計の鍵

紹介元との「情報フォーマットの事前合意」と「不足時の判断閾値」をルール化する

経営インパクト

フォーマット標準化により、判断スピード短縮・誤受入回避・地域連携加算取得の3つの効果が見込める

なぜ今「転院受け入れ情報の標準化」が経営課題なのか

転院受け入れ情報の標準化は、現場の業務効率化を超えた経営課題として位置づけ直す必要があります。背景には、2026年度診療報酬改定が示した3つの構造変化があります。

変化①|「下り搬送」が双方の病院で経済的に評価される時代に

2026年度診療報酬改定(2026年6月1日施行)では、2024年度に新設された救急患者連携搬送料が大幅に拡充されました。

「下り搬送」とは、高次救急病院(救命救急センター等)に一度搬送された患者のうち、自院で対応する必要がない比較的軽症な患者を、平時から連携している地域病院に転院搬送する仕組みです。高齢の救急患者が急性期病棟に長期入院することによるADL低下・寝たきりリスクを回避し、リハビリ等を提供できる地域病院で受け入れることを政策的に誘導する狙いがあります。

2026年度改定では以下の評価が整理されました。

  • 搬送元(高次救急病院):救急患者連携搬送料1(医師等同乗の場合とその他の場合で点数区分)

  • 搬送先(地域病院):救急患者連携搬送料2(受け入れ側にも算定可能)

つまり、急性期からの転院受け入れは「協力」ではなく「経営活動」として評価される時代に入ったといえます。受け入れ判断の精度とスピードが、そのまま地域での連携実績・収益に直結します。

変化②|地域包括医療病棟の点数引き上げで「緊急入院の受け入れ」が経営の柱に

2026年度改定では、2024年度に新設された地域包括医療病棟入院料が大幅に見直され、最高点数は「急性期病棟との併設なし/緊急入院・手術なし」の患者で3,367点(現行から+317点)に引き上げられました(厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」、2026年2月13日中医協答申)。新しい点数体系は、「急性期病棟との併設可否」「緊急入院か予定入院か」「手術の有無」の3軸で6区分に細分化されました(GemMed/中医協答申報道)。

第1階層は「急性期病棟との併設可否」で分かれます。
地域包括医療病棟入院料1(急性期病棟との併設なし)

  • 入院料1:3,367点(現行+317点)緊急入院・手術なし

  • 入院料2:3,267点(現行+217点)緊急入院・手術あり/予定入院・手術なし

  • 入院料3:3,117点(現行+67点)予定入院・手術あり

地域包括医療病棟入院料2(急性期病棟との併設可)

  • 入院料1:3,316点(現行+266点)緊急入院・手術なし

  • 入院料2:3,216点(現行+166点)緊急入院・手術あり/予定入院・手術なし

  • 入院料3:3,066点(現行+16点)予定入院・手術あり

いずれの区分でも「緊急入院・手術なし」が最高点数に設定されており、誤嚥性肺炎・尿路感染症などで救急搬送される高齢者を受け入れる病棟ほど厚く評価される設計です。

「緊急入院・手術なし」の患者が最高点数であることが示すとおり、誤嚥性肺炎・尿路感染症などの高齢者急性期疾患を受け入れる病棟の経営評価が手厚くなりました。これは、急性期からの転院受け入れが直接的に病床収益を押し上げる構造を意味します。

加えて、200床未満で地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟を持つ病院(急性期病棟併設不可)向けに包括期充実体制加算が新設され、「高齢者救急患者の受け入れ実績」「在宅医療・介護保険施設等の後方支援実績」が施設基準として求められます。

