更新日:
2026/4/17

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keyboard_arrow_right※今回の記事は厚生労働省が発表している令和8年度診療報酬改定説明資料等について内の03_令和8年度診療報酬改定の概要 3.急性期・高度急性期入院医療から一部を抜粋し編集した記事となっています。
病院経営を取り巻く環境は年々厳しさを増しており、特に地域の急性期医療を担う病院においては、機能分化と集約化への対応が急務となっています。これまでの診療報酬体系では、主に病棟における重症患者の割合に基づいて評価が行われてきました 。しかし、地域で病院が果たしている救急医療の維持や、高度な手術を担う中核病院としての「病院全体の総合的な機能」をより適正に評価すべきではないかという声が挙がっていました。
こうした背景のもと、令和8年度の診療報酬改定において従来の「急性期一般入院料」の枠組みが見直されました 。地域ごとの急性期の病院機能を確保する観点から、新たな評価体系への移行が決定しており 、今後の急性期病院の経営方針を検討する上で欠かせない要素となっています。
📌 編集部ピックアップ
ある中規模病院の副理事長は「今回の改定は医療機関の選別を加速する改定だ」と語ります。名目上は3.09%の増額改定ですが、実質的な真水分は1.39%に過ぎず、急性期病院B要件は救急搬送年間1,500台以上という明確な数値基準を設定。「救急車受け入れを病床稼働率に結びつけなければ、経営改善に繋がっていかない」との指摘は、多くの急性期病院が直面する課題を端的に表しています。
今回の改定の最大のポイントは、病棟ごとの評価から病院全体の急性期機能に着目した「急性期病院一般入院基本料(A・B)」が新設された点にあります 。これらは病院の実績等に応じて医療機関側が選択可能な仕組みです 。各基本料を算定するためには、以下の実績要件をクリアする必要があります。

急性期病院A一般入院料(1,930点)
救急搬送件数:年間2,000件以上(かつ、夜間時間帯の受入が1割以上)
全身麻酔による手術件数:年間1,200件以上
急性期病院B一般入院料(1,643点)
救急搬送件数等に関する要件として、年間1,500件以上、または年間500件以上かつ全身麻酔手術年間500件以上など、指定された4つの要件のうちいずれか1つを満たすこと 。
加えて、夜間時間帯(22時から翌朝8時)の受入が1割以上であること 。


出典:令和8年度診療報酬改定説明資料等について内の03_令和8年度診療報酬改定の概要 3.急性期・高度急性期入院医療
さらに、一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」の評価基準も見直されました 。該当患者割合に「救急患者応需係数」を加算した「割合指数」を用いる仕組みが新たに導入されています 。この係数は、「1病床あたりの救急搬送受入件数/年 × 0.005」で算出され 、上限は1割と規定されています 。特筆すべきは、入院しなかった場合を含む病院の受入件数全体が算定対象となる点です 。
例えば、該当する病床が100床の病院で年間1,000件の救急搬送を受け入れている場合、「10件/床/年」となります 。これに0.005を乗じた5%が救急患者応需係数として該当患者割合に加算される計算となります 。この係数をいかに高めるかが、必要度の施設基準をクリアするための重要なカギとなります。
これらの制度変更が医療現場に与える影響は小さくありません。上位の基本料である「急性期病院A」を取得・維持するためには、年間2,000件(1日平均約5.5件)の救急搬送を絶え間なく受け入れ続ける必要があり、かつ夜間帯の受入要件も厳守しなければなりません 。
昨今、医師の働き方改革による時間外労働の上限規制が厳格化する中で、夜間・休日の救急当直体制をどのように維持するかが多くの病院で課題となっています。人員不足を理由に救急車の受け入れを断ってしまうと、即座に年間件数の減少に直結します。それは「救急患者応需係数」の低下を招き、最悪の場合は一般入院基本料の引き下げ(大幅な減収)といった大きな経営課題に繋がりかねません。
すなわち、「断らない救急」の実現は、単なる地域貢献の枠を超え、急性期病院として生き残るための欠かせない要件となってきていると言えます。
📌 編集部ピックアップ
九州のある急性期病院では外部救急専門医の導入により、日勤帯の応需率をほぼ100%まで引き上げ、月平均入院12.8人(率75.8%)、年間約3,600万円の増収を初年度に達成しました。救急隊のキャンセル率も28.1%から21%へ改善。経営層は「導入費用はもはやコストではなく確実な投資だった」と振り返り、現場からも「なんで受けたの?が消えた」という声が上がっています。
それでは、病院経営層や人事責任者の皆様は、明日からどのような対策に向けて動くべきでしょうか。限られた常勤医師の負担だけを増やして年間2,000件以上の救急要請に応え続けることは、現実的とは言えません。そこで求められるのが、外部リソースを戦略的に活用した救急当直枠の確実な確保です。
まずは自院の救急搬送の実績(特に夜間の受入件数と割合)と、人員不足による「応需率の低下(お断り件数)」を正確に把握・可視化することが第一歩となります。
📌 編集部ピックアップ
関東のある334床の病院では、応需率50%未満から外部医師活用・マニュアル整備・看護師専属化・振り分けルール化により年間救急搬送台数を約1.6倍の4,800台へ拡大し、応需率70%超を達成しました。さらにバランスト・スコアカード(BSC)を活用したKPI管理により、組織全体が自律的に改善を進める体制へと移行しつつあります。
救急患者応需係数の計算には「入院に至らなかったケース」も含まれます 。軽症例であっても積極的に救急車を受け入れる体制を外部の協力のもとで担保することが、看護必要度のハードルを越えるための有効な施策となります。
常勤医の疲弊を防ぎつつ応需率を高めるためには、救急対応に特化した非常勤医師やスポット医師の活用が効果的です。「ドクターズプライム」のような救急領域の改善に強みを持つ仕組みを導入することで、単なる当直の穴埋めではなく、「断らない救急」に共感し、実践できる意欲的な医師を確実に配置することが可能になります。
📌 編集部ピックアップ
東京のある99床の2次救急病院では、コロナ禍で年間4,000台から2,000台に激減した救急搬送を、救急専門医の副院長が着任後わずか1年で6,000台、2年で7,500台(約1.9倍)まで回復させました。「断らない宣言」の徹底、ファーストタッチ担当医制度の導入、毎朝の日報振り返り文化、診療看護師へのタスクシフトなどの取り組みが功を奏し、同様の手法を導入した支援先病院でも800台から3,000台(4倍)を達成。再現性の高いモデルとして注目されています。
新「急性期病院一般入院基本料」の導入により、病院の急性期機能は「救急搬送の受入件数」という極めて明確な数値基準で評価される時代に入りました 。要件を満たすためには、働き方改革と両立させながら、いかにして「断らない救急体制」を構築するかが問われています。
常勤医師の健康と働きやすさを守りつつ、病院の実績を最大化させるために、外部医師の積極的な活用を含めた柔軟な人事戦略や救急体制の見直しを、ぜひ今後の重要な経営課題として検討を進めてみてはいかがでしょうか。
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ
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