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【令和8年度改定】医師のタスク・シフティングを収益化する「看護・多職種協働加算」の活用法

    【令和8年度改定】医師のタスク・シフティングを収益化する「看護・多職種協働加算」の活用法

    更新日:

    2026/4/17

    【令和8年度改定】医師のタスク・シフティングを収益化する「看護・多職種協働加算」の活用法|メソッド

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    ※今回の記事は厚生労働省が発表している令和8年度診療報酬改定説明資料等について内の03_令和8年度診療報酬改定の概要 3.急性期・高度急性期入院医療から一部を抜粋し編集した記事となっています。

    高齢化に伴う現場の負担増と「働き方改革」のジレンマ

    現在、多くの病院経営者や人事担当者の皆様が、高齢患者の増加とそれに伴う現場の負担増という課題に直面されているのではないでしょうか。高齢の患者様は複数の疾患を抱えていることが多く、入院中のADL(日常生活動作)低下を防ぎ、早期退院を目指すためには、日常的できめ細やかなケアが不可欠です。

    一方で、医療現場では「医師の働き方改革」への対応が急務となっています。患者様へのケアを手厚くしようとするほど、現場の医師や看護師に業務が集中し、労働環境の改善が難しくなるというジレンマを抱えている病院は少なくありません。経営層の皆様にとっては、医療の質を維持しながら、いかにしてスタッフの負担を軽減し、同時に病院の収益性を確保するかが、非常に重要な経営課題となっていることと存じます。

    📌 編集部ピックアップ

    中部地方の中核病院では、高齢者救急搬送がわずか10年で3〜5割も増加しており、現場の負担は入口・院内・出口の3層構造で複雑化している実態が明らかになっています。高齢者救急の困難さは単に医療処置だけでなく、受け入れ体制から院内での多職種協働、そして退院調整に至るまで、組織全体の体制整備が求められる構造的な課題となっています。

    「看護・多職種協働加算」の要点と算定基準

    このような課題を解決する一手として注目したいのが、「看護・多職種協働加算」です。

    結論から申し上げますと、この加算は「高齢患者のADL維持や早期退院を目指し、看護職員と多職種(理学療法士、管理栄養士など)が協働する体制」を評価する仕組みです。これまで病院側の持ち出しになりがちだったタスク・シフティングの取り組みを、直接的に収益化できる意義を持っています。

    制度の主な算定要件とポイントは以下の通りです。

    令和8年度診療報酬改定「急性期における評価の見直し」のスライド。病院機能に着目した「急性期病院一般入院基本料」と、高齢者等のケアを評価する「看護・多職種協働加算」の新設について説明。現行の「急性期の患者割合に基づく評価」に加え、改定後は実績等に応じて「急性期病院A」「急性期病院B」「急性期一般入院料1〜6」から選択可能になる仕組みを図解しています。
    令和8年度診療報酬改定「多職種が病棟で協働する体制の評価」のスライド。新設される「看護・多職種協働加算(1日につき)」について解説しています。急性期一般入院料4を算定する場合は加算1(277点)、急性期病院B一般入院料の場合は加算2(255点)となります。あわせて、患者25人に対し1人以上の配置を求めるなどの施設基準や、理学療法士、管理栄養士など各職種が行う業務の具体例が表でまとめられています。
    令和8年度診療報酬改定「看護・多職種協働加算における職員配置の例」のスライド。1病棟50床の場合を例に、急性期病院B・急性期一般4(10対1配置+25対1加算)では「看護職員約24人+看護職員又は多職種約10人」が必要になる図解。参考として急性期病院A・急性期一般1(7対1配置)の「看護職員約35人」と比較しています。

    出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定資料

    算定点数:基準を満たすことで、1日につき 255点 または 277点 が加算されます。

    配置基準:患者25名に対して、多職種を1名以上、常時配置する(25対1配置)ことが求められます。

    施設基準要件:大きな特徴として、「医師の負担軽減・処遇改善に資する体制整備」が含まれている点が挙げられます。

    つまり、多職種がチームとして病棟業務に参画し、医師から多職種へのタスク・シフティングを組織的に行うことが、診療報酬として明確に評価される制度となっています。

    📌 編集部ピックアップ

    ある首都圏の中規模急性期病院では、診療所の平均利益率が9.9%と公表される中、病院経営においては「収入を10%増やすよりも、査定率を0.1%下げることの方が経営効果が高い場合もある」という現実に直面しています。診療報酬の適切な算定と加算の戦略的活用は、今や病院経営の生命線となっており、タスク・シフティングを収益化する本加算の重要性が一層高まっています。