変化③|情報不足が「断り」の最大要因になっている

現場で転院受け入れを断る、あるいは判断を保留する場面の多くは、医療上の理由よりも情報不足が引き金になっています。

  • 急変時の戻り受け入れ可否が紹介元と握れていない

  • 自院に診療科がない領域(例:精神科症状)の対応方針が不明

  • 家族構成・キーパーソン情報がなく入退院支援の見通しが立たない

  • 介護保険申請状況がわからず退院動線が描けない

これらは個別の医学的判断ではなく、情報フォーマットの欠如が原因です。情報の標準化なくして、後方支援病院の応需率は構造的に上がりません。


転院受け入れに必要な「13項目」チェックリスト

転院受け入れ判断に必要な情報は、患者属性情報(5項目)・医療情報(5項目)・連携情報(3項目)の3層構造で整理できます。それぞれが「なぜ必要か」「ない場合に何が起きるか」を伴って初めて、現場で機能するチェックリストになります。

第1層:患者属性情報(5項目)

No.

項目

なぜ必要か

1

患者氏名

同姓同名照合・電子カルテ登録の基本情報

2

住所

居住圏域の確認・退院後の生活圏設計の起点

3

年齢

高齢者特性に応じた治療計画・地域包括医療病棟適合判定

4

キーパーソンの有無・家族構成

入退院支援・意思決定支援の前提情報

5

諸保険情報(医療保険・介護保険申請状況)

入院料算定・退院動線設計に直結

第1層の特に重要な項目は「キーパーソン情報」と「介護保険申請状況」です。これらが欠けると、入院初日から退院支援の見通しが立たず、在院日数が想定外に長期化するリスクがあります。

第2層:医療情報(5項目)

No.

項目

なぜ必要か

6

診療情報提供書

治療継続のための医学的引き継ぎの中核文書

7

病名(主病・併存疾患)

自院の対応可能範囲の判定

8

服薬情報

持参薬確認・薬剤調整の安全管理

9

検査データ

治療継続性の担保・重複検査の回避

10

急変時のコード(本人・家族の意向)

DNAR等のコードステータスは入院初日から不可欠

第2層で見落とされがちなのがコードステータスです。本人・家族のACP(人生会議)における意向が記載されていないまま転院されると、夜間休日の急変対応で混乱を招きます。コードステータスは「あれば望ましい」ではなく「ないと判断できない」項目です。

第3層:連携情報(3項目)

No.

項目

なぜ必要か

11

病状悪化時に再度治療が必要な場合の受け入れ可否

戻り受け入れの事前合意——転院判断の本当のボトルネック

12

急変時の戻り受け入れ可否(高度治療必要時)

自院対応範囲を超えた場合の連携経路の確保

13

専門外症状(精神科等)対応困難時の戻り受け入れ可否

自院に診療科がない領域での想定外事態への備え

第3層は、13項目の中で最も重要かつ最も欠けやすい情報です。「いま受けられるか」だけで判断すると、急変時の戻りが拒否されて自院で対応せざるを得なくなる事態が発生します。

加えて、可能であれば以下の補足情報も望ましい項目として整理すべきです。

  • 家族関係(虐待・ネグレクトの有無):身寄りなしケースでは市役所通報の有無も確認

  • 紹介元の連絡経路(夜間休日含む)


13項目を院内・院外で運用する設計

13項目チェックリストは、作成しただけでは機能しません。「院内での共有フロー」と「院外(紹介元)との合意プロセス」の両面で運用設計を行う必要があります。

院内運用:地域連携室・病棟・主治医の3者連携

院内では、転院依頼の受付から入院初日までを以下のフローで設計します。

  1. 地域連携室:紹介元から13項目を取得、不足があれば即時照会

  2. 病棟:受け入れ可否判定の事前情報整理(病床確保・看護必要度・コードステータス確認)

  3. 主治医:医学的判断(自院対応可能範囲・戻り条件の合意)

このフローで重要なのは、「13項目のうち何項目が揃った段階で受け入れ判断を進めるか」の閾値設定です。すべて揃うまで待つと判断が遅れ、項目が不足したまま受けると後でトラブルになります。多くの後方支援病院では、第1層・第2層の10項目が揃った段階で第3層を紹介元と即時調整する運用が実務的です。

