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【令和8年度改定】訪問看護への不適切な誘導の禁止とは?指定取り消しを防ぐコンプライアンス管理の進め方

【令和8年度改定】訪問看護への不適切な誘導の禁止とは?指定取り消しを防ぐコンプライアンス管理の進め方

更新日:

2026/6/23

【令和8年度改定】訪問看護への不適切な誘導の禁止とは?指定取り消しを防ぐコンプライアンス管理の進め方|メソッド

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自院で訪問看護ステーションを運営している、あるいは特定の介護サービス事業所と強く連携している病院では、患者の紹介に関するコンプライアンス体制がかつてないほど厳しく問われています。令和8年度(2026年度)診療報酬改定では、特定の訪問看護ステーション等への誘導と引き換えに経済的利益を収受することが明確に禁止されました。本記事では、何が禁止されたのか、退院調整部門で何を点検すべきか、指定取り消しという最大級の経営リスクをどう防ぐかを、厚生労働省の改定資料をもとに整理します。

※本記事は、厚生労働省「令和8年度診療報酬改定(9.質の高い訪問看護の推進)」を参照し、編集部にて再構成したものです(情報基準日:2026年6月)。要件の詳細は、必ず厚生労働省の告示・通知の原典をご確認ください。

この記事で答える質問

令和8年度改定で訪問看護の何が禁止されたのか/療担規則はどう改正されたのか/退院調整部門で点検すべきことは何か/不適切な運営はどんな経営リスクにつながるか/コンプライアンス体制をどう構築すればよいか

30秒でわかる要点

  • 令和8年度改定で、特定の訪問看護ステーション等を利用するよう指示する対償として、金品等の財産上の利益を収受することが明確に禁止された

  • 指定訪問看護事業者には「経済上の利益提供による誘引の禁止」「特定事業者等への誘導の禁止」が義務付けられた

  • 保険医療機関側にも、療担規則に「財産上の利益収受による特定事業者等への誘導の禁止」(第二条の五の二)が新設された

  • 不適切な運営は、個別指導・警告を経て、最悪の場合は保険医療機関の指定取り消しという経営リスクにつながる

  • 現場任せにせず、経営層主導で紹介フローの透明化と監査体制を構築することが求められる

退院調整部門に潜むコンプライアンスリスク

地域包括ケアシステムの推進に伴い、医療機関から在宅・介護施設へのスムーズな移行は重要です。しかし一方で、退院調整において、特定の訪問看護ステーション等への誘導と引き換えに不適切な経済的やり取りが行われる事例が問題視されてきました。

経営層・事務長は、自院の退院支援部門における紹介フローが適切かを改めて点検する局面に立たされています。「地域の連携強化」という名目で長年続いてきた慣行であっても、今回の改定で明確にルール化された基準に照らして問題があれば、保険医療機関の指定取り消しという最大級の経営リスクにつながりかねません。実績データが可視化され審査が厳格化される流れのなかで、コンプライアンス管理を現場任せにする時代は終わっています。

令和8年度改定の要点─特定事業者への誘導に対する利益収受の禁止

令和8年度改定において、「保険医療機関及び保険医療養担当規則(療担規則)」ならびに「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」が改正されました。これにより、保険医療機関が特定の訪問看護ステーション等を患者に利用するよう指示することの対償として、金品等の財産上の利益を収受することが明確に禁止されます。具体的な変更点は次の2点です。

① 指定訪問看護事業者への新たな義務付け

指定訪問看護事業者に対して、「適正な手続の確保」「健康保険事業の健全な運営の確保」「経済上の利益の提供による誘引の禁止」および「特定の主治の医師及び特定の事業者等への誘導の禁止」が義務付けられました。利用者に対して特定の事業者等を利用すべき旨の指示等を行うことの対償として、金品その他の財産上の利益を収受することが明確に禁じられています。

② 保険医療機関側の療担規則の見直し(第二条の五の二の新設)

保険医療機関側にも、「財産上の利益の収受による特定の事業者等への誘導の禁止」が新たに設けられました。患者に対して、指定訪問看護事業者をはじめとする特定の事業所を利用すべき旨の指示等を行うことの対償として、当該事業者等から財産上の利益を受け取ることが厳格に禁止されます。

