更新日:
2026/6/17

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※本記事は、救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を通じて、100病院超・累計救急受入患者数16万人超の救急体制改善を支援してきた現場知見と、厚生労働省・中央社会保険医療協議会の一次情報をもとに作成しています。
この記事でわかること
包括型訪問看護(療養費)とは何か、2026年度改定でなぜ新設されたのか
算定の仕組み(訪問時間区分 × 単一建物居住者数区分)と対象者・施設基準
病院・高齢者施設にとっての意味(「とりあえず搬送」の抑制と地域連携)
包括型訪問看護療養費は、2026年度(令和8年度)診療報酬改定で新設された制度です。「高齢者住まいに併設・隣接する訪問看護ステーションが、24時間体制で頻回の訪問看護を行った場合を1日単位で包括評価する」仕組みで、施設内での夜間医療の完結力を高め、結果として「とりあえず救急搬送」の抑制につながると期待されています。本記事は制度の中身(定義・要件・算定)に特化します。高齢者救急の受け入れ強化そのものは「地域包括医療病棟はどう変わる?高齢者救急の受け入れ強化」、応需率の組織的改善は「救急応需率が上がらない構造原因と改善戦略」に整理しています。
論点 | 結論 |
|---|---|
何か | 高齢者住まいに併設・隣接する訪問看護STが、24時間体制で頻回訪問した場合を1日単位で包括評価する新療養費(2026年度改定で新設) |
従来との違い | 「1回いくら」の出来高から、「1日の合算訪問時間」に応じた包括評価へ |
算定区分 | 1日の合算訪問時間(30〜60分/60〜90分/90分以上)× 単一建物居住者数(20人未満/20〜50人未満/50人以上) |
対象者 | 別表第7・第8に掲げる疾病等の者、または特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者 |
体制要件 | 計画的・随時の頻回訪問に24時間対応できる体制 |
病院への意味 | 施設の夜間対応力が上がり、軽症の「とりあえず搬送」抑制が期待される |
包括型訪問看護療養費とは、高齢者住まい等に併設・隣接する訪問看護ステーションが、その住まいに居住する利用者に対して24時間体制で計画的または随時の頻回な訪問看護を行った場合を、1日単位の包括費用として評価する、2026年度改定で新設された制度です。
従来の訪問看護は「1回の訪問につきいくら」という出来高払いが基本でした。包括型訪問看護では、評価軸が「1回ごと」から「1日の合算訪問時間」へと変わります。これにより、夜間を含めて頻回に訪問が必要な利用者を抱える併設・隣接型のステーションを、計画的・継続的に評価できるようになります。
新設の背景には、高齢者施設からの夜間・休日の「軽症だが念のための救急搬送」という構造的課題があります。施設側の夜間の看護対応体制が十分でないと、急変時の不安から救急要請に至りやすく、地域の救急外来が逼迫します。施設内での医療的ケアの完結力を高めることが、この制度のねらいです。
包括型訪問看護療養費は、1日に行った指定訪問看護の合算時間と、単一建物に居住する利用者の人数の組み合わせで、1日当たりの額が決まります。
区分 | 内容 |
|---|---|
訪問時間(1日の合算) | 30分以上60分未満/60分以上90分未満/90分以上 |
単一建物居住者数 | 20人未満/20人以上50人未満/50人以上 |
代表的な額の例として、単一建物居住者20人未満で1日の合算訪問時間が90分以上(所定の場合)のときは15,510円、単一建物居住者20〜50人未満で30分以上60分未満のときは6,310円が新設されています(出典:厚生労働省告示第74号)。
算定にあたっては、次の運用要件が定められています。
日中および夜間に、少なくともそれぞれ1回ずつの指定訪問看護を実施する
1日当たりの実施時間が60分以上となる場合は、1日に3回以上の訪問が必要
1日に1回以上は、看護職員(准看護師を除く)による訪問が必要
算定対象となる利用者は、別表第7に掲げる疾病等の者、別表第8に掲げる者、または特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者に限られます。
