更新日:
2026/5/15

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keyboard_arrow_right※今回の記事は、厚生労働省 令和8年度診療報酬改定「1. 賃上げ対応」(PDF)をもとに編集部が構成した記事です。
現在の医療現場において、人材の確保と定着は最も重要な経営課題の一つです。これまで一部の看護師や医療職を中心に行われてきた処遇改善ですが、病院運営を根底で支える事務方や、過酷な最前線で働く若手医師の待遇見直しも急務となっています。
しかし、全部署の給与を一斉に引き上げるための財源確保は、事務長や経営企画の方々にとって非常に悩ましい問題ではないでしょうか。物価高騰も相まって職員の生活支援が求められる中、持続可能な賃上げ制度の構築は避けて通れない課題といえます。
結論から申し上げますと、令和8年度の診療報酬改定において、ベースアップ評価料の対象職種が大幅に拡大されました。
従来は対象外とされていた事務職員や、40歳未満の勤務医師・歯科医師・薬局薬剤師も、新たに対象に含まれます。一方で、40歳以上の医師・歯科医師・薬局薬剤師、業務委託により勤務する者、経営者や法人役員等は対象から除外されます。
制度変更に伴う、経営層が押さえておくべき主なポイントは以下の通りです。


高い賃上げ目標の設定:令和8年度の目標として、全体で3.2%、看護補助者や事務職員については5.7%という高い賃上げ水準を目指すことが設定されています。さらに、令和9年度においても同水準のさらなる賃上げが目標として掲げられています。

ベースアップの厳格な定義:評価料を活用した「ベースアップ」とは、賃金表の改定等により、同じ年齢・職位の者の給与が前年度より引き上がることを指します。年齢や勤続年数が増加したことによる給与の引き上げ(いわゆる「定期昇給」)はベースアップに含まれません。純粋に給与テーブル全体の水準を引き上げることが求められます。



夜勤手当への充当が可能に:夜勤職員の確保を行う観点から、恒常的に夜間を含む交代制勤務を取っている職員に支払われる夜勤手当の増加額についても、毎月支払われる手当に準じて基本給等のベースアップに含めることが可能になりました。
継続的な賃上げに対する段階的評価と減算規定:継続的に賃上げを実施している保険医療機関と、そうでない機関とで異なる評価(段階的な評価)が行われます。さらに、ベースアップ評価料の届出を行わず、賃上げの実施状況の報告も行わない医療機関は、入院基本料等の届出医療機関について、令和8年度改定で所定点数からの減算規定が新設されています(詳細は施設基準告示・通知に従って各保険医療機関で確認が必要)。
出典:令和8年度診療報酬改定 1. 賃上げ対応
評価料の算定対象職種が広がり、事務職員や若手医師が広く恩恵を受けられるようになることは、病院全体の人材定着において朗報です。しかし一方で、経営陣は「対象者が増える分、ベースアップに必要な原資の総額が大幅に膨れ上がる」という新たなジレンマに直面します。
📌 編集部ピックアップ
医師・MBAの資格を持つ医療経営の専門家は、2040年問題を「患者奪い合い+スタッフ奪い合いの二重苦」と表現し、医療マーケティングの本質として「バリューとポジショニング」の重要性を強調しています。特に「マーケティング戦略がない病院には医師も集まらない」と指摘し、自院が地域でどのような価値を提供するのか、何者であるかを明確に語れることが、人材獲得においても決定的に重要だとしています。賃上げ原資の確保と並行して、自院の戦略的ポジションを明確化することが、持続可能な人材確保の鍵となります。
政府が提示する「事務職員等5.7%」といった高い賃上げ目標を達成するには、ベースアップ評価料として得られる加算収入だけでは十分にカバーしきれず、病院の持ち出しが発生するケースも想定されます。
さらに、定期昇給を含めないという厳格なルールの下で賃上げ実績を報告する必要があるため、制度の趣旨を理解した精緻な給与改定が求められます。全職種が納得し、かつ病院の経営を圧迫しない持続可能な賃上げ制度をいかに設計できるかが、今後の病院経営の安定を左右します。
全職種の継続的な賃上げを確実に実現し、入院基本料の減算リスクを回避するためには、事務長や経営企画が主導となり、「医業収益の柱」をより太くする全社横断的なプロジェクトが不可欠です。昨今のコスト高騰環境下においては、経費削減には限界があるため、いかにトップライン(収益)を伸ばすかという戦略への転換が求められます。
その際、即効性が高く、かつ極めて有効なアプローチとなるのが「救急領域の改善」です。例えば、ドクターズプライムワークのソリューションを導入し、現場の負担をコントロールしながら「断らない救急」の仕組みを構築することで、救急車の受け入れ件数を増加させることが可能です。これにより、入院単価の向上や病床稼働率の最適化が図れ、結果として病院全体の医業収益が大きく向上します。
📌 編集部ピックアップ
九州の中規模病院では、外部の救急専門医を導入したことで、日勤帯の救急応需率がほぼ100%に到達し、月平均の救急経由入院が12.8人、入院率75.8%を記録しました。
初年度で年間約3600万円の増収を達成し、救急要請キャンセル率も28.1%から21%へと大幅に改善しています。経営陣は「導入費用はもはやコストではなく確実な投資だった」と評価し、現場からは「なんで受けたの?という声が消えた」という変化が報告されています。救急体制の強化が、収益性と現場の納得感を同時に高める実例として注目されます。
この仕組みを通じて得られた収益増を、若手医師や事務職員のベースアップ原資へとダイレクトに還元することで、職員のモチベーションが向上し、離職を防ぎながらさらに質の高い医療が提供できるようになるという「好循環サイクル」を生み出すことができます。
救急医療の強化は、地域医療への貢献と経営基盤の安定化、そして職員の処遇改善を同時に実現する最も強力な手段の一つとなります。
令和8年度のベースアップ評価料の対象拡大は、病院運営を支える幅広い職員に恩恵をもたらす一方で、経営陣には「賃上げ原資の自力確保」という重い課題を突きつけています。この課題を乗り越えるためには、診療報酬の算定に頼るだけでなく、救急収益の最大化など、自院の収益力を自ら高める「攻めの経営姿勢」が求められます。
全社一丸となった収益改善プロジェクトを立ち上げ、職員が安心し、やりがいを持って働き続けられる持続可能な賃上げを実現するための第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。救急領域の改善を通じた収益最大化の具体的なステップや成功事例については、ぜひドクターズプライムの資料をご請求いただき、貴院の経営戦略の実行にお役立てください。
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ
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