更新日:
2026/5/15

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keyboard_arrow_right※今回の記事は厚生労働省が発表している令和8年度診療報酬改定7.外来医療の機能分化・強化等から一部を抜粋し編集した記事となっています。
地域医療連携室を通じて、かかりつけ医への「逆紹介」を推進することは、多くの大病院にとって重要な経営課題となっています。しかし、連携先との調整に手間がかかるうえに、いざ患者様が退院された後、「空いた病床をどう埋めるか」という新たな悩みを抱える経営企画や事務長の方も多いのではないでしょうか。本記事では、厚生労働省の診療報酬改定で新設された「特定機能病院等紹介患者受入加算」を読み解きながら、これからの病床マネジメントと、救急領域への具体的なアクションについて解説します。
急性期病院において、在院日数の短縮は常に求められる重要な指標です。地域医療連携室のスタッフは日々、地域のクリニックや中小病院との調整に奔走し、患者様が安心して地域に戻れるよう支援しています。しかしこれまでは、受け皿となる地域の医療機関側にとって、大病院からの紹介患者様を積極的に受け入れるための明確なインセンティブが不足しているという課題がありました。その結果、調整が難航し、本来であれば退院可能な状態であっても病床が埋まったままになってしまうケースも少なくありませんでした。
さらに経営層や事務長を悩ませるのが、逆紹介がスムーズに進んだ後に発生する「空床リスク」です。退院調整がうまくいくほど病床の回転は速くなりますが、それに合わせて新規の入院患者様を獲得できなければ、病院全体の病床稼働率は目に見えて低下し、経営的なダメージに直結してしまいます。医療連携の成功が、逆に病床稼働の低下を招くという矛盾した事態が起きてしまうのです。
こうした状況の中、国も大病院からかかりつけ医への逆紹介を強力に後押しする制度を打ち出しました。それが新たに設けられた「特定機能病院等紹介患者受入加算」です。厚生労働省の資料によると、その算定要件と点数は以下の通り明確に定義されています。

加算点数:60点(初診料への加算。初診を行った場合に限り算定可能で、再診時には算定できません)
対象となる医療機関:診療所、または許可病床数が200床未満の病院
算定の主な条件:特定機能病院、地域医療支援病院(一般病床200床以上)、紹介受診重点医療機関(一般病床200床以上)、または許可病床数400床以上の病院(一般病床200床以上)からの紹介を受けて、初診を行った場合に評価される
この制度変更の最大のポイントは、紹介を出す大病院側ではなく、「受け入れ側のクリニックや中小規模病院」を直接的に評価している点です。高度医療機関での診療を終えた患者様を地域医療の現場で受け入れ、継続診療を行う役割そのものにインセンティブを付与することで、外来医療の機能分化とスムーズな患者移行を推進する強い意図が読み取れます。
📌 編集部ピックアップ
ある医療経営の専門家は「病院が問われているのは、長期的に地域の医療サイクルをどう設計するか、という役割だ」と語っています。今回の加算新設は、大病院・診療所それぞれの機能を明確にし、その役割分担を診療報酬で後押しする国の方向性と一致しており、地域ネットワーク全体の設計力が病院経営の競争力に直結する時代が来ているといえます。
この加算が新設されたことにより、医療現場にはどのような変化が起きるでしょうか。かかりつけ医側の受け入れインセンティブが高まるため、これまで難航しがちだった逆紹介のハードルは大きく下がります。地域のクリニックも積極的に患者様を受け入れるようになるため、連携体制はよりスムーズに構築されると予想されます。これは大病院にとって、在院日数の短縮と病床の回転率向上に直結する非常にポジティブな変化です。
一方で、これは病院経営における新たな課題の始まりでもあります。病床の回転が速まるということは、常に新規の「急性期患者」を獲得し続けなければ、あっという間に病床が空いてしまい、病床稼働率が急落するリスクを伴うからです。
制度の後押しによって「出口(退院)」のフローは整備されやすくなりましたが、同時に「入口(入院)」のフローをこれまで以上に強化しなければ、高い収益性を維持することは困難になります。「退院調整がうまくいくほど病床が空く」という構造的な矛盾に対して、経営として明確な答えを持っているかどうかが、この改定で差がつくポイントになります。