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定(9.質の高い訪問看護の推進)」

退院調整部門で見直すべき監査のポイント

今回の改正は現場の業務フローに大きく影響します。これまで「地域の連携強化」という名目で曖昧に処理されていた経済的なやり取りも、厳格な監査の対象となる可能性が高まります。退院調整部門では、次の観点からの点検が急務です。

特定の施設への紹介割合が不自然に突出していないか、客観的なデータに基づいた紹介フローの透明化/経済的やり取りが一切ないことを証明できる、透明性の高いプロセスの文書化/定期的なモニタリング体制と、経営層への報告ラインの整備。

万が一、不適切な運営とみなされた場合、まずは個別指導や警告の対象となり、改善が図られなければ最終的に保険医療機関の指定取り消しに至る可能性も否定できません。地域の信頼を失えば病院経営そのものが揺らぐため、経営層主導による強力なガバナンスとコンプライアンス管理の構築が不可欠です。

経営層が直ちに取るべきアクション

ルールの厳格化への対応として、経営層が取り組むべき具体的アクションは次の2点です。

① 院内のコンプライアンス研修の実施:退院支援や地域連携に携わるすべての職員に対し、令和8年改定の要点を周知徹底し、高い倫理観を育成する研修を早急に実施します。

② 紹介ルールと監査体制の再構築:特定のステーション等への紹介割合を定期的にモニタリングし、経済的なやり取りが一切ないことを証明できる透明性の高いプロセスを構築します。

こうした法務対応やルール策定には時間とリソースが必要です。慢性的な人手不足のなかでコンプライアンス管理にリソースを集中させるには、他部門の業務負担を軽減し、本来注力すべき業務に人と時間を振り向ける工夫もあわせて求められます。地域連携・救急部門の体制見直しは「救急車の受け入れ拒否を減らすには?病院が見直すべき5つの体制」もあわせてご参照ください。

まとめ:透明性の確保が長期的な競争力になる

令和8年度改定は、医療業界全体に「透明性」と「健全な運営」を強く求めるメッセージです。患者ファーストの適切な医療・介護連携を実現するためにも、利益収受による誘導を根絶する仕組みづくりが急務です。コンプライアンス体制の強化は、単なるリスク回避ではありません。地域の患者・家族・かかりつけ医から「この病院は透明で信頼できる」という評価を得ることが、長期的な病院経営の競争力そのものになります。まずは自院の退院調整における紹介フローと、経済的やり取りの有無を点検することから始めることが、盤石な経営基盤づくりの第一歩です。

よくある質問

Q. 令和8年度改定で訪問看護の何が禁止されましたか? A. 特定の訪問看護ステーション等を患者に利用するよう指示することの対償として、金品等の財産上の利益を収受することが、事業者側・保険医療機関側の双方で明確に禁止されました。

Q. 療担規則はどう変わりましたか? A. 保険医療機関側に「財産上の利益の収受による特定の事業者等への誘導の禁止」(第二条の五の二)が新設されました。指定訪問看護事業者側にも誘導禁止・誘引禁止が義務付けられました。

Q. 不適切な運営はどんなリスクにつながりますか? A. まず個別指導や警告の対象となり、改善されなければ最終的に保険医療機関の指定取り消しに至る可能性があります。地域の信頼喪失は経営そのものを揺るがします。

Q. 退院調整部門では何を点検すべきですか? A. 特定施設への紹介割合の偏り、経済的やり取りがないことを証明できるプロセスの文書化、定期的なモニタリングと経営層への報告ラインの整備です。

Q. 自院で訪問看護ステーションを運営していても問題ありませんか? A. 運営自体が禁止されるわけではありません。問題は「利益収受の対償として特定事業者へ誘導すること」です。紹介フローの透明性とデータに基づく説明可能性を確保することが重要です。

Q. 何から始めればよいですか? A. 紹介フローと経済的やり取りの有無の点検、職員へのコンプライアンス研修、紹介割合の定期モニタリング体制の構築から着手します。

参考情報・出典

執筆・編集・監修

執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。

監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。

参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ 

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