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救急受け入れのDX化とは?厚労省の応需率可視化への対応を解説

救急受け入れのDX化とは?厚労省の応需率可視化への対応を解説

更新日:

2026/6/24

救急受け入れのDX化とは?厚労省の応需率可視化への対応を解説|メソッド

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※今回の記事は厚生労働省委託「救急医療情報連携プラットフォームモデル事業 モデル実証実施報告書(2025年3月)」および関連公開資料から一部を抜粋し編集した記事となっています。

電話ベースの救急搬送調整が抱える限界と「たらい回し」のリスク

地域の救急隊との連携において、電話でのやり取りによるタイムラグに悩まされていませんか。救急隊からの要請に対し、現場の医師や看護師がその都度電話で状況を確認することは、多忙な医療現場において大きな負担となっています。また、既存のシステム上で病室の空床状況や当直医の対応可否に関する情報の更新が遅れてしまうことで、意図せず患者さんの「たらい回し」を引き起こしてしまう事態は、多くの医療機関における共通の課題です。

迅速な受け入れ判断が求められる救急現場において、情報共有の遅れは患者さんの命に関わるだけでなく、地域の医療機関としての信頼にも直結する重要な問題といえます。

こうした課題は個々の医療機関の努力だけでは解決が難しく、国レベルでの情報基盤の整備が不可欠でした。令和6年中の救急自動車による救急出動件数が約772万件(消防庁発表で771万8,380件)と過去最多を記録した中で、搬送先調整のデジタル化は待ったなしの課題として認識されており、今回の厚労省の新方針はその具体的な回答といえます。

📌 編集部ピックアップ

ある関東圏の2次救急病院では、救急応需をためらわせる院内要因のひとつとして「院内からの圧力(内部撃ち)」が挙げられていました。経営層が「受ける」という方針を明確に掲げることで、この種の院内プレッシャーは解消できるといいます。情報インフラの整備とともに、方針の明文化が「断らない救急」の前提条件になります。

厚労省の新方針:全国共通SaaS「救急医療情報連携プラットフォーム」への集約

厚生労働省は既存の救急医療情報システムを刷新し、全国共通のSaaSである「救急医療情報連携プラットフォーム」へと集約する方針を示しました。具体的には、これまで各都道府県の救急医療情報センターが独自に実施してきた以下の機能が、新たなプラットフォームへと一元化される予定です。

「救急医療情報連携プラットフォームへの一元化の例」を示したスライド。各自治体が実施する救急医療情報センター事業について、「現状(As Is)」から「今後(To Be)」への機能の移行が図解されています。通常時の「情報収集事業(医師の在否や空床状況など)」と「情報提供・相談事業」は『救急医療情報連携プラットフォーム』へ機能集約され、災害時の事業は『EMIS』へ集約されます。なお、運営委員会の開催は引き続き継続されることが示されています。
「国・地方デジタル共通基盤の整備・運用に関する基本方針について」を示したスライド。左側には基本方針の概要(問題意識や目指す姿など)がテキストで記載されています。右側には、現在実証中の救急医療情報プラットフォームに機能を集約するフローが図解されており、「厚生労働省が全国共通システムを設計・整備・保守」し、「自治体は一定の利用料で利用する」ことで、結果として「自治体の調達・財政負担の削減」につながるという構造が強調されています。

出典:救急医療情報連携プラットフォームについて

  • 診療科別医師の在否や、手術・処置の可否に関する情報の収集と随時更新

  • 病室の空床状況(診療科別、男女別、集中治療室などの特殊病室)の迅速な把握

  • 医療施設や消防本部からの問い合わせに対する、適切な受入れ施設の選定や回答

厚労省が全国で共通利用できるシステムを設計・整備し、各自治体が一定の費用負担のもとで利用する方向で検討が進められています(具体的な費用負担スキームは今後示される予定)。これにより、これまで分散していた救急搬送の調整機能が一元化され、全国共通のデジタル基盤上で各病院のリアルタイムな受け入れ可否が明確に可視化されるようになります。

この変化は、これまで「なんとなく電話で調整していた」曖昧さを排除し、各病院の対応能力をデータとして可視化するという意味で、病院経営に大きなインパクトをもたらします。

システムの可視化がもたらす「応需率」へのシビアな評価

この「救急医療情報連携プラットフォーム」への移行は、搬送調整のスピードアップをもたらす一方で、病院経営や現場の人事体制に新たな課題を突きつけます。新システム上では、各病院の「空床状況」や「受け入れ可否(応需状況)」がこれまで以上にクリアにデータ化されます。

ここで懸念されるのは、いくら情報基盤(ハード)が刷新されても、実際に現場で救急車を受ける「医師のマンパワー(ソフト)」が不足していれば、根本的な課題解決には至らないという点です。現場の負担が大きく当直医が不足している状態のままでは、結果的にシステム上で「受け入れ不可(×)」のステータスを出し続けることになります。

