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訪問看護との「ICT連携加算」新設がもたらす退院支援の効率化と病床回転率の向上

    訪問看護との「ICT連携加算」新設がもたらす退院支援の効率化と病床回転率の向上

    更新日:

    2026/5/15

    訪問看護との「ICT連携加算」新設がもたらす退院支援の効率化と病床回転率の向上   |メソッド

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    ※今回の記事は厚生労働省が発表している令和8年度診療報酬改定 9. 質の高い訪問看護の推進から一部を抜粋し編集した記事となっています。

    深刻化する退院調整の難航と病床回転率の悪化

    急性期治療を終えた患者さまがスムーズに退院・転院できない「退院調整の難航」は、多くの病院において深刻な経営課題となっています。特に、退院直後などにご自宅や施設で状態が悪化し、再び救急外来へ搬送されてしまう「出戻り救急搬送(Uターン入院)」の発生は、患者さまのご負担になるだけでなく、後方支援ベッドの回転率を著しく低下させる要因です。

    限られた病床を有効に活用し、地域の救急医療を守るためには、いかに安全かつ迅速に患者さまをご自宅や地域へお戻しできるかが、病院運営における重要なテーマとなっています。

    退院調整の難航は、構造的な問題でもあります。高齢者の場合、急性期治療が終わっても認知症や多疾患の併存によりADLが低下しやすく、在宅復帰の条件が整うまでに時間がかかります。さらに、退院後のフォローアップ体制が不十分なまま帰宅させると、数日以内に状態が悪化して再入院するケースが後を絶ちません。こうした「Uターン入院」は、患者・家族の不安と負担を増やすとともに、新規救急患者を受け入れるべき急性期病床を再び占有するという二重の損失を生み出します。こうした中、地域における医療機関と訪問看護の連携を後押しする新しい評価制度が創設されました。

    📌 編集部ピックアップ

    ある3次救急・救命救急センターでは、出口となる転院・後方施設の確保が「高齢者救急の出口問題」の核心だと語られていました。「受けた後の出口を作ることこそが高齢者救急対応の要」という現場の実感は、退院調整のICT強化が病院経営全体に好影響をもたらすという今回の制度趣旨とも重なります。

    新設「訪問看護医療情報連携加算」の要点

    今回の診療報酬改定において、退院後の在宅生活を支える重要な評価として「訪問看護医療情報連携加算」が新設されます。この制度は、地域の医療機関と訪問看護ステーションがICT(情報通信技術)を用いて円滑に情報共有を行うことを推進するものです。

    本加算は「医療機関等の関係職種がICTを用いて記録した診療情報を活用し、指定訪問看護の計画的な管理を行った場合の評価」と定義づけられます。具体的な算定要件および評価は以下の通りです。

    厚生労働省の診療報酬改定に関するスライド資料。スライドのタイトルは「訪問看護におけるICTを用いた医療情報連携の推進」です。  スライドに記載されている主な内容は以下の通りです。  1. 制度見直しの概要と目的 地域の医療機関等の関係職種が、ICT(情報通信技術)を用いて記録した診療情報を活用し、指定訪問看護の計画的な管理を行った場合を新たに評価することが示されています。  2. 現場の連携イメージ(図解部分の解説) 病院の主治医や関係職種(退院支援部門など)と、地域の指定訪問看護ステーションの訪問看護師が、ICTシステム等のネットワークを通じて、診療情報や次回の予定、ケアの留意点などをリアルタイムで共有・連携している様子が図解で表されています。  3. 新設される加算と算定要件の詳細(評価内容) スライド内には、新設される加算の具体的な点数と要件が記載されています。  【新設】訪問看護医療情報連携加算:月1回 1,000円  対象となる患者:訪問看護管理療養費を算定する患者。  算定要件の概要:病院等の主治医や関係職種がICTを用いて記録した診療情報等を、指定訪問看護ステーションの看護師が活用して計画的な管理を行った場合。  全体として、医療機関から訪問看護ステーションへのシームレスな情報提供とICT活用を推進し、退院後の在宅生活を支えるための新しい評価制度が創設されたことが解説された1枚です。

    出典:令和8年度診療報酬改定 9. 質の高い訪問看護の推進

    • 評価点数(金額):月1回 1,000円

      なお、本加算は「在宅患者連携指導加算」および「在宅医療情報連携加算(在宅時医学総合管理料・在宅がん医療総合診療料に規定するもの)」を算定している場合には算定できないため、すでにこれらを算定しているケースでは実質的な増収につながらない可能性があります。導入前に自院・連携先ステーションの算定状況の確認が不可欠です。