体制面では、計画的・随時の頻回な訪問に24時間対応できることが求められ、所定の高頻度・長時間訪問の対象者を抱える場合には夜間帯の体制確保が施設基準として定められています。届出を含む要件の詳細は、厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について(訪問看護ステーション向け)」および関連告示で確認してください。
包括型訪問看護の普及は、病院の救急体制にも波及します。高齢者施設側で夜間を含めた24時間の専門的な看護対応が可能になれば、施設からの不要・不急な救急要請の抑制が期待できます。
高齢者救急は構造的に増えています。令和6年中の救急自動車による救急出動件数は約772万件と過去最多を更新し(消防庁「令和7年版 救急・救助の現況」)、搬送人員に占める高齢者の割合も高水準が続いています。施設からの「とりあえず搬送」がこの数字を押し上げている側面は否定できません。
ただし病院側は、搬送が減るのを待つのではなく能動的な連携が必要です。地域のどの施設・訪問看護ステーションが包括型の届出を行い施設内で自立した対応が可能になるかを把握し、対象施設からの搬送ルールや夜間相談窓口を整備します。高齢者救急の受け入れ強化そのものの設計は「地域包括医療病棟と高齢者救急の受け入れ強化」、応需率を組織的に上げる進め方は「救急応需率が上がらない構造原因と改善戦略」、急性期からの転院・下り搬送の受け入れ設計は「転院・戻り受け入れ可否の意思決定フロー」をご覧ください。
Q1. 包括型訪問看護とは何ですか? 高齢者住まいに併設・隣接する訪問看護ステーションが、24時間体制で頻回の訪問看護を行った場合を1日単位で包括評価する、2026年度改定で新設された療養費です。
Q2. 従来の訪問看護と何が違いますか? 評価軸が「1回いくら」の出来高から「1日の合算訪問時間」に応じた包括評価へ変わります。夜間を含め頻回に訪問が必要な利用者を継続的に評価できます。
Q3. 算定額はどう決まりますか? 1日の合算訪問時間(30〜60分/60〜90分/90分以上)と単一建物居住者数(20人未満/20〜50人未満/50人以上)の組み合わせで決まります。詳細は本記事の算定区分の項をご覧ください。
Q4. 対象になる利用者は誰ですか? 別表第7・第8に掲げる疾病等の者、または特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者に限られます。
Q5. いつから算定できますか? 2026年度(令和8年度)改定として新設され、2026年6月1日に施行されています(算定には所定の届出が必要)。
Q6. なぜこの制度が新設されたのですか? 高齢者施設からの夜間・休日の「とりあえず搬送」を抑制し、施設内での医療的ケアの完結力を高めるためです。地域の救急逼迫の緩和がねらいです。
Q7. 病院側にはどんな影響がありますか? 対象施設の夜間対応力が上がることで、軽症の不要不急な救急搬送の抑制が期待されます。詳細は本記事の「病院・高齢者施設にとっての意味」をご覧ください。
Q8. 高齢者救急の受け入れ自体を強化するには? 地域包括医療病棟を含む高齢者救急の受け入れ強化は「地域包括医療病棟はどう変わる?」、応需率の組織的改善は「救急応需率が上がらない構造原因と改善戦略」で解説しています。
Q9. 救急の受入実績は診療報酬にどう効きますか? 2026年度改定で救急患者応需係数が新設され、受入実績が入院料の施設基準に直結します。詳細は「救急医療管理加算は2026改定でどう変わるか」をご覧ください。
Q10. 病院がまず取るべきアクションは何ですか? 地域のどの施設・訪問看護STが包括型の届出を行うかを把握し、対象施設からの搬送ルールと夜間相談窓口を整備することです。
包括型訪問看護の普及は、病院の救急受け入れ余力を「重症対応に集中させる」好機です。自院の救急応需率・入院転換率・病床稼働率の実データをもとに、地域連携と救急体制の再設計を検討したい経営者・事務長の方は、「救急を断らない医師」の紹介と救急データ分析の両面から支援するドクターズプライムワークの活用をご検討ください。
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ



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