更新日:
2026/5/14

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keyboard_arrow_right※今回の記事は厚生労働省が発表している令和8年度診療報酬改定 1. 賃上げ対応、令和8年5月以前にベースアップ評価料を算定している医療機関向け、令和8年6月以降にはじめてベースアップ評価料を算定する医療機関向けから一部を抜粋し編集した記事となっています。
令和8年度診療報酬改定に伴うベースアップ評価料の見直しは、事務部門にとって非常にタイトなスケジュール対応を迫る内容になっています。特に注意が必要なのは、令和8年6月からの新ベースアップ評価料の算定を開始するためには、令和8年5月7日(木)から6月1日(月)必着までの間に、地方厚生局(都道府県事務所)へ所定の様式を提出しなければならないという点です。
ここで見落としがちなのが、この届出が新規算定だけでなく継続算定の医療機関にも必要だということです。これまでベースアップ評価料を算定していた医療機関であっても、令和8年6月以降も算定を続けるには、改めて5月中に届出を行う必要があります。うっかり継続扱いと思い込んで手続きを怠ると、6月分以降の算定ができなくなるおそれがあります。
📌 編集部ピックアップ
ドクターズプライム編集部の取材に応じたある元厚労官僚の副理事長は、『今回の改定は医療機関の選別を加速する改定だ』と指摘しています。令和8年度改定は本体+3.09%(うち賃上げ1.70%、物価対応0.76%)と本体ベースで30年ぶりの高水準ですが、賃上げ・物価対応を除いた純粋な改定原資は限定的で、賃上げ原資の確保は制度側の評価料を確実に取りにいく以外に道がない、という見方です。届出漏れは単なる事務ミスではなく、経営選別の入口に立てなくなるリスクと同義であるという認識が、今回の改定では特に重要になりそうです。
今回の改定では、届出手続きそのものには一部簡略化が図られています。具体的な変更点は次のとおりです。




参照:令和8年度診療報酬改定 1. 賃上げ対応、令和8年5月以前にベースアップ評価料を算定している医療機関向け、令和8年6月以降にはじめてベースアップ評価料を算定する医療機関向け
従来、新規届出時および毎年6月に作成・提出が必要だった 「賃金改善計画書」の作成が不要に
届出時に必要なのは、各評価料の情報(対象職員・評価区分算出に必要なデータ)を入力する届出書添付書類のみ
看護職員処遇改善評価料の様式93と入院ベースアップ評価料の様式97が様式97に統合され、様式内で各評価料の区分計算が自動で算出可能に
同一の給与体系に基づく複数医療機関を有する法人では、法人内の複数保険医療機関を通算して区分計算や報告書作成が可能に
ここだけを見ると事務負担は軽くなったように思えます。しかし、簡略化された部分の裏側で、毎年8月の報告義務が実質的に拡充されています。
従来は毎年8月に前年度分の「賃金改善実績報告書」を提出するのみでしたが、改定後は算定した年度の8月に「賃金改善中間報告書」を、そして翌年度の8月に「賃金改善実績報告書」を提出する2段構えの運用になります。つまり、届出(5月)→中間報告(8月)→実績報告(翌年8月)という年間サイクルで、事務部門が制度対応に向き合い続ける構造です。
届出期限だけ押さえれば済む話ではなく、年間を通した業務設計を組み直すタイミングに来ているといえます。経営層と事務部門で共有しておきたい論点は次の3点です。
対象職員の範囲拡大への対応:今回の改定で、対象職員に事務職員と40歳未満の医師・歯科医師・薬局薬剤師(いずれも経営者・法人役員、業務委託で勤務する者を除く)が新たに加わり、対象が大きく拡大しました。給与データの抽出条件を見直し、対象となる職員一覧を早期に確定させる必要があります。
賃上げ目標は職種ごとにメリハリがついており、看護補助者・事務職員は+5.7%、看護職員・病院薬剤師・リハ職・40歳未満の医師等は+3.2% が令和8年度の目標となります。賃金改善算定基礎額の算出時にこの2区分で係数が異なる(1.29×5.7% vs 1.29×3.2%)ため、給与データの抽出は職種区分ごとに行う必要があります。
