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【令和8年診療報酬改定】包括型訪問看護の新設を「救急応需率向上」につなげる地域連携戦略

    【令和8年診療報酬改定】包括型訪問看護の新設を「救急応需率向上」につなげる地域連携戦略

    更新日:

    2026/5/15

    【令和8年診療報酬改定】包括型訪問看護の新設を「救急応需率向上」につなげる地域連携戦略   |メソッド

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    ※今回の記事は厚生労働省が発表している令和8年度診療報酬改定 9. 質の高い訪問看護の推進から一部を抜粋し編集した記事となっています。

    「とりあえず搬送」が救急現場を蝕む構造的問題

    現在、多くの病院経営者や救急責任者が直面している深刻な課題の1つに、夜間や休日に高齢者施設から送られてくる「軽症だが念のための救急搬送」があります。施設側における夜間の医療・看護対応体制が十分でない場合、職員が急変時の不安から救急車を要請してしまうケースが少なくありません。

    これにより、地域の救急外来(ER)を担う勤務医が疲弊し、本来直ちに診るべき重症患者の受け入れに支障が出ている状況が続いています。さらに、医師の働き方改革による時間外労働の上限規制が厳格化される中で、不要・不急の搬送をいかに減らし、限られた人的リソースを適正に配置・集中させるかは、病院の医業収益や経営そのものを左右する急務となっています。

    高齢者救急の増加は構造的な問題です。令和6年中の救急出動件数は救急自動車だけで約772万件(消防庁発表)に達し、過去最多を更新しました。搬送人員に占める高齢者の割合も6割を超え、構造的な高齢者救急の増加が鮮明になっています。施設からの「とりあえず搬送」がこの数字を押し上げている側面は否定できません。しかも、施設から搬送される高齢者の多くは複数の併存疾患を抱えており、急性期病院での在院日数が長期化しやすく、病床を占有し続けることで新規救急患者の受け入れを制限するという悪循環を生み出しています。

    📌 編集部ピックアップ

    ある3次救急・救命救急センターの副院長は「高齢者救急はその一部の人たちが頑張ってもダメで、病院として一丸となって方針を決めて動いていくことが大事」と語っています。出口となる転院・後方施設のネットワーク整備と、入口となる救急受け入れ体制の強化は車の両輪であり、どちらが欠けても高齢者救急の課題は解消しないというのが現場の実感のようです。

    【令和8年度改定】「包括型訪問看護療養費」の新設とその要件

    こうした現場の課題を解決する一手として、令和8年度の診療報酬改定において新たに「包括型訪問看護療養費」が新設されました。これは「高齢者向け住まい等に併設・隣接する訪問看護ステーションが、当該住まいに居住する利用者に対して24時間体制で計画的または随時の頻回な看護対応を行った場合を、1日単位の包括費用として評価する新たな制度」です。この改定により、施設内での医療的ケアの完結力が高まることが期待されます。

    具体的な要件として、以下のポイントが明記されています。

    令和8年度診療報酬改定 Ⅱ-5-2 重症患者等の様々な背景を有する患者への訪問看護の評価-⑧ 包括型訪問看護療養費の新設  【概要】 高齢者住まい等に併設・隣接する訪問看護ステーションが、当該住まいに居住する利用者(別表第7、8及び特別訪問看護指示)に24時間体制で計画的又は随時の対応による頻回の訪問看護を行った場合の、1日当たりの訪問時間及び単一建物に居住する利用者の人数に従い算定する「(新) 04 包括型訪問看護療養費(1日につき)」を新設する。

    出典:令和8年度診療報酬改定 9. 質の高い訪問看護の推進

    • 夜間帯の体制確保:90分以上の区分など、所定の高頻度・長時間訪問の算定対象者を抱える場合は、午後6時から翌午前8時までの夜間帯に看護職員を常時1名以上配置し、計画的・随時の訪問に対応できる体制を整えることが施設基準で定められています(要件の詳細は厚労省「令和8年度診療報酬改定について(訪問看護ステーション向け)」を参照)。

    • 算定の仕組み:1日に行った指定訪問看護の合算時間(30分〜60分未満、60分〜90分未満、90分以上など)および単一建物に居住する利用者の人数(20人未満、20人〜50人未満、50人以上)に応じて算定

    • 訪問回数・時間の要件:日中および夜間に少なくともそれぞれ1回ずつの指定訪問看護を実施。1日当たりの実施時間が60分以上となる場合は1日に3回以上の訪問が必要。1日に1回以上は看護職員(准看護師を除く)による訪問が必要