    • 算定対象:訪問看護管理療養費を算定する患者さま

    • 要件の概要:連携する保険医(病院・診療所の医師)、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、ケアマネジャー(介護支援専門員)、相談支援専門員等の関係職種がICT(電子情報処理組織等)上に記録した診療情報等を、訪問看護ステーションの看護師等が活用して計画的な管理を行うこと

    この新設により、病院側から訪問看護側へのシームレスな情報提供が、これまで以上に明確に評価される仕組みとなります。加算の金額は月1回1,000円と単価自体はそれほど大きくないものの、制度が「ICT連携を使った退院後管理の質を評価する」という方向性を打ち出した意義は大きく、地域連携体制の整備を後押しするシグナルとして受け取るべきです。

    ICT連携が現場にもたらす変化と在院日数短縮への効

    この制度変更は、単なる加算の追加にとどまらず、病院の退院支援部門と地域の訪問看護ステーションのあり方を大きく好転させる可能性を秘めています。

    現場における最大のメリットは、病院の主治医や退院支援部門と、地域の訪問看護師がリアルタイムで情報共有できるようになる点です。退院後の診察予定、服薬指導の留意点、ご自宅で想定される急変の兆候などをICTツール上で即座に共有できます。

    これにより、現場では以下のような変化が期待できます。

    • 退院後の急変リスクの予測・予防:退院直後の些細な変化にも訪問看護師が早期に気づき、病院側へ迅速に相談できるため、重症化や出戻り救急搬送を未然に防ぎやすくなります。

    • 安全かつ早期の退院移行:退院後のフォローアップ体制が強固になることで、医師やスタッフも安心して患者さまを早期に在宅へ移行させることが可能となり、結果として在院日数の短縮が実現します。

    📌 編集部ピックアップ

    ある関東圏の2次救急病院では、救急外来での業務フローを見直し、部門横断で役割分担を再設計したことで、入院数が10%以上増加したといいます。「人を増やす前に、そもそも効率的に動いているかを考え直す」というアプローチは、退院支援においても同様で、ICT連携によって情報共有の工数が削減されれば、その余力をより質の高い患者サポートや新規受け入れ準備に回すことができます。

    一方で、病院側としても地域のICT連携ネットワークに参画するためのシステム環境整備や、院内スタッフの運用フローを構築することが課題となるため、早期の対応と準備をおすすめいたします。

    経営層の皆さまへ:空床を活かした救急受け入れ体制の強化

    この制度の追い風を受け、病院経営層や事務長、救急責任者の皆さまにご検討いただきたい具体的なアクションは以下の2点です。

    ① 地域のICT連携ネットワークへの積極的な参画と投資
    退院支援部門の業務効率化に向け、地域のICTネットワークへ積極的に参画・投資することが重要です。情報共有の円滑化は、中長期的な退院支援の質の向上につながります。

    ② 救急外来の医師体制強化と新規受け入れの拡大
    ICT連携によって安全な退院が促進されると、急性期病床に空きが生まれます。この「スムーズな退院によって空いた急性期病床」を最大限に活用し、病院の収益性を高める仕組み作りが不可欠です。空床を無駄なく稼働させるためには、入口である新規の救急車受け入れ件数を増やすことが最も効果的です。

    📌 編集部ピックアップ

    ある石川県の2次救急病院では、救急応需数を昨対比36%超増やし、入院率を45%から57%へ改善することで、上半期だけで約1億円の増収を達成したといいます。「病床を埋めるだけでは利益が出ない。救急からの入院獲得に戦略を集中した」という経営判断は、退院支援で生まれた空床を救急で埋める好循環の好例です。

    しかし、救急を断らない体制を作るには「救急外来を担当する医師の確保」が大きな壁となります。そこで有効なのがドクターズプライムワークの活用です。救急対応に前向きな医師を安定的に確保し、新規の救急車受け入れ件数を確実に増やして、病床を無駄なく稼働させる仕組みを構築できます。退院支援の効率化で生み出した病床をフル稼働させる好循環を、ぜひ一緒に実現しましょう。

    まとめ:退院支援の質を高め、病床を最大稼働へ

    新たに創設される「訪問看護医療情報連携加算(月1回1,000円)」は、ICTを用いたリアルタイムな情報共有によって退院後の急変リスクを抑え、安全な早期退院と在院日数の短縮を実現します。単なる加算の獲得にとどまらず、「出戻り救急搬送を防ぐ」「在宅復帰の安全性を高める」「急性期病床の回転を上げる」という経営上の好循環を生み出す制度として、積極的に活用していただきたいと思います。

    経営層の皆さまにおかれましては、この制度を機に退院支援部門の業務を効率化し、そこで空いた病床をドクターズプライムワークの活用による「救急受け入れの拡大」で満床稼働へと導く、新たな経営戦略をぜひご検討ください。

    執筆・編集・監修

    執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
    「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。

    監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
    聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。

    参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ 

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