更新日:
2026/4/17

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keyboard_arrow_right※今回の記事は厚生労働省が発表している令和8年度診療報酬改定 5. 入院(DPC/PDPS)から一部を抜粋し編集した記事となっています。
地域の急性期医療を支える病院において、救急患者の受け入れは極めて重要な使命です。一方で、現場の当直体制においては「当直医の専門外だから」という理由で、やむを得ず救急車の受け入れをお断りしてしまうケースも少なくないのではないでしょうか。
医師の働き方改革が進む中、専門外の重症例に対する現場の負担感や不安は十分に配慮すべき課題です。しかし、近年の診療報酬制度の動向を踏まえると、こうした「専門外を理由とした応需見送り」は、目の前の患者の診療報酬を逃すだけでなく、病院全体の収益に直結する大きな機会損失を生む構造になりつつあります。
📌 編集部ピックアップ
令和6年の救急出動件数は過去最多の770万件に達し、そのうち高齢者が6割強を占める状況です。ある救急専門医は「断る理由はいくらでも見つかる。でもその多くは臆測でしかない。一旦は受けてみる、受けた上で判断するっていうのが地域の救急を担う病院としての役割」と指摘しています。応需をためらわせる要因として、専門外・混雑・病床不足・複雑患者・院内圧力の5つが挙げられますが、現場の判断基準を明確化することで多くが受け入れ可能になります。
令和8年度の診療報酬改定では、総じて「入院初期の医療資源投入」や「救急搬送から入院に繋がった初期対応」を高く評価する方向へと制度がシフトしています。
厚生労働省の資料に基づき、DPC収益に直結する3つの重要指標の変更点を整理します。

複雑性係数について、これまでの「1入院当たり」の医療資源投入の観点から見た評価から、「入院初期」の医療資源投入の観点から見た評価へと見直されました。具体的には、全DPC対象病院における「在院日数の25%tile値まで」の平均包括範囲出来高点数を基準とする計算式に変更されており、入院初期に手厚い対応を行う病院が高く評価される仕組みとなっています。

救急医療入院における入院初期の資源投入量の乖離を補正する「救急補正係数」では、1症例当たり「入院後2日間まで」の包括範囲出来高点数(出来高診療実績)と、診断群分類点数表の設定点数との差額の総和が評価されます。これにより、救急搬送直後の集中的なリソース投入がしっかりと補填・評価されることになります。

地域の需要に応える体制を評価する体制評価指数において、「救急車で来院し、入院となった患者数」が極めて高く評価される構造になりました。要件を満たす体制を前提とした上で、大学病院本院群およびDPC特定病院群では最大 0.9P、DPC標準病院群でも最大 0.5P という大きな評価が割り当てられています。
出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定資料-5. 入院(DPC/PDPS)
📌 編集部ピックアップ
2026年度改定では急性期病院のB要件として救急搬送年間1500台以上・全身麻酔500件以上が求められます。元厚労官僚の副理事長を務めるある病院では「今回の改定は医療機関の選別を加速する改定だ」と分析し、「救急車受け入れを病床稼働率に結びつけなければ、経営改善に繋がっていかない」と指摘。実際に救急141件増(36.7%増)・入院率45%→57%を達成し、上半期で増収1億円・経常収支を2%赤字から2%黒字へと転換させた実績があります。
今回の改定内容が現場にもたらす影響は非常に大きいと考えられます。制度全体が「救急搬送から入院に繋がった初期対応」へのインセンティブを強化しているため、救急の受け入れ要請を断ることは、単にその一件の初診料や入院料を失う以上の意味を持ちます。
救急受け入れ件数や初期対応の実績が低下すると、前述の複雑性係数・救急補正係数・体制評価指数のすべてを取りこぼす結果を招きかねません。これら医療機関別係数の低下は、その病院の「すべてのDPC算定病床の1日当たり単価」を下げることと同義です。一部の当直帯での「断り」が、他科の医師が日中に行っている待機的治療を含めた、病院全体のDPC収益を押し下げてしまうリスクがある点には、経営層として十分な留意が必要です。
こうした制度変更の中、病院経営において取るべき具体的なアクションは「専門外の症例であっても、ファーストタッチから適切なアセスメントができる体制の構築」です。
最も効果的な解決策の一つが、「ER型救急医」や「初期対応に長けた医師」を当直帯に配置することです。どの領域の主訴であっても、まずは救急車を受け入れ、初期診療とトリアージを行い、必要に応じて翌朝に専門科へ引き継ぐ。この「断らない救急」の体制を敷くことで、救急車からの入院患者数が純増し、各係数のアップへと直結します。
とはいえ、自院のみでスキルの高い救急医を安定的に確保することは容易ではありません。そこで、質の高い救急アルバイト医師の採用を支援する「ドクターズプライムワーク」の活用が有効な選択肢となります。
📌 編集部ピックアップ
九州のある182床病院では、外部の救急専門医を導入することで日勤帯の応需率をほぼ100%に引き上げ、月平均入院12.8人(入院率75.8%)を実現。初年度で年間約3600万円の増収を達成し、キャンセル率も28.1%から21%へと改善しました。経営層は「導入費用はもはやコストではなく確実な投資だった」と総括し、現場からは「なんで受けたの?という声が消えた」という変化が報告されています。
採用には一定の初期投資がかかりますが、体制強化によって救急車の受け入れ台数が増加し、係数アップによる数千万円規模のDPC増収効果が見込めるため、採用コストに対するROI(投資対効果)は極めて高くなります。常勤医の当直負担軽減と、病院全体の収益最大化を両立する手段として、外部人材の戦略的な活用をご検討いただくことをおすすめします。
令和8年度改定により、DPC制度における「入院初期の評価」および「救急搬送からの入院実績」の重要性はかつてないほど高まっています。
現場の医師に無理を強いるのではなく、初期対応の専門スキルを持つ医師を適切に外部から配置することで「断らない救急」を実現し、係数向上を通じたDPC収益の最大化を図ることが、これからの強靭な病院経営において極めて重要となるのではないでしょうか。
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ
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