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【令和8年度改定】ICU/HCUの再編と専任医師の「宿日直」要件:自院の集中治療室をどう運用すべきか

【令和8年度改定】ICU/HCUの再編と専任医師の「宿日直」要件:自院の集中治療室をどう運用すべきか

更新日:

2026/6/3

【令和8年度改定】ICU/HCUの再編と専任医師の「宿日直」要件:自院の集中治療室をどう運用すべきか|メソッド

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※今回の記事は厚生労働省が発表している令和8年度診療報酬改定説明資料等について内の03_令和8年度診療報酬改定の概要 3.急性期・高度急性期入院医療から一部を抜粋し編集した記事となっています。

集中治療室の維持に向けた現状の課題

近年、医療従事者の働き方改革が進む中で、集中治療室(ICU)やハイケアユニット(HCU)をどのように維持・運用していくかは、多くの病院経営者や人事担当者にとって悩ましい課題となっています。
とくに集中治療を担う医師や救急医の確保は難易度が高く、現場のマンパワー不足に直面している医療機関も少なくありません。

そうした中、診療報酬改定によってICUおよびHCUの算定要件が大きく見直されました。単に設備や人員を配置するだけでなく、実際の「診療実績」が厳しく問われるようになったことが最大の特徴です。
自院の集中治療室のレベルを維持できるのか、あるいはシフト体制を見直す必要があるのか、経営層には迅速な現状分析と意思決定が求められています。

【制度改定の要点】厳格化された実績要件と「宿日直」の新たなルール

今回の見直しにおける重要なポイントは、集中治療室に「厳しい病院実績要件が追加されたこと」と、医師の配置においてシフト編成に直結する「宿日直要件の緩和が行われたこと」の2点に集約されます。

まず、新たに追加された病院実績要件は以下の通りです。

特定集中治療室管理料(ICU)

特定集中治療室管理料(ICU) 新たに、①救急搬送件数が年間1,000件以上、②全身麻酔による手術件数が年間1,000件以上、③小児関連の届出病床数が許可病床数の5割以上を占める病院では全身麻酔による手術件数が年間500件以上、のいずれかを満たすことが求められます。なお、医療資源の少ない地域に所在する病院では、①②は年間800件以上、③は年間400件以上に緩和されます。実績要件については令和8年12月31日までの経過措置が設けられています。

令和8年度の診療報酬改定に関する厚生労働省の資料です。「特定集中治療室管理料の見直し①」と題され、病院の実績要件の新設と、SOFAスコアに係る要件の見直し(引き上げ)について記載されています。

ハイケアユニット入院医療管理料(HCU)

新たに、救急搬送件数が年間1,000件以上または全身麻酔による手術件数が年間500件以上であることが求められます。医療資源の少ない地域では、救急搬送件数は年間800件以上、全身麻酔手術件数は年間400件以上(小児病院は年間200件以上)に緩和されます。なお、実績要件には令和8年12月31日までの経過措置が設けられています。

GemMed(中医協報道)― 厚生労働省資料に基づく解説厚生労働省 令和8年度診療報酬改定説明資料

令和8年度診療報酬改定において、ハイケアユニット入院医療管理料に「救急搬送件数」や「全身麻酔手術件数」などの病院実績要件が新設され、要件を満たさない場合でも一定の条件下で経過措置として「注5」の点数(4,401点・21日限度)が算定可能となる見直し内容のまとめ。

次に、ICUのレベルに応じた専任医師の配置と「宿日直」要件の違いは以下の通りに見直されました。

特定集中治療室管理料1

専任医師について「宿日直を行う医師ではないこと」と明記されており、専従に近い厳格な配置要件が維持されています。

特定集中治療室管理料2および3

管理料2では、宿日直を行う医師を含む専任の医師が、原則として治療室内(離れる場合は院内の速やかに診療を開始できる場所)に常時勤務していることが要件となりました。管理料3は管理料2の施設基準(医師配置を含む)を満たすことが要件です。これにより、現行の管理料3で求められていた「治療室内」常時配置が「速やかに診療を開始できる場所」まで認められるようになり、また宿日直医師の参加が公式に認められました。一方、現行の管理料5から改定後の管理料3に移行する医療機関にとっては、医師の配置場所要件が逆に厳しくなる点に注意が必要です。

