更新日:
2026/6/22

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診療報酬改定のたびに発生する施設基準の届出業務は、医事課・事務部門にとって大きな負担です。この届出は「保険医療機関等電子申請・届出等システム」によってオンライン申請が可能になっており、対象となる施設基準も大きく拡大しています。本記事では、厚生労働省・地方厚生(支)局の公表資料をもとに、オンライン申請の対象範囲・利用開始のやり方・メリット、そして事務部門の生産性向上という経営視点までを整理して解説いたします。
※本記事は、厚生労働省および各地方厚生(支)局が公開する「保険医療機関等電子申請・届出等システム」の案内資料、ならびに厚生労働省「令和8年度診療報酬改定」関連資料を参照し、編集部にて再構成したものです(情報基準日:2026年6月)。
保険医療機関等電子申請・届出等システムとは何か/施設基準の届出はオンラインでどこまで申請できるのか/対象となる施設基準はいくつあるのか/利用を始めるにはどうすればよいか/オンライン申請のメリットは何か/浮いた事務リソースを経営にどう活かすか
「保険医療機関等電子申請・届出等システム」を使うと、保険医療機関等から地方厚生(支)局への施設基準の届出・申請の一部を、紙ではなくオンラインで提出できる
オンライン申請の対象となる施設基準の届出は、令和7年3月31日に18→113届出へ、さらに令和8年1月26日に113→324届出へと段階的に拡大した
受理済みの同一施設基準の届出情報をコピーできるほか、辞退届の電子申請や複数病棟まとめての申請にも対応
メリットは、24時間提出可能・差戻しリスクの軽減・郵送コスト削減・控えのペーパーレス化
利用には、オンライン請求ネットワークに接続した端末と、ヘルプデスクから発行されるユーザID・初期パスワードが必要
事務作業の削減で生まれた余力を、経営企画や救急部門の支援といった生産性の高い業務へ再配分できるかが、経営上の論点になる
保険医療機関等電子申請・届出等システムとは、保険医療機関や薬局が、地方厚生(支)局へ提出する施設基準の届出・申請の一部を、オンラインで行えるようにする厚生労働省のシステムです。これまで紙の様式を作成し、郵送・持参していた手続きを、インターネット経由で提出できるようになります。
引用:厚生労働省 地方厚生(支)局「保険医療機関等電子申請・届出等システムについて」
紙ベースの申請では、入力漏れや記載ミスによる差戻し、再提出の手間やタイムロスが発生しがちでした。電子申請は、こうした事務負担を構造的に軽減することを狙いとしています。
オンライン申請の対象となる施設基準の届出は、段階的に拡大してきました。
令和7年3月31日:18届出 → 113届出に拡充 令和8年1月26日:113届出 → 324届出に拡大
引用:厚生労働省 地方厚生(支)局「保険医療機関等電子申請・届出等システムについて」
あわせて、利便性を高める改善も実施されています。具体的には、過去に電子申請して受理済みとなった同一施設基準の届出情報をコピーして再利用できること、対象の施設基準について辞退届もオンラインで提出できること、特定入院料等で複数病棟分をまとめて申請できることなどです。
施設基準は、診療報酬点数のうち「届け出て受理されなければ算定できない」ものに設けられており、入院料の看護配置・重症患者割合・在宅復帰率や、多くの手術の実績要件などが該当します。これらの届出が広くオンライン化されたことは、改定対応の事務フローそのものに影響します。
電子申請には、事務部門にとって次のようなメリットがあります。
時間と場所を選ばない受付:システムはメンテナンス時間を除き原則24時間365日利用でき、夜間や休日でも医療機関側の都合に合わせて申請できます。申請内容はシステム上で受付され、審査の進捗もオンラインで確認できます(ヘルプデスクの問い合わせ対応は平日9時〜17時)。
差戻しリスクの軽減:システムが入力漏れや入力誤りの最低限のチェック機能を備えているため、申請前の点検が容易になり、紙申請で多発していた差戻しのリスクを抑えられます。