    加算取得がもたらす現場への波及効果と採用ブランディング

    この加算を取得することは、単なる収益の増加にとどまらず、現場に二つの大きな好循環をもたらします。

    第一に、多職種連携による医療の質向上と負担軽減です。理学療法士や管理栄養士が病棟に常駐し、それぞれの専門性を活かして患者様のケアに直接関わることで、これまで医師や看護師が抱えがちだった業務が適切に分散されます。結果として、医師は本来の専門的な診断や治療方針の決定に専念できるようになります。

    📌 編集部ピックアップ

    ある地方の中核病院では、人員を増やす前にまず業務効率化に着手し、10〜20秒単位の改善を積み重ねることで入院数10%増とスタッフ満足度向上を同時に達成しました。救急受け入れが1.9倍に成長した後、退職代行の多発で崩壊危機に陥った教訓から「人を増やす前にそもそも効率的に動いているか考え直す」姿勢が組織に根付き、部門横断の業務改善が文化として定着しています。

    第二に、採用ブランディングへの直結です。施設基準にある「医師の負担軽減・処遇改善に資する体制整備」をクリアし、加算を取得しているという事実は、外部に対して「当院はスタッフの働きやすさにしっかりと投資している病院である」という客観的かつ強力なメッセージになります。タスク・シフティングが制度として根付いている「働きやすい病院」であることは、優秀な医師や医療スタッフを採用する上で、何よりの強みとなります。

    明日から取り組むべきアクションと救急領域の改善

    では、経営層の皆様は明日から具体的にどのようなアクションを起こすべきでしょうか。

    まずは、現在の病棟における多職種の配置状況を可視化し、25対1配置の要件を満たすための人員計画を立てることから始まります。同時に、どの業務を医師から多職種へ移行できるか、現場のヒアリングを行いながらタスク・シフティングの具体的なガイドラインを策定することが重要です。

    さらに、医師の疲弊が最も顕著に表れる「救急領域」の改善も並行して進める必要があります。病棟でのタスク・シフティングが進んでも、夜間や休日の救急対応で医師が消耗してしまっては、根本的な働き方改革には繋がりません。

    📌 編集部ピックアップ

    ある関東圏の急性期病院では、救急救命士6名を院内配置することで、医師・看護師の負担を大幅に軽減し、受入率98%を維持することに成功しています。救急隊との連携窓口や初期対応の一部を救命士が担うことで、「24時間365日受けていただけるところが出てきたことで、下り搬送がスムーズになった」という地域全体の医療連携の好循環も生まれています。

    ここで有効なのが、救急医療体制の構築を支援する「ドクターズプライムワーク」のソリューションの活用です。ドクターズプライムワークを通じて、質の高い救急担当医師を安定的に確保し、救急の受け入れ体制を最適化することで、常勤医師の当直負担を劇的に軽減できます。

    病棟業務は「看護・多職種協働加算」を活用したタスク・シフティングで効率化し、救急業務はドクターズプライムワークを活用して外部人材の力で最適化する。この両輪を回すことが、真の意味での「医師の負担軽減」と「病院の収益向上」を両立させる具体的なステップとなります。

    まとめ

    「看護・多職種協働加算」は、高齢化対応と医師の働き方改革という二つの課題を同時に解決へ導く重要な鍵となります。25対1配置という基準をクリアし、255点または277点の加算を取得することは、タスク・シフティングの取り組みを経営的価値に変換することに他なりません。

    ぜひ、この制度を単なる算定項目として捉えるのではなく、病院の組織風土を変革し、採用力を高めるための戦略的ツールとしてご活用ください。そして、救急領域の見直しを含めた包括的な体制整備を進めることで、スタッフが定着する持続可能な病院経営を実現していきましょう。

    執筆・編集・監修

    執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
    「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。

    監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
    聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。

    参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ 

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