令和8年度診療報酬改定における「特定集中治療室管理料」の見直しとして、医師配置要件が緩和・再編され、一部の管理料区分において「宿日直を行う専任医師」の算定が可能になるとともに、勤務場所の定義が「原則として治療室内(離れる場合でも速やかに診療開始できる場所)」へと見直されたことを示す資料。

出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定資料

現場のシフト編成と病院経営に与える影響

これらの制度変更は、病院の収益と現場のシフト編成に直結する重要な意味を持っています。
まず、救急や手術の件数が基準に満たない場合、これまで通りの管理料を算定し続けることが困難になります。とくにHCUにおいても「年間500件以上の全身麻酔手術」または「年間1,000件以上の救急搬送」が求められるため、地域の救急や急性期医療をどの程度担っているかがダイレクトに経営へ反映されます。

📌 編集部ピックアップ

ある病院では、救急搬送の受け入れ強化によって年間141件増(36.7%増)を達成し、入院率も45%から57%に改善、上半期だけで増収1億円、経常収支を2%の赤字から2%の黒字へと転換させました。副理事長は「救急車受け入れを病床稼働率に結びつけなければ、経営改善に繋がっていかない」と強調しています。ICU/HCU要件でも、救急実績が収益に直結する構造が明確になったと言えます。

一方で、「管理料2・3」において専任医師の宿日直が認められたことは、マンパワー不足に悩む現場にとって大きな希望となります。これまでは夜間のICU専任医と、病院全体の宿直医を別々に確保しなければならないケースがありましたが、今後はより柔軟なシフト編成が可能になります。限られた医師数であっても、要件を満たしながら集中治療室を運用できる道が開かれました。

経営層が明日から着手すべきアクションと救急領域の改善

今回の改定を受けて、病院経営者や事務長、救急責任者の皆様が明日から検討すべき具体的なアクションをご提案いたします。

自院の実績データの正確な把握とシミュレーション

まずは、直近の「救急搬送件数」と「全身麻酔手術件数」を確認し、新要件のクリア状況を可視化してください。もし現時点で「救急搬送が年間800件程度」であれば、あと200件をどのように上積みするかが喫緊の課題となります。

マンパワーに応じた「目指すべき管理料」の再設定

確保できる集中治療医や救急医の人数を精査し、自院がどのレベルの管理料を目指すのかを再定義します。十分な人員体制が組めるのであれば「管理料1」を目指し、医師の負担軽減やシフトの持続可能性を重視するのであれば、宿日直を活用できる「管理料2・3」への移行を戦略的に選択することも有効です。

ドクターズプライムワークを活用した救急搬送の受け入れ強化

実績要件である「救急搬送件数1,000件以上」を達成するためには、救急車の断りを減らし、確実に応需できる体制づくりが不可欠です。しかし、院内の医師だけに対応を求めると当直の負担が大きくなり、働き方改革に逆行してしまいます。
そこで、ドクターズプライムワークのソリューションのような外部リソースの活用をご検討ください。救急受け入れに意欲的な医師を当直・宿日直として確実にマッチングすることで、院内の医師を疲弊させることなく、救急搬送の応需率を向上させることが可能です。「管理料2・3」の柔軟な要件と組み合わせることで、無理のないシフト編成と実績要件のクリアを同時に実現する道筋が見えてきます。

📌 編集部ピックアップ

ある医師少数区域の病院では、医局に負担をかけない共存戦略として、当直やスポット業務を外部でカバーすることで医局との本流関係を維持しながら、稼働率90%超、地域の2次救急の3割を担当する体制を実現しています。副院長は「負荷の高い業務を外部でカバーし、医局に無理な相談をせずに済み本流の関係性を維持できる」と語っており、ICU/HCU要件クリアのための救急体制強化においても、同様のアプローチが有効と考えられます。

まとめ

集中治療室の新たな算定要件は、地域における病院の急性期機能の役割をより明確にするものです。高いハードルに見えるかもしれませんが、自院の強みとマンパワーを冷静に分析し、外部のソリューションを賢く活用することで、難局を乗り越えることは十分に可能です。
医療従事者の皆様が働きやすい環境を守りながら、質の高い医療を地域に提供し続けるために、この記事が次の一手を打つための参考になれば幸いです。

執筆・編集・監修

執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。

監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。

参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ 

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