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「当直の外部委託」という経営判断──2024年働き方改革後、2次救急病院が選ぶべきパートナーの条件

    「当直の外部委託」という経営判断──2024年働き方改革後、2次救急病院が選ぶべきパートナーの条件

    更新日:

    2026/5/15

    「当直の外部委託」という経営判断──2024年働き方改革後、2次救急病院が選ぶべきパートナーの条件|メソッド

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    「当直 外部委託 病院」で検索している経営者・事務長の皆様は、すでに解決策の方向性を定めている当事者でしょう。常勤医だけで当直を回すのは限界です。医局派遣も先細っています。残された選択肢は外部委託しかない──その認識に至ったうえで、今、どのサービスを選ぶべきかを探されていることと思います。

    本稿が論じるのは「委託すべきかどうか」ではありません。「委託する」という判断を前提に、市場に存在するサービスをどう類型化し、何を基準に選定し、どのように導入すべきかです。2024年4月の医師の働き方改革施行から2年が経過し、外部委託の選択肢は確実に増えました。しかし「当直を外部委託する」と一言で言っても、サービスの中身は大きく異なります。選定を誤れば、コストだけがかさみ応需率は上がらないという最悪の結果を招きます。以下、厚生労働省の制度枠組みと複数の病院事例から、選定の地図を描いていきます。

    本記事のポイント(30秒でわかるサマリー)

    論点

    結論

    サービスの3類型

    ①医師紹介会社(仲介型)、②スポット派遣プラットフォーム(単発マッチング型)、③救急改善プラットフォーム(体制設計+医師供給の一体型)

    今、外部委託が選択肢になる理由

    ①働き方改革による常勤医の当直制限、②医局派遣の減少、③宿日直許可取得と外部医師の親和性

    選定5観点

    ①医師の質(救急応需力)、②受入ルール設計支援の有無、③データ分析による可視化、④契約の柔軟性、⑤複数病院での再現性

    導入効果の共通項

    「医師の質」「受入ルール設計」「データ分析」の三位一体が成立する体制では、応需率60%台→90%超、年間数千万円単位の増収が複数病院で実証されている

    選定失敗パターン

    人数合わせだけで医師を投入し、受入ルールとデータが欠落 → コストがかさむが応需率は上がらない

    「当直の外部委託」とは何を指すのか──混同されがちな3つのサービス類型

    「当直の外部委託」という言葉は、市場で少なくとも3つの異なるサービスを指して使われています。選定の第一歩は、自院が必要としているのが3類型のうちどれかを明確にすることです。

    類型A|医師紹介会社(仲介型)

    医師と医療機関の雇用・契約をマッチングする職業紹介事業者。常勤・非常勤・スポットの求人を扱い、医療機関が当直医を探すと、登録医師と個別にマッチングします。厚生労働省の有料職業紹介事業の許可を受けて運営されています。

    • 課金モデル:成約時に医師年収の20〜30%前後の紹介手数料(常勤)、または1回当たりの紹介フィー(スポット)

    • 提供範囲:医師個人の紹介まで。来院後の業務設計・受入ルール整備は病院側が担う

    • 特徴:全国の求人数が多く選択肢は広いが、「誰が来るか」は個別マッチング任せで応需力・救急マインドセットが担保されません

    なお、医師紹介会社の手数料構造と、紹介会社依存から脱却するための採用ポートフォリオ再設計については、医師紹介会社の手数料が下がらない構造と4象限の採用ポートフォリオ再設計で詳述しています。

    類型B|スポット派遣プラットフォーム(単発マッチング型)

    オンラインで空き枠の当直・日直を医師側が検索・応募する仕組み。医療機関は日付ごとに求人を出し、医師が手挙げで入ります。マッチング自体はシステムで完結し、類型Aより効率的だが、基本構造は「個別の医師を単発で調達する」という点で類型Aと同じです。

    • 課金モデル:1回当たりの枠単価+プラットフォーム利用料

    • 提供範囲:単発の勤務枠の埋め合わせ

    • 特徴:急な欠員対応には有効だが、毎週・毎月の輪番日を継続的に埋める用途には向きません。医師の質のばらつきも類型A同様に残ります

    類型C|救急改善プラットフォーム(体制設計+医師供給の一体型)

    「当直医を提供する」ではなく、「自院の救急受入体制を再設計し、その中核となる医師を継続供給する」ことを目的としたサービス。医師供給はあくまで手段であり、目的は応需率・病床稼働率・収益の改善に置かれます。