院外運用:紹介元との情報フォーマット合意

紹介元の急性期病院との情報フォーマット合意は、個別案件ベースではなく病院連携会議の場で恒常的に握ることが重要です。具体的には以下のステップで進めます。

  • 自院の13項目チェックリストを紹介元に提示

  • 紹介元の現行フォーマットとの差分を確認

  • 不足項目(特に第3層の戻り条件)を紹介元側のフォーマットに追加してもらう

  • 地域医療情報連携ネットワーク(EHRシステム)の活用範囲を双方で合意

地域医療情報連携ネットワークが整備されている地域では、検査データ・服薬情報・診療情報提供書の電子的共有により、第2層の情報取得スピードが大幅に短縮されます。入退院支援加算1の取得には地域連携体制の整備が要件となっており、ネットワーク活用は加算取得の観点でも重要です。

「情報がない場合」の判断閾値

13項目すべてが揃うことは現実には稀です。ない場合の判断ルールを事前に決めておくことが、現場の混乱を防ぎます。

  • 必須項目(受け入れ留保の対象):診療情報提供書、病名、コードステータス、戻り受け入れ可否

  • 追加照会で進められる項目:服薬情報、検査データ、介護保険申請状況

  • 入院後に確認可能な項目:家族関係詳細、補足的な連携情報

この閾値ルールを院内マニュアルに明記し、当直医・夜勤看護師でも判断できる状態にすることが、応需率改善の実装の核心です。


経営判断のフレーム──13項目運用がもたらす3つの効果

転院受け入れ情報の標準化は、以下3つの経営効果を生み出します。

効果①|判断スピードの短縮

13項目フォーマットの導入により、転院依頼の受付から受け入れ可否回答までの時間が短縮されます。判断スピードは紹介元の信頼を生み、結果として要請数の増加につながります。これは救急隊との関係構築と同じ構造です。

効果②|「断り」の構造的削減

情報不足を理由とした「断り」「判断保留」は、フォーマット運用により構造的に削減できます。特に第3層の戻り条件を事前合意することで、急変時の不安を理由に断っていた症例を受けられるようになります。

効果③|診療報酬上の評価への接続

13項目運用は、救急患者連携搬送料2の算定地域包括医療病棟の緊急入院受け入れ実績入退院支援加算1包括期充実体制加算の各要件と直接連動します。情報フォーマットの整備は、これらの加算取得・実績要件の前提条件となります。

自院での導入チェックリスト(5項目)

項目

確認ポイント

13項目チェックシートの院内整備

フォーマットが文書化され、地域連携室で運用されているか

紹介元との情報フォーマット合意

主要連携先との間で項目について合意があるか

「情報不足時」の判断閾値ルール

当直医・夜勤看護師でも判断できる閾値が明文化されているか

地域医療情報連携ネットワーク(EHR)の活用

連携可能なシステムが整備され、情報取得時間が短縮されているか

戻り受け入れ可否の事前合意プロセス

病院連携会議等で恒常的に協議されているか

5項目中3項目以上でチェックがなければ、情報フォーマットの整備は組織的な短中期プロジェクトとして取り組む必要があるのではないでしょうか。

戻り受け入れ可否の設計プロセスについては、関連記事「転院を断らない病院の意思決定フロー|戻り受け入れ条件の設計で応需率を上げる」で詳しく解説しています。
救急受け入れ体制全体のマニュアル整備については、関連記事「救急受け入れ体制を強化する実務マニュアル」もあわせてご参照ください。


まとめ──13項目は「判断スピードを決める基幹情報」

転院受け入れに必要な13項目チェックリストの本質は、次の3点に集約できます。

  • 13項目は「あったら良い」ではなく「判断スピードを決める基幹情報」:特に第3層の戻り受け入れ可否は、転院判断の真のボトルネックです。情報がそろわない限り、後方支援病院の応需率は構造的に上がりません