情報が透明化されるからこそ、「なぜあの病院は常に受け入れ不可なのか」が地域の消防隊に周知されやすくなり、地域連携における信頼低下を招く恐れがあります。さらに、救急患者の受け入れ減は、そのまま救急収益および入院収益の機会損失に直結するため、経営改善の大きな足枷となってしまいます。

📌 編集部ピックアップ

ある元厚労官僚の病院経営者は「救急車受け入れを病床稼働率に結びつけなければ、経営改善に繋がっていかない」と語っています。プラットフォームによる可視化が進む中、応需率の低い病院は稼働率の低迷と地域評価の低下という二重の打撃を受けることになります。データが可視化される時代だからこそ、「受ける体制」を先手で整えることが経営的な防衛策になります。

「断らない救急」を実現する医師確保と収益の最大化

このような制度変更を控える中で、病院経営陣が取るべき具体的なアクションは情報システムの導入準備にとどまりません。プラットフォームの可視化を機に、人的リソースの抜本的な見直しを図ることが急務です。

新システム下で救急車の応需率を向上させ、地域の救急医療を支えるためには、救急受け入れに対してモチベーションの高い医師を安定的に確保することが不可欠です。そこで有効な具体策が、ドクターズプライムワークを活用した救急領域の改善ソリューションです。

  • 医師不足による「受け入れ不可」の極小化:新プラットフォーム上での救急応需率を劇的に向上させます。

  • 収益の最大化:救急搬送件数の増加は、入院患者数の増加や病床稼働率の安定化に直結し、病院全体の収益向上をもたらします。

  • 働き方改革への貢献:頼れる専任医師が当直に入ることで、常勤医師の精神的・肉体的な負担が分散・軽減されます。

📌 編集部ピックアップ

ある埼玉県の2次救急病院では、応需率50%未満という深刻な状況から、外部医師活用・診療マニュアル整備・看護師専属化・振り分けルール化を同時推進したことで、年間受入数が約1.6倍まで改善したといいます。「どのシステムを使うか」よりも「受ける体制があるか」が応需率を左右するという現場の実感は、今回のプラットフォーム移行でも変わらない本質です。

まとめ:デジタル化を追い風に、地域の救急医療を牽引する存在へ

「救急医療情報連携プラットフォーム」の導入により、日本の救急搬送調整のあり方は大きく変わっていくことが予想されます。このシステムの変化を「単なる業務のIT化・負担」と捉えるか、「自院の救急収益と地域連携を拡大するチャンス」と捉えるかで、数年後の病院経営の明暗が大きく分かれます。

まずは自院の現在の救急応需率と、受け入れを断っている真の理由を洗い出し、人的体制の課題を明確にすることから始めてみてはいかがでしょうか。ドクターズプライムワークでは、貴院の救急医療体制の改善と収益向上に向けた具体的な支援を行っています。新システム移行を見据えた強い組織づくりの第一歩として、ぜひお気軽にお問い合わせください。

よくある質問

Q. 電話ベースの救急搬送調整にはどんな限界がありますか?
A. 救急隊からの要請のたびに医師・看護師が電話で状況確認することは多忙な現場の大きな負担です。空床状況や当直医の対応可否の情報更新が遅れると、意図せず患者の「たらい回し」を引き起こします。情報共有の遅れは命に関わるだけでなく、地域の信頼にも直結します。

Q. 救急医療情報連携プラットフォームとは何ですか?
A. 厚生労働省が既存の救急医療情報システムを刷新し、全国共通のSaaSへ集約する方針で進めるシステムです。診療科別医師の在否・手術処置の可否、診療科別/男女別/特殊病室の空床状況、医療施設・消防本部からの問い合わせへの受入施設選定・回答が一元化されます。

Q. このプラットフォームは病院経営にどう影響しますか?
A. 各病院の空床状況や受け入れ可否(応需状況)が、これまで以上にクリアにデータ化されます。「なんとなく電話で調整していた」曖昧さが排除され、各病院の対応能力がデータとして可視化されるため、応需率がよりシビアに評価される時代になります。

Q. 情報基盤が整えば応需率は上がりますか?
A. 上がりません。情報基盤(ハード)が刷新されても、実際に救急車を受ける医師のマンパワー(ソフト)が不足していれば根本解決にはなりません。当直医が不足したままでは、システム上で「受け入れ不可(×)」のステータスを出し続けることになります。

Q. 可視化が進むと何がリスクになりますか?
A. 「なぜあの病院は常に受け入れ不可なのか」が地域の消防隊に周知されやすくなり、地域連携における信頼低下を招く恐れがあります。救急患者の受け入れ減はそのまま救急収益・入院収益の機会損失に直結し、経営改善の足枷になります。

Q. DX化を追い風にするには何が必要ですか?
A. 情報基盤の整備とあわせて、実際に救急車を受けられる医師のマンパワー確保と、経営層による「受ける」方針の明文化です。可視化される前提で、応需率を実態として高められる体制を整えることが、地域の救急医療を牽引する条件になります。

執筆・編集・監修

執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。

監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。

参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ 

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