【セミナーレポート】「専門外だから」で、いつまで点数を捨てますか? ~2026改定で問われる救急応需の覚悟と、現場負担を減らす「受入ロジック」の転換~
更新日:
2026/4/24

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keyboard_arrow_rightこちらは2026年2月20日に配信されたセミナーレポートをベースに内容を一部編集させて頂いた記事です。
令和6年の救急出動件数は約771万件と過去最多を更新。高齢化に伴い軽症・中等症の患者が増加し、「救急搬送困難事案」が多発しています。
「専門外」「満床」を理由にした救急の断りは、地域医療での信頼低下や機会損失につながります。
本セミナーでは、現場の医師に無理をさせず「救急患者を断らない」ための出口戦略や、タスクシフトを用いたアプローチを解説します。
動画本編では、転院調整の具体的な仕組み化や、現場の心理的ハードルを下げる「受入ロジックの転換」について詳しく学んでいただけます。
「救急要請が来ても、専門外だからと断ってしまう」「働き方改革で現場の医師が疲弊しており、これ以上受け入れられない」。このような課題を抱える急性期病院の院長・事務長は多いのではないでしょうか。
本記事では、練馬光が丘病院 救急部門副部長の北井勇也先生をお招きしたセミナー「『専門外だから』で、いつまで点数を捨てますか?〜2026改定で問われる救急応需の覚悟と、現場負担を減らす『受入ロジック』の転換〜」の要点をご紹介します。
救急医療の最前線で起きている現状から、現場の負担を増やさずに応需率を改善する組織マネジメントのヒントまでを紐解きます。
結論: 救急出動件数は過去最多を更新し続ける一方で、軽症・中等症の高齢患者が増加し、受け入れ先の決定に時間がかかっているのが現状です。
解説: 総務省消防庁の発表(速報値)によると、令和6年中の救急出動件数は約771万件、搬送人員は約676万人となり、過去最多を記録しています。搬送される患者の6割以上が高齢者であり、その多くは入院加療を必要としない「軽症」や、生命に直接的な危険はないものの入院が必要な「中等症」が占めています。
こうした状況下で社会問題化しているのが、複数の病院に受け入れを断られる「救急搬送困難事案(たらい回し)」です。重症患者であれば救命救急センターなどに速やかに搬送される傾向がありますが、軽症・中等症の患者は「専門医が不在」「独居で社会的背景が複雑」といった理由から、医療機関側が受け入れを敬遠しやすい傾向にあります。
さらに、2024年4月から始まった「医師の働き方改革」による労働時間の上限規制もあり、限られた医療スタッフでいかに増加する救急需要へ対応するかが、全国の病院にとって喫緊の課題となっています。
結論: 診療報酬上の評価向上や地域医療における信頼獲得だけでなく、安定した救急搬入の確保と「断らない文化」の醸成につながります。
解説: 一般的に、救急医療の充実は病院の収益基盤の安定に直結します。2024年度の診療報酬改定でも救急医療管理加算などの要件が見直され、地域救急を支える体制がより手厚く評価されるようになりました。次期2026年改定でも、この方針は継続されると予想されます。
セミナー内では、日本の救急専門医は約6,300人にとどまり、全国に約4,000ある救急告示病院のすべてを専門医だけでカバーすることは物理的に不可能であることが指摘されました。つまり、多くの病院では「非専門医」が救急外来を担当せざるを得ないのが実情です。
もし「専門外だから」と救急を断り続ければ、救急隊からの要請そのものが減少し、長期的には病院経営への大きなダメージとなります。逆に、専門外であっても「とりあえず受け入れてくれる病院」として認知されれば、救急隊からの信頼を得て安定した搬入が見込め、結果的に病院全体の経営安定をもたらすのです。
結論: 「自分の専門外で診られない」「入院病床がない」「受け入れた後の出口(転院先・退院先)が見えない」という不安や内部圧力が主な原因です。
解説: 経営層が「救急をもっと受けてほしい」と考えていても、現場の応需率が上がらないのには明確な理由があります。セミナーでは、現場の医師が救急応需をためらう要因として以下の5点が挙げられました。
専門外・対応可能な専門科がない: 「自信がない」「もし何かあったら責任を負えない」という心理的ハードル。
救急外来が混雑: 働き方改革により少ない人数で回している中、これ以上はキャパシティオーバーになるという物理的限界。
入院病床がない: 「診察しても入院させるベッドがない」という状況。
医学的・社会的に複雑な背景を持つ患者: 身寄りがない高齢者など、治療が終わっても退院・転院調整が難航するケースへの懸念。
内部からの圧力: 専門外の患者を受け入れた後、院内の他科の医師から「なぜ勝手に受けたのか」と非難されることへの恐れ。
これらの要因を放置したまま、ただ上層部が「断るな」と指示を出すだけでは、現場の医師は疲弊し、最悪の場合は離職につながってしまいます。
結論: 病院トップが「断らない」という明確な方針を打ち出し、「出口戦略の構築」と「タスクシフト」で現場を支援する仕組みを作ることです。
解説: 救急応需率を改善するためには、個々の医師の自己犠牲に頼るのではなく、病院全体の「受入ロジック」を変える必要があります。セミナーで強調された成功の鍵は、大きく2つのアプローチに集約されます。
一つ目は、病院のトップ(院長や理事長)が「当院は地域のために救急患者を受け入れる」という方針(覚悟)を明確に打ち出すことです。これにより、「専門外を受けても責められない」という安心感を現場に与え、他科からの内部圧力を和らげることができます。
二つ目は、医師の負担を減らす「出口戦略」と「タスクシフト」です。たとえば、受け入れた患者がやはり専門外で転院が必要になった場合、その転院先の調整を救急医が一人で抱え込むのではなく、事務スタッフや救急救命士などが代行する仕組み(タスクシフト)が非常に有効です。
「具体的にどのような業務をタスクシフトすべきか」「地域医療機関とのスムーズな転院連携(出口戦略)をどう構築するのか」といった詳細なステップについては、動画本編で詳しく解説していますが、最も重要なのは「医師が純粋な医療行為に専念できる環境をシステムとして整える」ことです。
本記事では、増加する救急搬送の現状と、専門外の患者を受け入れるメリット、そして現場が抱えるリアルな課題について解説しました。
「専門外だから」と点数を捨ててしまうのは経営的に大きな損失です。しかし、仕組みがないままの無理な受け入れは現場の崩壊を招きます。病院の収益を安定させつつ、医師の働き方改革を実現するためには、病院全体での「受入ロジックの転換」が今まさに求められています。
より具体的な実践ステップや、現場負担を減らすタスクシフトの成功事例(Before/After)の詳細については、以下のセミナー見逃し配信ページで公開しています。医師の採用定着と救急応需の両立にお悩みの経営層の方は、ぜひご覧ください。
登壇者紹介
練馬光が丘病院 救急部門 副部長 北井 勇也 先生
現在の救急外来専属で勤務し救急医療全般に加え、日本救急医学会救急科専門医の資格を有し、VHJ臨床研修指導医やCVCインストラクターとして初期研修医教育や救急医の育成に尽力。皆が切磋琢磨しハッピーに働ける組織を目指している。ドラマERのDr.Greeneがロールモデル。
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ
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