📌 編集部ピックアップ
ある石川県の2次救急病院では、経営危機を脱するために救急応需数を昨対比36%超増やし、入院率を45%から57%へ改善することで、上半期だけで約1億円の増収を達成したといいます。「病床を埋めるだけでは利益が出ない。救急からの入院獲得に戦略を集中した」という経営判断が、空床リスクへの具体的な回答となっていました。
では、回転が速まった病床を埋め、稼働率を維持・向上させるために、経営層や事務長は明日から何に取り組むべきでしょうか。新規の急性期患者様を最も確実に、かつ安定して獲得できる流入経路は「救急外来(ER)」です。退院が促進されて病床の回転が速まる分、救急の受け入れ枠を拡大し、断らない体制を構築することが、これからの病院経営における必須のアクションとなります。
なお、2026年度の診療報酬改定では、新たに「急性期病院B」の要件として、「年間500件以上の救急搬送かつ500件以上の全身麻酔手術」「人口20万人未満の二次医療圏で救急搬送件数が最大かつ年間1,000件以上」「離島からなる二次医療圏で救急搬送件数が最大」のいずれかを満たすことが求められる、厳しい実績水準が設けられました。救急応需の強化は単なる収益回復策にとどまらず、急性期病院としての機能認定を維持するための要件でもあります。逆紹介で外来や病棟の回転率を高めながら、救急・入院で自院の急性期機能を証明する——この両輪を同時に回すことが、今後の大病院経営に求められる基本戦略といえます。
しかし、いざ救急の受け入れを強化したくても、「当直を担う医師が不足している」「現場の医師の負担が大きすぎて、これ以上の受け入れは反発を招く」といった壁に直面する病院も少なくありません。
📌 編集部ピックアップ
ある千葉県の2次救急病院では、常勤医の高齢化により応需率が60%台に停滞していたところ、外部の若手救急専門医を輪番日の当直に導入したことで、応需率90%以上・病床稼働率約9割まで改善したといいます。院内全体で「救急を受ける日」という意識が醸成され、看護師の士気向上にもつながったとのことです。医師の確保が、直接的な稼働率改善につながった好例といえます。
そこで有効な解決策となるのが、ドクターズプライムワークを活用した、優秀な救急担当医師の確保です。ドクターズプライムワークでは、独自の評価基準で厳選された、救急対応に意欲的でスキルの高い医師を安定的に配置する仕組みを提供しています。具体的には以下のアプローチで病院の課題解決を支援します。
質の高い救急対応医師の安定確保:「救急車を断らない」「アクティブに救急対応ができる」医師を安定的に配置します。
常勤医の負担軽減と離職防止:夜間・休日の初期救急対応を担うことで、常勤医を疲弊させずに適切な労働環境を守ります。
救急車応需率の最大化による収益向上:人的リソース不足による断り事例を減らし、確実な入院・手術件数の増加につなげます。
常勤医の疲弊を防ぎ、現場の負担を適切にコントロールしながら「断らない救急」を実現することで、確実な入院経路を確保し、高単価な急性期病床のフル稼働を目指すことが可能になります。
地域連携による出口戦略が国の後押しで整いつつある今こそ、救急という入口戦略を抜本的に見直す絶好のタイミングです。「特定機能病院等紹介患者受入加算」の新設により逆紹介のハードルが下がるのは、大病院にとって病床回転率の向上という追い風である一方で、新規患者の獲得競争が一段と激しくなることを意味しています。
「出口の整備」と「入口の強化」をセットで設計できている病院とそうでない病院の間には、この改定を境に大きな経営格差が生まれていく可能性があります。制度変化を受け身で乗り越えるのではなく、救急機能の強化という攻めの姿勢で対応することが、安定した病床稼働率と収益性の維持につながります。
救急部門の体制強化や、質の高い医師の確保にお悩みの経営層・事務長の方は、ぜひ一度ドクターズプライムワークへご相談ください。貴院の病床稼働率を最大化し、安定した病院経営を実現するための具体的なソリューションをご提案いたします。
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ
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