    • 課金モデル:月額ベースの体制支援フィーまたは枠単価×稼働数

    • 提供範囲:①救急に対するマインドセットを持つ医師の継続供給、②受入ルールの設計支援、③救急搬送データ・応需率の可視化と分析、④院内の意識改革・院長への提言

    • 特徴:常勤医・看護師・救急隊との関係設計にまで踏み込むため、導入後の運用負荷は軽く、かつ成果指標が数値で追える

    3類型の構造比較

    観点

    類型A:紹介会社

    類型B:スポット派遣

    類型C:救急改善プラットフォーム

    主目的

    医師と病院のマッチング

    単発枠の効率的な埋め合わせ

    応需率・収益の継続的改善

    提供物

    医師個人の紹介

    単発勤務枠の充足

    医師供給+体制設計+データ分析

    医師の質の担保

    個別マッチング任せ

    個別応募任せ

    サービス側が救急応需力でスクリーニング

    受入ルール設計

    病院が自前

    病院が自前

    サービスが支援

    データ活用

    なし

    なし

    あり(応需率・入院率・搬送データ)

    主な用途

    常勤採用・単発補填

    急な欠員対応

    輪番日・継続的な救急応需体制

    重要なのは、どの類型が「優れているか」ではなく、自院の課題がどの類型で解決されるかです。急な欠員だけなら類型AやBで足ります。応需率改善と経営収益の両立が目的なら、類型Cが選択肢になります。


    なぜ今「当直の外部委託」が選択肢になるのか──2024年以降の3つの構造変化

    外部委託が急速に経営判断のテーブルに載るようになった背景には、2024年以降の3つの構造変化があります。これらを正しく認識することが、選定の前提となります。

    変化1|医師の働き方改革による常勤医の当直制限

    2024年4月から、勤務医の時間外労働には原則として年960時間・月100時間未満の上限が課されました。常勤医が月数回の当直に入るだけで上限枠の大半を消費するため、当直を常勤医だけで回す体制は構造的に維持できなくなりました。

    四病院団体協議会病院医師の働き方検討委員会の調査では、「日当直回数に上限が設けられたことで、医師数の少ない診療科では日当直体制をとれない日が生じている」という現場の声が寄せられています。常勤医が自院で当直に入れる回数には物理的な上限があり、その上限を超える部分は外部医師で埋めるしかありません。

    変化2|大学医局からの派遣減少・縮小

    同じ四病協調査では、「大学病院派遣の中止・縮小(当直時間の制限や派遣日数の減少)」という現場の証言が並んでいます。大学病院自体が医師の働き方改革対応で、派遣先病院への派遣日数を削る方向に動いています。特に、派遣先が宿日直許可を取得していない場合、派遣される医師の労働時間が派遣元大学病院の時間外労働カウントに通算されるため、派遣継続の経営判断が下りにくくなります。

    「医局にお願いすれば医師を派遣してくれる時代は終わった」というのは、地方病院・民間中小病院の共通認識になりつつあります。医局派遣減少の穴を埋める手段として、外部委託が経営判断のテーブルに載る構造が生まれています。

    変化3|宿日直許可の取得要件と外部医師の相性

    宿日直許可は、厚生労働省の通達「医師、看護師等の宿日直許可基準について」(令和元年7月1日付基発0701第8号)により、「軽度の又は短時間の業務」に限って認められます。救急応需が常態化する時間帯は、この基準を満たしません。

    ここで機能するのが、「救急応需が常態化する時間帯は外部医師に担当させ、軽度業務に収まる時間帯のみ宿日直許可を取得する」という切り分けです。厚労省FAQも「時間帯限定・診療科限定・輪番日除外」の部分許可を明示的に認めており、この設計を実現するうえで外部医師の継続供給は不可欠になります。

    つまり外部委託は、単なる「人手不足対応」ではなく、働き方改革への法的対応と救急応需体制の両立を実現する唯一の現実解として位置づけられています。宿日直許可が取れない病院が直面する具体的な法務リスクと対応ルートについては、宿日直許可が取れない病院で打てる選択肢で詳述しています。


    選定時に見るべき5つの観点──失敗しないための選定フレーム

    サービスを選定する際、どの観点で比較すべきか。5つの観点に整理します。この観点は類型A〜Cのどのサービスを選ぶかに関わらず、選定時のチェックリストとして機能します。

    観点1|医師の「質」──救急応需力とマインドセット

    応需率が動くかどうかの最大の分岐点は、来る医師の質です。救急専門医の資格を持っているかどうかよりも、「救急を受けることに対するマインドセット」が決定的に重要です。関東地方の約260床の2次救急病院の院長は、外部医師の導入前後をこう語っています。

