更新日:
2026/5/15

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keyboard_arrow_right※今回の記事は厚生労働省が発表している救急医療情報連携プラットフォーム等についてから一部を抜粋し編集した記事となっています。
病院経営において、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は中長期的な成長に欠かせない重要なテーマとなっています。中でも、救急医療の現場における情報連携システムは、自治体や各省庁の動向から直接的な影響を受ける領域です。
現在、救急患者の受け入れ要請において、現場の医師や事務スタッフは大きな業務負担を抱えていませんでしょうか。複数の自治体が独自に救急搬送システムを導入し業務のデジタル化を図る動きが見られますが、自治体ごとに異なるシステムが導入されている地域では、広域搬送の際に救急隊がシステムを活用できなかったり、医療機関側が複数のシステムインターフェースへの対応を求められたりするケースが存在します。
また、導入されたシステムと院内の電子カルテ等との連携が不足している場合、結果として情報の二重入力や電話での繰り返しのやり取りが発生し、現場の疲弊につながっていることも少なくありません。令和6年の救急出動件数が過去最多の約772万件(消防庁速報値)を記録した中で、この種のシステム起因の業務負担は、医師・看護師・事務スタッフすべてに積み重なっています。医師の働き方改革が本格化する中、オペレーション改善は多くの病院にとって先送りできない課題となっています。
📌 編集部ピックアップ
ある関東圏の2次救急病院では、部門横断で業務フローを見直し役割分担を再設計したことで入院数が10%以上増加したといいます。「人を増やす前に、そもそも効率的に動いているかを考え直す」というアプローチは、システム更新のタイミングで業務棚卸しを行うことの重要性を示しており、今回のSaaS化移行はその絶好の機会となります。
こうした地域ごとのシステム乱立や財政負担の課題を背景に、国・地方を通じたデジタル基盤の整備が大きく動き出しています。厚生労働省の資料「救急医療情報連携プラットフォーム等について」に基づき、制度変更の要点を整理します。

① 共通SaaSへの段階的移行
① 共通SaaSへの段階的移行 政府のデジタル行財政改革会議では、各府省庁の補助金により個別団体で整備されてきた情報システムについて、個別開発の特段の事情がない限り、原則として『共通SaaS』へ段階的に移行する方針が示されています。救急医療情報連携プラットフォームについても、この方針のもと厚生労働省がモデル事業(令和6年度実証)を実施し、全国展開を見据えた標準仕様の検討が進められています。
② 役割分担とコスト構造の変化
共通SaaSの導入にあたり、国が共通化に関する調査や標準的な仕様書の作成、システムの設計・整備・保守等に要する費用を負担します。一方で、地方公共団体(自治体)は定額となる一定の利用料でシステムを利用することが原則となります。
③ 期待される効果
全国で共通利用できるシステムへと集約されることで規模の経済が働き、自治体側の調達コストや財政負担の大幅な削減が見込まれています。
このように、国主導で全国共通の救急医療情報連携プラットフォーム整備が進むことで、自治体側のコスト構造が変わるだけでなく、それを利用して患者を受け入れる医療機関側にも大きな環境の変化が予想されます。
📌 編集部ピックアップ
ある医療経営の専門家は「レセプト業務に専任スタッフが常勤換算7人前後・年間約4,000万円が費やされている」という試算を示し、行政書類・請求事務のデジタル標準化が進むほど、病院側の事務コストも構造的に削減される可能性があると語っています。共通SaaS化は、こうした事務コスト削減の流れと同じ方向性を持っています。
自治体のシステム共通化が進むことに伴い、病院側でも新たなシステムへの入力インターフェースの変更や、それに合わせた院内オペレーションの見直し、さらには独自のDX推進といった対応が必要になります。
ここで経営企画や事務長の皆さまにぜひお持ちいただきたいのは、この変化を「単なる外部システムの仕様変更」で終わらせないという視点です。新しいプラットフォームへの移行を機に、院内業務の棚卸しを行い、現場の業務負担軽減(働き方改革)に繋げることが大切です。
標準化されたシステムによって情報の転記作業が減り、救急隊との連携がよりスムーズになれば、これまで煩雑な事務作業や電話対応に割かれていた時間が確実に削減されます。病院経営において重要になるのは、この効率化によって生まれた「浮いたリソース(時間・人員・コスト)」を、次なる成長に向けてどこへ投資するかという経営判断です。
システムの効率化によって生まれた経営や現場の余力は、「救急受け入れ体制の抜本的強化」へ再投資されることをおすすめいたします。救急部門は、入院や手術へ繋がる病院収益の柱となる重要な部門ですが、同時に当直対応などで医師の負担が集中しやすい領域でもあります。
ドクターズプライムワークが提供するソリューションを活用することで、以下のような具体策を通じて、現場の働き方改革と病院経営の安定化を支援します。
適正な医師配置の実現:救急対応に意欲的でスキルの高い医師を適切に配置し、病院の当直体制を強化します。
救急部門のオペレーション改善:受け入れ時のボトルネックを可視化・解消し、よりスムーズな救急搬送の受け入れ体制を構築します。
収益化と働き方改革の両立:救急車の受け入れ件数を適正に伸ばすことで救急事業の黒字化を目指しつつ、特定の医師に過度な負担が偏らない持続可能な仕組みづくりをサポートします。
📌 編集部ピックアップ
ある石川県の2次救急病院では、救急応需数を昨対比36%超増やし入院率を45%から57%へ改善することで、上半期だけで約1億円の増収を達成したといいます。「救急収益の最大化は、単に救急車を多く受けることではなく、入院・手術への連動を設計することで達成できる」という経営判断が、システム効率化と人的体制強化の組み合わせによって実現されていました。
自治体システムの「共通SaaS化」は、一見すると行政側の効率化施策のように思えますが、病院内のオペレーションを見直し、働き方改革を推進する大きなきっかけになり得ます。
環境の変化に柔軟に対応し、創出されたリソースを救急部門へ戦略的に再投資することで、より盤石な経営体制を築いていくことができます。システム更新の機会を「負担」と捉えるのではなく、「院内の無駄を洗い出す好機」として活用できる病院こそが、DXの恩恵を最大限に受けることができます。
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ
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