更新日:
2026/6/25

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※今回の記事は厚労省が発表している医師偏在対策についてから一部を抜粋し編集した記事となっています。
地方の総合病院や救急指定病院において、恒常的な医師不足が深刻な経営課題となっています。これまで多くの病院は、地域の拠点となる大学病院からの医師派遣(いわゆる医局派遣)に大きく依存して、日々の診療や夜間当直、救急体制を維持してきました。
しかし近年はこの状況が劇的に変化しています。新専門医制度の導入に加え、2024年4月から勤務医に対して時間外労働の上限規制(A水準:年960時間、B/C水準:年1,860時間)が適用されたことにより、大学病院側も自院の医師の労働時間を厳格に管理せざるを得なくなりました。その結果、関連病院への外勤(アルバイト)や医師派遣を縮小・引き揚げる動きが全国各地で加速しています。
地方の医療機関は自力での医師確保を強く迫られています。特に地域医療の最後の砦となる救急科や夜間・休日の当直を担う医師の不足は、地域の救急医療体制の根幹を揺るがす事態です。これからの病院経営においては、医局からの派遣に頼り切るのではなく、「いかにして持続可能かつ自立した医師確保体制を自院で構築するか」が喫緊の課題となっています。
📌 編集部ピックアップ
ドクターズプライム編集部の取材に応じたある医師少数区域の病院長は、医局との向き合い方について「負荷の高い業務を外部でカバーし、医局に無理な相談をせずに済み本流の関係性を維持できる」と語っています。この病院では「医局に頼らない」のではなく「医局に負担をかけない」共存戦略を取り、当直やスポット業務を外部でカバーすることで、稼働率9割超・地域2次救急の3割を担う体制を築きました。医局依存からの脱却は、関係を切ることではなく"負荷を切り分ける"という設計の問題であるといえそうです。
こうした都市部と地方における深刻な医師偏在を是正するため、国も新たな施策を打ち出しています。厚生労働省の資料によると、今後の医師確保計画において中核となる施策が医師偏在対策です。

医師偏在対策とは、地域ごとの医師不足を是正するため、国や都道府県が主導して医師の派遣や配置調整を行う総合的な計画です。この計画では、地域の医療ニーズと実際の医師数のバランスを数値化した医師偏在指標に基づき、都道府県ごとに医師確保の方針が策定されます。この指標から見て特に医師不足が顕著であり、重点的な支援が必要とされる地域は「重点支援区域(重点医師偏在対策支援区域)」などに指定され、主に以下のような対策が講じられます。
短期的な対策:医師が多い地域からの派遣等を通じて、一時的に医師数を補い、地域の医療提供体制を維持する方針
中長期的な対策:医学部における地域枠・地元出身者枠の増員などを進め、その地域に定着して医療を担う若手医師を計画的に育成・確保
インセンティブの付与:不足する分野や地域が医師から選ばれる環境づくりとして、診療報酬上の配慮や処遇改善・設備整備への支援など手厚い評価