    外部医師の導入前後について、以前は院内で環境整備(オンコール体制・インセンティブ設置)を行っていたものの、医師個人の経験値・リスク感覚のばらつきにより、常勤・非常勤を問わず断りが発生していたと振り返っています。根本原因は、「専門外で何かあったときに自分の責任になる」という心理的ハードルにあったといいます。

    環境整備だけでは応需率が動かず、医師の質を変えた瞬間に応需率が60%台から90%超に跳ね上がった、というのが同院の実体験です。選定時には「どういう基準で医師を集めているか」「救急応需率を評価指標として採用しているか」を必ず確認すべきです。

    観点2|当直だけでなく「受入ルール設計」の支援があるか

    医師を投入するだけでは応需率は上がりません。院内の受入ルールが整っていなければ、「受けるべき患者」と「受けるべきでない患者」の判断が現場で揺れます。前述の260床の病院が応需率改善に成功した理由は、医師投入と並行して以下の受入ルールを設計したからです。

    • ベッド上限設定:空き具合に応じた上限人数を設定

    • 条件付き受入:病床充足8割以降は、近隣・かかりつけ患者に限定した受入

    • 院内共有:「救急を受ける日」として看護師含む病院全体で目標を共有

    このルール設計は、病院単独で描くのは容易ではありません。複数病院の成功パターンを知るサービス側が、院長・看護部長と対話しながら描くほうが再現性が高い。サービスの提供範囲に「受入ルール設計の支援」が含まれているかどうかを確認すべきです。

    観点3|データ分析による応需率・入院率の可視化

    応需率改善を経営指標として追うには、データの可視化が不可欠です。「医師を入れたら応需率が上がった気がする」という感覚では、経営会議で投資対効果を議論できません。

    見るべきデータは最低限以下の5つです。

    • 応需率:日別・時間帯別の応需率

    • 受入/不応需の内訳:救急車要請に対する受入/不応需の内訳と理由

    • 入院率:搬送後の入院率

    • 在院日数・DPC:入院後の平均在院日数とDPC区分

    • 輪番日ギャップ:輪番日と非輪番日の応需率ギャップ

    これらのデータを継続的に可視化し、月次で院内会議に提出できる仕組みがあるかを確認すべきです。類型Cのサービスではこれが標準的に含まれるが、類型A・Bでは基本的に病院側で計測する必要があります。

    観点4|契約の柔軟性──時間帯・診療科・輪番日限定の可否

    宿日直許可を取得するためには、許可対象の時間帯と非対象の時間帯を切り分ける必要があります。そのうえで、非対象の時間帯のみ外部医師でカバーする契約ができるかが重要です。

    • 時間帯限定:限定した契約(例:21時〜翌朝8時のみ)は可能か

    • 診療科限定:限定した契約(例:内科救急のみ)は可能か

    • 輪番日限定:輪番日のみの契約は可能か

    • 稼働数変更:週次・月次での稼働数変更に柔軟に対応できるか

    これらが契約上可能かどうかが、宿日直許可の取得設計と連動します。契約が「丸ごと委託・フルタイム常勤」しか選べないサービスでは、許可取得との両立が困難になります。

    観点5|導入実績の再現性──複数病院で同じ成果が出ているか

    一つの病院での成功事例は「たまたま」の可能性を否定できません。複数病院で同じパターンの成功が再現されているかが、サービスの実力を測る最重要指標です。

    選定時には以下を確認すべきです。

    • 規模・地域の類似性:類似の病床規模・類似の地域性の病院で、応需率がどれだけ改善したか

    • 改善の持続性:改善までに要した期間と、改善が持続しているか

    • 多指標での改善:応需率以外の指標(入院率・病床稼働率・収益)でどこまで改善が出ているか

    • 卒業後の成果維持:支援から「卒業」した病院がその後も成果を維持しているか

    5観点の整理

    観点

    確認すべき問い

    該当類型

    ①医師の質

    救急応需を評価指標として採用しているか

    主に類型C

    ②受入ルール設計支援

    サービス側が院内ルール設計を支援するか

    類型Cのみ

    ③データ分析

    応需率・入院率を可視化する仕組みがあるか

    類型Cのみ

    ④契約柔軟性

    時間帯・診療科・輪番日限定が可能か

    類型B・C

    ⑤再現性

    複数病院で同一パターンの成果が出ているか

    類型Cで強く成立

    5観点を通して見ると、単なる「医師の頭数補充」の用途なら類型A・Bで足りるが、応需率改善と経営収益の両立を目指すなら類型C一択という構造が浮かび上がります。

    本稿で整理した選定5観点に対応する救急改善プラットフォームとしては、ドクターズプライムワークが複数病院で実装実績を積んでいます。次節では、同サービスを含む複数病院の導入効果を具体的な数字で確認します。