    • 夜間帯の体制確保:所定の算定(90分以上の区分等)を行う利用者に対しては、午後6時から午前8時までの夜間帯に看護職員を常時1名以上配置し、計画的・随時の訪問に対応できる体制を整えることが施設基準として定められている

    病院側に求められる地域連携フローの再構築

    この「包括型訪問看護療養費」の新設が現場にもたらす影響は、非常に大きいと考えられます。高齢者施設側で夜間を含めた24時間の専門的な看護対応が可能になれば、施設からの不要・不急な救急要請は激減するでしょう。

    しかし、病院側としてはただ搬送が減るのを待つのではなく、能動的な連携体制の構築が必要です。地域のどの施設や訪問看護ステーションがこの包括型算定の届け出を行い、施設内で自立した対応が可能になるのかを正確に把握する必要があります。その上で、対象施設からの直接の救急搬送ルールを整備し、夜間の相談窓口や連携フローを再構築することが、病院としての重要なアクションとなります。施設側とのホットラインを設け、「真に必要な場合にのみ、スムーズに搬送を受け入れる」という体制を築くことが求められます。

    📌 編集部ピックアップ

    ある救命救急センターでは、病院長・副院長・看護部長・事務部長が揃って地域20数ヵ所の病院を直接訪問し、下り搬送の受け入れをお願いして回ったといいます。「24時間365日受けていただけるところが出てきて、下り搬送がスムーズになった」という声が聞かれており、管理職が能動的に地域ネットワークを構築することの重要性を示しています。施設との上流連携も、同様の能動的なアプローチが求められます。

    救急受け入れの余力を活かす「攻めの救急体制」へ

    後方施設との連携強化によって「とりあえずの軽症搬送」が減少すれば、救急外来には大きな変化が訪れます。これまで軽症対応に割かれていた時間的・体力的なリソースが解放され、「真に救急対応が必要な重症患者」を受け入れるための大きな余力が生まれます。

    この空いた余力をいかに医業収益の向上につなげるかが、経営層や事務長にとっての最重要テーマとなります。軽症患者の頻回な対応から脱却し、本来の専門性を活かせる環境が整った救急外来は、優秀な医師にとって非常に魅力的な職場となります。そして、救急応需率の向上は単なる収益改善にとどまらず、2026年度改定で新設された急性期病院B一般入院料の要件達成にも直結します。同入院料は、過去1年間の救急搬送が1,500件以上、または救急搬送500件以上かつ全身麻酔手術500件以上、もしくは人口20万人未満の二次医療圏で救急搬送が最大かつ1,000件以上のいずれかを満たす病院が対象とされており、救急受け入れ件数の増加はこの要件クリアに直結します。

    📌 編集部ピックアップ

    ある2次救急病院では、常勤医の高齢化により応需率が60%台に停滞していたところ、外部の若手救急専門医を輪番日の当直に導入したことで、応需率90%以上・病床稼働率が約9割まで改善したといいます。「救急を受ける日」として院内全体の意識が醸成され、看護師の士気向上にもつながったとのことで、医師確保が組織文化の変革にも波及した好例といえます。

    そこでおすすめしたいのが、救急領域に特化した医師採用・マッチングサービスであるドクターズプライムワークの活用です。スキルと意欲を兼ね備えた優秀な救急担当医を安定的に確保することで、自院の救急応需率をさらに高めることができます。救急車の適切な受け入れ件数が増加すれば、単価の高い急性期患者の獲得につながり、結果として病院全体の医業収益の最大化に直結します。

    まとめ:制度改定を追い風に、持続可能な救急体制へ

    令和8年度診療報酬改定による「包括型訪問看護療養費」の新設は、高齢者施設からの軽症搬送を防ぎ、ER勤務医の負担を大きく軽減する可能性を秘めています。しかし、その恩恵を最大限に受けるためには、病院側が能動的に地域施設との連携フローを再構築することが前提です。

    制度変化を受け身で待つのではなく、地域ネットワークの設計者として動ける病院こそが、「真に必要な救急患者」だけを効率よく受け入れる体制を整え、収益と医師の働きやすさを両立できます。ぜひ、今回の制度改定を機にドクターズプライムワークのソリューション導入をご検討いただき、貴院の持続可能で強固な救急体制の構築にお役立てください。

    執筆・編集・監修

    執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
    「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。

    監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
    聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。

    参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ 

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