参照:医師偏在対策について
「重点支援区域」に指定され、国や都道府県から公的な支援や医師派遣の仕組みが拡充されることは、地方の病院にとって一つの希望と言えます。しかし現場を預かる経営層や人事責任者の視点で見ると、大きな懸念事項が残ります。それは、国の対策が持つ「中長期的な目線」と、医療現場が今まさに求めている「即効性」との深刻な乖離です。
たとえば、地域枠の増員によって育成された医学生が、一人前の専門医として現場の戦力になるまでには、10年単位の長い時間が必要です。また医師が多い地域からの派遣調整についても、広域での調整や制度設計が必要となるため、「今週末の当直枠が空いてしまった」「来月の救急体制が組めない」といった足元の急場を即座に埋められる性質のものではありません。
「国の対策が本格化するのを待つだけ」という受け身の姿勢では、現在在籍している数少ない常勤医師に負担が過度に集中してしまいます。その結果、現場の疲弊による救急の受け入れ停止(応需率低下)を招くリスクが非常に高まります。救急応需率の低下は、地域の信頼を損なうだけでなく、救急医療管理加算などの重要な病院収益の減少にも直結します。
📌 編集部ピックアップ
過去に配信されたセミナーで、ある医療経営の専門家は2040年を見据えた病院経営について「攻めない経営は判断を先送りしない経営であることを忘れないでください」と強調しています。厚労省「新たな地域医療構想」関連推計では、2020年から2040年にかけて75歳以上の救急搬送は36%増、85歳以上では75%増となる見通しであり、こうした量的課題が迫る中、病院の将来は集約される基幹病院・支える側・撤退縮小の3択に分かれていくという見立てです。国の制度対応を待つ時間は、実は"判断先送りのコスト"として経営を蝕んでいる可能性があるという視点が、現場に求められています。
過労による常勤医師の離職という負のスパイラルに陥る前に、病院独自の対策を講じることが不可欠です。
この難局を乗り越え、地域医療の基盤と自院の経営を守るためには、公的な配置転換や支援策に依存するだけでなく、病院自身による能動的かつ即効性のあるアプローチが求められます。そこで経営層や人事担当者の皆様にご提案したいのが、民間のマッチングサービスを戦略的に併用することです。
具体的には、質の高い医師を迅速に確保できる「ドクターズプライムワーク」などの専門ソリューションを活用することが、非常に有効な一手となります。これを活用することで、以下のような強固な体制構築が可能になります。
都市部の医師の積極的な招致:医師が比較的潤沢に存在する都市部から、スポット(単発)や定期非常勤として医師を直接採用することができます。地方であっても、適切な条件を提示すれば都市部の医師を惹きつけることは十分に可能です
迅速かつ確実な欠員補充:急な当直の空きや、来月の救急対応シフトの穴を、スピーディーかつ確実に埋めることができます。これにより救急の受け入れ停止を防ぎ、高い応需率を維持できます
地域の偏在に左右されない自立した体制:医局の派遣事情や国のマクロな制度変更に振り回されることなく、独自の採用チャネルを持つことで、地域の偏在に左右されない強固な救急・当直体制を実現します
📌 編集部ピックアップ
ある2次救急病院では、常勤医の高齢化と院内整備の限界で救急応需率が60%台に停滞していたところ、外部の若手救急専門医を輪番日に導入することで応需率9割以上・病床稼働率も約9割へと安定化しました。同院の院長はドクターズプライム編集部の取材に対し、「救急車が7、8台並んでしまう状況もございますが、1人でスムーズに対応していただけるため、安心して業務をお任せできています」と語っています。即効性のある外部人材活用が、応需率と経営指標を同時に押し上げる打ち手として機能している実例です。
医師偏在対策による「重点支援区域」の指定や派遣調整は、地方病院を支える重要な公的制度です。しかし、その恩恵が現場に届くまでにはどうしてもタイムラグが生じます。「ただ待つ」経営から「自ら動く」攻めの経営へとシフトし、公的な制度とドクターズプライムワークに代表される民間サービスを組み合わせたハイブリッドな人材確保戦略を描くことが、これからの病院経営および救急体制維持の鍵となります。
まずは明日から、自院の当直シフトの医局依存度や常勤医師の負担状況を改めて可視化し、即効性のある新たな採用チャネルの導入に向けて、具体的な検討を始めてみてはいかがでしょうか。
Q. なぜ大学医局からの医師派遣が縮小しているのですか?
A. 新専門医制度の導入に加え、2024年4月から勤務医に時間外労働の上限規制(A水準年960時間、B/C水準年1,860時間)が適用され、大学病院も自院の医師の労働時間を厳格に管理せざるを得なくなったためです。関連病院への外勤や医師派遣を縮小・引き揚げる動きが全国で加速しています。
Q. 医局依存から脱却すべきということですか?
A. 「依存から脱却」ではなく「医局に負担をかけない共存戦略」が現実解です。当直やスポット業務を外部でカバーすることで、医局への無理な相談を避けつつ本流の人事交流・専門医派遣という関係性を維持できます。関係を切るのではなく「負荷を切り分ける」設計の問題です。
Q. 重点支援区域に指定されると何が得られますか?
A. 短期的には医師が多い地域からの派遣等による一時的な医師数の補充、中長期的には地域枠・地元出身者枠の増員による若手育成、そして診療報酬上の配慮や処遇改善・設備整備への支援などのインセンティブが講じられます。
Q. 国の医師偏在対策を待っていれば解決しますか?
A. 足元の急場は埋められません。地域枠で育成した医学生が専門医として戦力になるには10年単位かかり、派遣調整も「今週末の当直」「来月の救急体制」を即座に埋める性質ではありません。「対策を待つだけ」の受け身では現在の常勤医に負担が集中します。
Q. 受け身で待つと何が起きますか?
A. 数少ない常勤医に負担が過度に集中し、現場の疲弊による救急の受け入れ停止(応需率低下)を招くリスクが高まります。応需率低下は地域の信頼を損なうだけでなく、救急医療管理加算などの病院収益の減少にも直結します。
Q. 共存戦略の具体的な姿はどんなものですか?
A. 負荷の高い当直・スポット業務を外部医師でカバーし、医局との本流関係を維持する形です。実際に医師少数区域の病院で、この戦略により稼働率9割超・地域2次救急の3割を担う体制を築いた事例があります。医局依存の限界に対し、自立した医師確保体制を自院で構築することが課題です。
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ



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