    導入効果の実例──「医師を入れただけでは上がらない」数字の作り方

    外部医師の導入が応需率・経営収益にどこまで影響するか、複数病院の実例で確認します。すべての事例に共通するのは、「医師投入だけでは数字は動かず、受入ルール設計とデータ分析が揃って初めて動く」という点です。

    事例1|関東地方・約260床の2次救急病院

    地域の月曜・金曜当番病院として2次救急を担う同院は、常勤医の高齢化(40〜60代)により当直負担が増大し、応需率は60%台で停滞していました。外部の若手救急専門医を導入し、輪番日の当直を従来の2名体制から外部医師1名体制に変更、併せて受入上限ルールを設計した結果、以下の数字に至りました。

    • 救急応需率:60%台 → 90%以上に改善・安定

    • 輪番日の救急受入:1日15〜20台をスムーズに対応

    • 病床稼働率:約9割で安定

    院長は次のように述べています。「救急車が7、8台並んでしまう状況もあるが、外部の救急専門医1人でスムーズに対応してもらえるため、安心して業務を任せられる」「救急隊もその医師がいる日は断らないという認識ができてきて、幅広い要請が来るようになった」。数字の改善と並行して、救急隊の口コミ経由で要請件数自体が増えるという副次効果も出ています。

    事例2|地方・約180床の2次救急病院

    常勤医の高齢化と属人的な救急体制に課題を抱えていた同院は、「その日に出勤している医師次第」という不確実性が経営の不安定要因になっていました。外部の救急専門医を活用したシステマティックな当直体制の導入後、以下の成果を得ています。

    • 日勤帯の救急応需率:ほぼ100%

    • 月平均入院患者数:12.8人(当初目標「月3人入院増」を大幅超過)

    • 平均入院率:75.8%

    • 売上増:年間3,600万円超(初年度で目標を達成)

    事務部長は導入効果をこう評しています。「当初は月に3人入院が増えれば御の字と考えていた。しかし蓋を開けてみれば、月平均12.8人もの入院患者を受け入れることができている」「導入費用はもはやコストではなく、病院の成長を加速させるための確実な『投資』であったと確信している」。同院では救急対応だけでなく「総合診療科的」な役割も外部医師が担い、複数疾患を抱えた高齢患者の対応にまで範囲が広がっています。

    事例3|コンサル支援による再現性──複数病院で同一パターンの成果

    さらに重要なのは、こうした成果が一つの病院の特殊解ではなく、複数病院で再現されているという点です。同一のサービスが支援した別の2次救急病院では、年間救急受入件数が800台から約3,000台へと約4倍に拡大した実績があります。共通する施策は以下です。

    • 「断らない宣言」の継続発信:院内・救急隊への継続的な意思表明

    • ファーストタッチ担当医制度:曜日ごとに1名がファーストタッチを担う体制

    • 日報・朝会での共有:断り理由を全員で振り返る文化醸成

    • タスクシフト推進:診療看護師(NP)等による医師業務の分担

    共通する成功の三位一体

    3事例に共通する成功要因を抽出すると、以下の三位一体が浮かび上がります。

    1. 医師の質:救急応需に対して主体的なマインドセットを持つ医師が来る

    2. 受入ルール設計:ベッド上限・ファーストタッチ担当・受入基準の言語化

    3. データ分析:応需率・入院率・断り理由の継続的な可視化

    この三位一体が成立しない限り、医師を何人入れても応需率は動きません。逆に言えば、三位一体が成立すれば、病床規模や地域特性に関わらず応需率は大幅に改善する可能性があります。


    導入プロセスと経営判断の段取り──相見積もり前に整理すべきこと

    実際に外部委託を進める際、相見積もりを取る前に整理しておくべき段取りがあります。この段取りを踏まずに見積もりを取ると、サービス側の「標準プラン」に飲み込まれて自院の必要に合わない提案を受けることになります。

    フェーズ1|自院の当直業務の棚卸し

    まず自院の当直業務を棚卸しします。整理すべきは以下です。

    • シフトの可視化:月・週別の当直シフトと担当医の実名リスト

    • 業務量の実績:時間帯別の救急受入件数・ウォークイン件数・病棟対応件数

    • 許可の取得状況:宿日直許可の取得状況(取得済み/未取得/部分取得)