賃金改善算定基礎額の算出体制:中間報告・実績報告では、対象職員ごとの月額賃金総額や基本給等の比較データが求められます。給与システムからのデータ抽出ルールを社内で標準化しておかないと、8月の報告段階で手戻りが発生します
法人内通算を使うか否かの意思決定:同一給与体系の複数施設を持つ法人では、通算方式か施設単独方式かで事務運用が変わります。4月中には方針を固めておくと、届出直前の混乱を避けやすくなります
区分計算時に必要な項目に大きな変動(対象職員数の1割以上の変動、または3月ごとのベースアップ評価料の算定回数の1割以上の変動)があり、再計算をした場合に区分が変化する場合には、区分変更の届出が別途必要になります。
📌 編集部ピックアップ
ある医療経営の専門家は、過去のセミナーで「査定率を0.1%下げることの方が、もしかしたら病院経営には収入10%増よりも効果的かもしれない」と語っています。事務部門の業務設計の精度が、そのまま経営インパクトに直結する時代に入ったという指摘です。賃上げ評価料の対応も同じ文脈にあり、数字の読み違いや報告のずれが、後々の減算や返還という形で経営を直撃する可能性があるため、算出ルールの院内標準化は最優先で取り組むべきテーマといえます。
5月の届出対応、6月からの新算定運用、8月の中間報告、そして翌年度の実績報告——制度対応のリソースが事務部門と経営企画に集中する時期は、どうしても現場のオペレーション改善や収益向上施策の優先度が下がりがちになります。
しかし、病院経営の根幹である救急応需や病床稼働は、事務の繁忙に合わせて待ってはくれません。改定では急性期病院の施設基準としても救急搬送件数の水準が厳しく問われており、制度対応で現場の勢いを落とすことは、かえって次期改定での立ち位置を悪化させることにもつながります。
📌 編集部ピックアップ
ある2次救急病院の事務部長はドクターズプライム編集部の取材に対して、外部救急専門医の導入について「導入費用はもはやコストではなく確実な投資だった」と振り返っています。この病院では日勤帯の応需率がほぼ100%に達し、月平均の救急入院も2桁台まで積み上がり、初年度で数千万円規模の増収を実現しました。制度対応で管理部門が立て込む時期ほど、現場の勢いを外部リソースで守るという発想が、経営の連続性を保つ鍵になっているようです。
そこで有効になるのが、救急医の採用・稼働最適化といったオペレーション領域の外部活用です。ドクターズプライムワークは、救急専門医の採用手配から夜間・日勤帯のシフト設計、応需率や入院率の改善に向けた運用支援までを一貫してサポートしており、事務部門が賃上げ対応の事務作業に集中している間も、収益基盤である救急部門を止めずに強化することができます。
📌 編集部ピックアップ
過去の取材でも、外部の救急専門医を導入することで日勤帯の応需率をほぼ100%まで引き上げ、初年度で数千万円規模の増収につなげた2次救急病院の事例が確認されています。別の中規模病院では、救急受け入れを病床稼働率に直結させる運用を敷くことで、上半期だけで約1億円の増収を実現しています。
制度対応と収益強化は、役割を切り分けて同時進行させるという発想が、今回の改定期を乗り切る鍵になります。
整理すると、今回のベースアップ評価料対応で事務長・経営企画が押さえるべきポイントは次のとおりです。
令和8年6月算定開始には、5月7日〜6月1日必着の届出が必須(新規・継続を問わず)
賃金改善計画書は不要になる一方、中間報告(算定年度8月)と実績報告(翌年度8月)の2段階報告が新たに運用される
様式統合と法人内通算の制度化は負担軽減の側面もあるが、院内のデータ抽出・運用ルールの整備が前提
事務部門が制度対応に追われる期間こそ、救急をはじめとする収益部門のオペレーションを止めない体制設計が重要
令和8年度は、制度対応と現場運営の両立が経営力を分ける1年になりそうです。自院の体制で手が回らない領域は、外部パートナーの力を使うことも含めて、年度スタート前に設計図を描いておくことをおすすめします。
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ
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