更新日:
2026/5/15

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keyboard_arrow_right※今回の記事は厚生労働省が発表している令和8年度診療報酬改定10. 重点的な対応が求められる分野(救急医療・小児周産期医療)から一部を抜粋し編集した記事となっています。
救急医療の現場において、高度な治療を必要とする重症患者を他院へ転院搬送する場面は日常的に発生します。しかし患者の安全を確保するためには、自院の医師や看護師が救急車に同乗する必要があり、これが現場の大きな課題となっています。
限られた人員で救急外来や病棟を回している中、スタッフが同乗のために一時的に現場を離れることは、残されたメンバーへの業務負担を極めて大きくしてしまいます。特に夜間や休日など、ただでさえ人員が手薄な時間帯における転院搬送は、新規の救急搬送の受け入れ停止(救急止め)に直結しかねません。
📌 編集部ピックアップ
ある300床台の2次救急病院では、高齢者救急搬送がこの10年で3〜5割増加する中、受入率98%を維持する体制を構築しました。
この病院では高齢者救急の困難さを「入口(受入判断)」「院内(治療・ケア)」「出口(転院搬送含む)」の3層構造として捉え、救命救急士6名を院内配置することで転院搬送時の体制を強化。「24時間365日受けていただけるところが出てきたことで、下り搬送がスムーズになった」と評価されています。
病院経営や人事の視点からも、スタッフの疲弊を防ぎつつ、地域医療の要としての救急受け入れをいかに継続していくかは、常に向き合うべき重要なテーマです。
このような転院搬送に伴う医療機関の負担軽減や、円滑な搬送を推進する観点から、診療報酬改定において新たな評価が設けられました。



出典:令和8年度診療報酬改定10. 重点的な対応が求められる分野(救急医療・小児周産期医療)
厚生労働省の資料によれば、搬送先医療機関への搬送時間が長期間となる場合においても円滑な転院搬送を推進する観点から、医師、看護師又は救急救命士が同乗して長時間(30分超)搬送を行う場合の評価が新設されています。これが、令和8年度改定で新設された『救急患者連携搬送料 長時間加算(700点)』です。
ここで、長時間加算の要点について分かりやすく整理します。長時間加算は、既存の救急患者連携搬送料(1または2)を算定する際、医師・看護師又は救急救命士が同乗し、当該搬送に要した時間が30分を超えた場合に、所定点数に上乗せで算定する加算です算定にあたっては、地域のメディカルコントロール協議会等と協議のうえ、受入可能な疾患・病態を整理した『連携医療機関リスト』を整備しておくことが施設基準で求められます。届出時にはこの協議記録の添付が必要です。この新設により、これまで持ち出しになりがちだった「搬送同乗スタッフの拘束時間」に対して、明確な経営的評価が下されることになります。
(厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 10.救急医療・小児周産期医療」P.8-9)
「長時間加算」の創設による評価の手厚い拡充は、病院経営において非常に前向きなニュースです。しかし、実際に現場でこの加算を算定し、収益へとつなげていくためには、乗り越えるべき大きな壁が存在します。
搬送に要した時間が30分を超える転院搬送ということは、往復の移動や受入先での申し送りまで含めると、同乗するスタッフは実質1時間以上拘束されることになります。この間、貴重な医療スタッフが院内から完全に離脱することになり、現場の「一時的な戦力ダウン」は極めて深刻です。
もし、この戦力ダウンをカバーする体制が整っていなければ、「同乗スタッフを出すと救急外来が回らないから転院搬送ができない」、あるいは「転院搬送中は新たな救急車の受け入れをストップせざるを得ない」という事態に陥ります。結果として、せっかくの新設加算も算定機会を活かすことができません。
評価拡充の恩恵を最大限に受けるためには、医師や看護師の同乗を救急救命士の活用などで代替するタスク・シフトの推進や、残された救急外来を確実に回すための強力なバックアップ体制の構築が不可欠となります。
では、経営層や人事担当者は、明日から具体的にどのようなアクションを起こすべきでしょうか。ポイントは「チームの再構築」と「初療の安定化」の2点にあります。
まず1点目は、転院搬送を見据えた救急チームの再構築です。新設された長時間加算の要件には、医師や看護師だけでなく「救急救命士」の同乗も含まれています。これまで医師や看護師が担っていた搬送同乗業務を、院内で雇用する救急救命士へ積極的にタスク・シフトしていくことで、医師や看護師を院内の治療に専念させることが可能になります。
そして2点目が、一時的な人員減にも耐えうる盤石な救急体制の構築です。同乗によって院内の人員が手薄になった際にも救急受け入れをストップさせないためには、救急外来の初療を安定して任せられる「外部医師の確保」が非常に有効な手段となります。
📌 編集部ピックアップ
ある150床の病院では、医局に負担をかけない共存戦略として、当直・夜間救急など負荷の高い業務を外部でカバーする体制を構築しました。「負荷の高い業務を外部でカバーし、医局に無理な相談をせずに済み本流の関係性を維持できる」という運用により、稼働率90%超・地域2次救急の3割を担当する体制を実現しています。
ここでご検討いただきたいのが、ドクターズプライムワークのソリューションです。ドクターズプライムワークでは、独自の厳しい審査を通過した、救急対応への意欲とスキルの高い即戦力医師をご紹介しています。
- 独自審査を通過した医師による質の高い初療:救急外来を安心して任せられるため、常勤医は重症患者の対応や転院搬送の判断などに集中できます。
- 救急車の受け入れ率向上:外部の即戦力医師を活用することで、「人が足りないから断る」という状況を減らし、搬送中であっても救急車を断らない体制を維持できます。
外部の信頼できる医師を活用し、残された救急外来の体制を強固に保つことで、初めて「長時間加算」の算定機会を逃さず、かつ地域医療への貢献と収益確保を両立させることができます。
「長時間加算(700点)」の新設は、重症患者の転院搬送において大きな負担を抱えていた医療現場にとって、その労力が正当に評価される重要な一歩です。しかし、その評価を実際の経営改善につなげるためには、現場の戦力低下を防ぐための具体的な人材配置と体制づくりが欠かせません。
病院経営者や人事担当者の皆様におかれましては、ぜひこの制度改定を機に、救急救命士を活用したタスク・シフトの推進と、ドクターズプライムワークを通じた即戦力医師の確保をご検討ください。スタッフの負担を軽減しながら、地域から信頼され続ける救急医療体制の構築を目指していきましょう。
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ
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