ペーパーレス化とコスト削減:紙の届出様式と同じ画面で作成でき、申請内容は電子で保管されるため、控えを紙で保存する必要がなくなり、郵送費用も削減できます。
システムの利用には、オンライン請求ネットワークに接続された端末と、専用のユーザID・初期パスワードが必要です。
ユーザID・初期パスワードは、一定要件を満たす保険医療機関等へ順次発行されています。一斉発行の対象外で早期に利用を希望する場合は、所定の「利用開始届出」を作成し、ヘルプデスクへ提出することで発行を受けられます。利用開始の具体的な手順・動作環境・操作方法は、各地方厚生(支)局のページおよびシステム概要資料に掲載されています。導入準備を早めに進めておくことが、スムーズな移行の第一歩になります。
引用:厚生労働省 地方厚生(支)局「保険医療機関等電子申請・届出等システムについて」(利用開始方法)
オンライン化の意義は、単なる手続きの電子化にとどまりません。書類作成・郵送準備・差戻し対応に費やしていた工数が削減されることで、事務部門に新たな余力が生まれます。
経営層・事務長にとって重要なのは、この「削減された時間と労力をどこに向けるか」という視点です。残業時間を減らすだけでなく、生み出された余力を、経営企画の立案や現場支援といった生産性の高い業務へ再配分できるかどうかが問われます。「事務の効率化=人員削減」ではなく「事務の効率化=戦略的投資の原資」と捉え直せる病院が、これからの経営競争で優位に立てるのではないでしょうか。
その投資先の一つが、救急部門のバックオフィス支援です。救急医が担っている救急隊との連絡やカルテ入力などの付帯業務を事務スタッフが補助し、転院調整や後方病床の連絡を引き受けることで、医師が診療に集中できる時間が増えます。結果として、同じ時間内に受け入れられる患者数が増え、救急応需率と病床稼働率の改善につながります。制度対応で生まれた余力を、収益に直結する領域へどう振り向けるか——それが、これからの病院経営の競争力を左右します。
施設基準の届出オンライン化は、事務部門の業務フローを大きく変える契機です。オンライン申請の対象は324届出まで拡大し、改定対応の負担を構造的に軽減できる環境が整いつつあります。まずは自院の届出業務のフローを見直し、システム導入でどこにどれだけの余力が生まれるかを把握すること。そして、その余力を経営企画や救急部門の強化へ振り向けられるかどうかが、次の一手となります。
Q. 保険医療機関等電子申請・届出等システムとは何ですか?
A. 保険医療機関・薬局が、地方厚生(支)局への施設基準の届出・申請の一部をオンラインで提出できる厚生労働省のシステムです。紙の作成・郵送が不要になり、24時間提出が可能です。
Q. オンライン申請できる施設基準はいくつありますか?
A. 令和8年1月26日時点で324届出が対象です。令和7年3月31日に18→113届出、令和8年1月26日に113→324届出へと段階的に拡大しました。
Q. オンライン申請を始めるには何が必要ですか?
A. オンライン請求ネットワークに接続した端末と、ヘルプデスクから発行されるユーザID・初期パスワードが必要です。一斉発行の対象外の場合は、利用開始届出を提出して発行を受けます。
Q. 紙の申請と比べた具体的なメリットは何ですか?
A. 24時間365日の提出が可能、入力チェックによる差戻しリスクの軽減、郵送コストの削減、控えのペーパーレス化です。受理済み届出情報のコピーや複数病棟まとめての申請にも対応しています。
Q. 辞退届もオンラインで出せますか?
A. 対象の施設基準については、辞退届の電子申請も可能です。
Q. オンライン化で生まれた余力は何に使うべきですか?
A. 残業削減にとどめず、経営企画や救急部門のバックオフィス支援など生産性の高い業務への再配分が有効です。救急の事務支援は、応需率・病床稼働率の改善を通じて収益に直結します。
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ



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