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【令和8年度改定対応】「下り搬送」拡充を収益に変える、急性期病院の救急病床マネジメント

    【令和8年度改定対応】「下り搬送」拡充を収益に変える、急性期病院の救急病床マネジメント

    更新日:

    2026/5/15

    【令和8年度改定対応】「下り搬送」拡充を収益に変える、急性期病院の救急病床マネジメント |メソッド

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    今回の記事は、厚生労働省 令和8年度診療報酬改定「10. 重点的な対応が求められる分野(救急医療・小児周産期医療)」、および「8. 質の高い在宅医療の推進」等をもとに編集部が構成した記事です。

    救急外来(ER)のひっ迫と「断り」がもたらす経営的課題

    現在、多くの急性期病院において、救急外来(ER)のひっ迫が課題として意識されています。その大きな要因の一つが、急性期での治療を終えて状態が安定した患者様が、後方病床や転院先の不足により病棟に滞留してしまう問題です。急性期病床が埋まっている状態では、本来受け入れるべき重篤な救急患者様の「断り」が発生してしまいます。

    この「救急車を断らざるを得ない」という状況は、現場の医療スタッフに心理的負担と疲弊を招くだけでなく、病院経営の視点から見ても、収益機会の損失につながっています。これからの急性期病院においては、救急搬送の応需率をいかに高め、適切な病床回転を実現していくかが、重要なテーマとなります。

    📌 編集部ピックアップ

    ある中部地方の500床超の基幹病院では、受入率98%を維持しながら、過去10年で高齢者救急搬送が3〜5割増加した中部地方の500床超基幹病院では、救命救急士6名の院内配置や、「入口・院内・出口」の3層構造での包括的な体制整備により、後方連携の改善(下り搬送のスムーズ化)を実現している(編集部取材/院長講演より引用。具体名は割愛)。」

    「下り搬送」と救急患者連携搬送料の拡充

    このような現状を打開し、地域全体での医療提供体制を最適化するため、制度面でも方針が示されています。厚生労働省が提示する資料の2ページ目には、今後の地域連携の方向性が記載されています。

    令和8年度診療報酬改定の資料スライド「2040年とその先を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進」。  上部には全体方針として、入院分野における緊急入院の受け入れや円滑な入退院の実現、リハビリ等の充実、および在宅医療・訪問看護分野におけるICTを用いた情報連携や重症患者に合わせた評価の見直しが記載されている。  中央から下部にかけては、各医療機関や自宅が矢印で結ばれた相関図が描かれており、地域包括ケアシステムの全体像と各領域の主な改定ポイントが示されている。各領域の要点は以下の通り。

    出典:令和8年度診療報酬改定 8. 質の高い在宅医療の推進

    具体的には、「令和8年度診療報酬改定では、急性期病院から包括期・慢性期病院への『下り搬送』を活用した際の評価(救急患者連携搬送料)が充実され、民間救急の積極的な活用も推進されています。」

    資料内でも、ERや急性期医療を担う病院から、包括期医療を担う病院や慢性期入院医療へ患者様を移行させることが示されており、地域連携を通じた「下り搬送」へのインセンティブが強化されていることがわかります。 これらの制度改定のポイントを、自院の経営戦略に組み込むことが大切です。

    📌 編集部ピックアップ

    元厚生労働省官僚で現在病院経営に携わる医師は、今回の改定について「医療機関の選別を加速する改定だ」と指摘する。本体改定率は2年度平均で+3.09%(R8年度+2.41%/R9年度+3.77%)だが、その大半は賃上げ対応(+1.70%)と物価対応(+0.76%)で構成され、診療現場の改善に充てうる「純粋な点数改定分」は限定的だ。

    さらに新設の急性期病院入院料では、A要件で救急搬送年2,000件以上かつ全身麻酔年1,200件以上、B要件は救急搬送年1,500件以上などの選択肢が求められ、救急の年間台数が経営の生命線になる。「救急車受け入れを病床稼働率に結びつけなければ、経営改善に繋がらない」と、下り搬送と入口強化の一体的な戦略の重要性を強調している。

    参考:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について(全体概要版)」令和8年度診療報酬改定 3. 急性期・高度急性期入院医療

    転院調整と「攻めの救急受け入れ」

    この「下り搬送」の評価拡充は、病院の現場にどのような影響をもたらすのでしょうか。ポイントは大きく2つあります。

    後方支援病院への転院調整業務の重要性増大

    下り搬送に対するインセンティブが高まることで、MSW(医療ソーシャルワーカー)や連携室による退院支援・転院調整業務が、これまで以上に重要な業務となります。

    「攻めの救急受け入れ体制」の構築による経営の最適化

    下り搬送によって急性期病床を空けるだけでは、経営の最適化は図れません。空いた病床を素早く、緊急性・専門性が高い救急患者様で埋めるための「攻めの救急受け入れ体制(ERのマンパワー確保)」を構築できるかどうかが、病院経営を大きく左右することになります。

    📌 編集部ピックアップ

    医療経営に詳しい医師・経済学博士は、2040年問題を「患者奪い合い+スタッフ奪い合いの二重苦」と表現し、「マーケティング戦略がない病院には医師も集まらない」と警鐘を鳴らす。

    DPCデータで地域の疾患分担状況を分析し、「自分たちが何者か」まで語れる病院が生き残るという。救急応需率向上は、単なる件数増ではなく病院のポジショニング戦略そのものとなる時代が来ている。

    ドクターズプライムワークの活用による改善

    転院調整の円滑化と並行して、読者の皆様が明日から取り組むべき具体的なアクションとして、「新たな救急要請を確実に断らない体制の構築」が挙げられます。しかし、現場の医師の負担増を懸念し、なかなか受け入れ体制の強化に踏み切れないという声も少なくないのが現状です。

    そこで有効なソリューションとなるのが、「ドクターズプライムワーク」の活用です。ドクターズプライムワークでは、単なる医師紹介ではなく、「救急受け入れに意欲的な当直医・救急医」を確保するための仕組みを提供しています。

    具体的な改善のステップとして、以下のような取り組みをサポートします。
    - 救急受け入れに積極的な医師の採用・配置によりERのマンパワーの安定確保を図ります。
    - 救急車の応需率向上により、空き病床を迅速に稼働させることを目指します。
    - 重症患者様の受入れ増加に伴う病床回転率の最適化と収益最大化の実現へとつなげます。

    📌 編集部ピックアップ

    東京都内のある99床病院では、コロナ禍で年間4000台から2000台に激減した救急搬送が、救急専門医の副院長着任後1年で6000台、2年で7500台へ急拡大した。鍵は「断らない宣言」の徹底とファーストタッチ担当医制度の導入、そして毎朝の日報振り返り文化。同院の支援他院でも800台から3000台へ4倍増を達成し、再現性が実証されている。この副院長は「いくら言っただけでも信用は誰もしてくれない。しっかり断らずに受けていくことが救急隊との信頼関係に繋がる」と語る。

    まとめ

    令和8年度診療報酬改定を機に、「下り搬送」の仕組みを最大限に活用し、病院全体の収益構造を見直す良い機会になるかと存じます。 転院調整を推進して病床を空け、そこに新たな救急患者様を迎え入れるサイクルを確立するためには、現場のマンパワー不足を解消することが求められます。

    救急領域の改善や応需率向上を目指す病院経営者・人事担当者の方は、ぜひ一度、救急に強い医師確保の専門サービスであるドクターズプライムワークへお問い合わせください。貴院の実情に寄り添った、最適なマンパワー確保のソリューションをご提案いたします。

    執筆・編集・監修

    執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
    「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。

    監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
    聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。

    参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ 

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