  • 2026年度改定は「下り搬送を双方で評価する時代」の到来:救急患者連携搬送料の拡充、地域包括医療病棟の点数引き上げ、包括期充実体制加算の新設により、転院受け入れは経営活動として明確に評価されます。情報フォーマットの整備は加算取得の前提条件です

  • 運用設計は「院内フロー」と「紹介元との合意」の両輪:13項目チェックリストを作るだけでは機能しません。院内の判断閾値ルールと、紹介元との恒常的な情報フォーマット合意がそろって初めて、現場で回ります

転院受け入れ情報の標準化は、応需率・病床稼働率・診療報酬上の評価・紹介元との信頼のすべてに連動する経営課題です。単なる地域連携室の業務改善ではなく、後方支援病院の経営基盤として位置づけ直す必要があるのではないでしょうか。2026年6月1日の改定施行により、急性期からの転院受け入れ実績はこれまで以上に経営の柱となります。情報フォーマットが未整備の病院にとっては、早急な着手が必要なタイミングです。

自院の転院受け入れ体制の整備、および地域連携を起点とした応需率・病床稼働率改善の具体策を検討したい経営者・地域連携室長・事務長の方は、救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。「救急を断らない医師」の紹介と、救急・地域連携データ分析による運用改善の両面から、後方支援機能の再設計を支援しています。

よくある質問

Q. 転院受け入れの判断に必要な情報は何ですか?
A. 3層・計13項目で整理できます。患者属性情報5項目(氏名・住所・年齢・キーパーソン・諸保険)、医療情報5項目(診療情報提供書・病名・服薬・検査データ・コードステータス)、連携情報3項目(病状悪化・急変・専門外時の戻り受け入れ可否)です。

Q. 転院受け入れで最も欠けやすい情報は何ですか?
A. 第3層の連携情報、特に「戻り受け入れ可否」です。「いま受けられるか」だけで判断すると、急変時に紹介元が戻りを拒否し、自院で対応せざるを得ない事態が起きます。急変時・専門外時・病状悪化時の戻り条件を事前に握ることが判断の本当のボトルネックです。

Q. なぜ2026年改定で転院受け入れが経営課題になったのですか?
A. 救急患者連携搬送料が拡充され、搬送先(地域病院)にも算定可能になりました。また地域包括医療病棟入院料が見直され、「緊急入院・手術なし」が最高点数(入院料1で3,367点)に設定されるなど、急性期からの転院受け入れが直接病床収益を押し上げる構造になったためです。

Q. コードステータスはなぜ事前確認が必要ですか?
A. DNAR等の本人・家族の意向が記載されないまま転院されると、夜間休日の急変対応で混乱を招くためです。コードステータスは「あれば望ましい」ではなく「ないと判断できない」項目で、入院初日から不可欠です。

Q. 情報フォーマットを標準化すると何が得られますか?
A. 判断スピードの短縮、誤受入の回避、地域連携加算の取得、の3つの効果が見込めます。紹介元によってバラバラだった情報が統一され、毎回の照会のやり直しが減り、応需率と病床稼働率の向上につながります。

Q. チェックリストはどう運用すればよいですか?
A. 院内(地域連携室・病棟・主治医の3者連携フロー)と院外(紹介元との情報フォーマットの事前合意・不足時の判断閾値のルール化)の両面で設計します。地域連携室が13項目を取得し、不足があれば即時照会する運用が起点です。


参照

  • 中央社会保険医療協議会「令和8年度診療報酬改定 答申」(2026年2月13日)

  • 厚生労働省「救急患者連携搬送料 施設基準・算定要件」(2026年3月告示・通知)

  • 厚生労働省「地域包括医療病棟入院料 施設基準等」(2026年3月告示)

  • 厚生労働省「新たな地域医療構想」関連資料

  • 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(ACP)」

  • 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」

執筆・編集・監修

執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。

監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。

参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ 

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