    • 対象外業務の把握:許可対象の時間帯・診療科・業務範囲と、その外側で発生している業務

    • 時間外労働の通算:各当直医の常勤先との時間外労働通算状況

    この棚卸しなしには、「どの時間帯を外部委託すべきか」が定義できません。

    フェーズ2|外部委託で埋めるべき枠の定量化

    棚卸しを踏まえて、外部委託で埋める枠を定量化します。

    • 輪番日の穴埋め:輪番日のうち、外部医師でカバーすべき日数/時間帯

    • 非輪番日の補填:非輪番日で穴埋めが必要な日数

    • 契約形態の判断:単発補填で足りるか、継続契約が必要か

    • 内部枠との切り分け:常勤医・医局派遣医で残す枠との切り分け

    ここで類型A(紹介会社)・類型B(スポット派遣)・類型C(救急改善プラットフォーム)のどれが適切かが見えてきます。

    フェーズ3|サービス選定・PoC(概念実証)

    選定では、前節の5観点(医師の質/受入ルール設計/データ分析/契約柔軟性/再現性)に基づいて複数サービスを比較します。可能であれば、1〜3ヶ月のPoC期間を設けて、以下の指標で効果を検証します。

    • 応需率(前月比・前年同月比)

    • 入院率

    • 常勤医の当直負担時間

    • 看護師のアンケート評価

    フェーズ4|導入と院内ルール整備

    本格導入時には、外部医師と院内スタッフの連携ルールを整備します。特に重要なのは以下です。

    • 受入判断基準:ベッド充足率・診療科ごとの受入範囲

    • 救急隊との連携プロトコル

    • 入院後の主治医引き継ぎルール

    • 月次レビュー会議の設計

    経営判断チェックリスト

    フェーズ

    確認事項

    1. 棚卸し

    当直シフト/受入件数/宿日直許可の実態を整理したか

    2. 定量化

    外部委託で埋める枠を「時間帯・日数・診療科」で定義したか

    3. 選定

    5観点で複数サービスを比較し、PoC設計を描いたか

    4. 導入

    受入ルール・連携プロトコル・月次レビュー設計を整備したか

    まとめ──「委託先選び」は「経営パートナー選び」です

    当直の外部委託は、2024年以降の2次救急病院にとって避けて通れない経営判断になりました。本稿の主張を3点に要約します。

    1. 「当直の外部委託」は3類型に分かれる。自院の課題が「人数合わせ」なら類型A・B、「応需率改善と経営収益の両立」なら類型C。

    2. 選定は5観点で構造化すべき。特に「受入ルール設計の支援」と「データ分析」の有無が、応需率の動き方を決定づけます。

    3. 導入効果は「医師の質×ルール設計×データ」の三位一体で決まる。医師を入れるだけでは数字は動きません。

    中長期の視点を加えれば、2026年度診療報酬改定で新設される「急性期病院B」の実績要件は、救急搬送年間1,500件以上、または救急搬送500件以上かつ全身麻酔手術500件以上(ほか地域要件あり)です。中小病院にとってのリアルな生存ラインとして設計されたこの数字は、当直体制の再設計なしには到達できない水準でもあります。外部委託は短期の人手不足対応ではなく、2026年改定以降の地域医療で急性期機能を維持するための構造的な経営判断として位置づけられます。

    「人を採るか、外部に委託するか」ではありません。「自院の救急体制をどの経営パートナーと共に再設計するか」という問いに、向き合う時期に来ています。

    ドクターズプライムワークは、「救急車のたらい回しを解決し、病院経営を黒字化する」ことを掲げる「断らない医師」と「データ分析」の救急改善プラットフォームです。本稿で論じた類型Cに位置づき、複数の2次救急病院で応需率60%台から90%超、年間数千万円単位の増収という成果を再現してきました。自院の当直体制の再設計と応需率改善を両立させる外部委託先を検討している経営者・事務長にとって、選定候補の一つとして具体的な数字での比較検討を提示できます。


    引用元

    • 厚生労働省「医師、看護師等の宿日直許可基準について」(令和元年7月1日付基発0701第8号)

    • 厚生労働省「医療機関の宿日直許可に関するFAQ」(2024年8月6日版)

    • 厚生労働省「医師の働き方改革」関連資料

    • 四病院団体協議会病院医師の働き方検討委員会「医師の働き方改革に関する状況調査」

    • 労働基準法 第36条(時間外・休日労働協定/一般則の上限規制)、第141条(医師の特例)

    執筆・編集・監修

    執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
    「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。

    監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
    聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。

    参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ 

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