更新日:
2026/4/17

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keyboard_arrow_right※今回の記事は厚生労働省が発表している令和8年度診療報酬改定説明資料等について内の03_令和8年度診療報酬改定の概要 3.急性期・高度急性期入院医療から一部を抜粋し編集した記事となっています。
近年、若手の医師数が減少傾向にある特定診療科(外科領域など)において、将来の医療提供体制をどのように維持していくかが、多くの病院経営者や人事担当者にとって喫緊の課題となっています。特に、長時間に及ぶ高度な手術や夜間の緊急対応が求められる現場では、医師の負担軽減と適切な処遇改善を両立させなければ、人材の確保や定着が難しくなっています。
こうした背景から、診療報酬改定では、若手医師の確保が急務とされる診療科に特化した評価が新設されました。本記事では、新たに設けられた「地域医療体制確保加算2」および「外科医療確保特別加算」の要件を整理し、増収分をどのように給与体系や採用活動に還元していくべきか、具体的なアクションを解説します。
📌 編集部ピックアップ
ある中規模病院では、地域の医療サイクルをどう設計するかという視点で若手医師の独立開業を戦略的に支援し、将来の紹介ネットワーク構築に取り組んでいます。医療経営の専門家は「病院が問われているのは地域の医療サイクルをどう設計するかという役割だ」と指摘しており、外科医の確保も単なる採用施策ではなく、地域全体を見据えた長期戦略として捉える必要があります。
今回の改定では、若手医師の減少が懸念される領域において、勤務環境の改善や処遇面での配慮が明確に評価されるようになりました。以下の2つの加算の要件をしっかりと把握しておきましょう。

出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定資料
本加算は、消化器外科、心臓血管外科、小児外科及び循環器内科のうち、地域で特に確保が必要な診療科を3つ以内で「特定診療科」として設定し、特別な配慮を行うことが求められます。具体的には、他院との専門研修の連携や機能分化の協議を行うことや、給与体系において他の診療科とは異なる特別な配慮を行うことなどが施設基準とされています。また、交代勤務制やチーム制の導入に加えて、医師事務作業補助者の全病棟・外来への配置、または特定診療科の術前術後管理に係る適切な研修を修了した看護職員の配置が必要です。

出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定資料
長時間かつ高難度な手術を年間200例以上実施している基幹的な医療機関を対象とした加算です。算定時には、当該手術の所定点数の15%(100分の15)に相当する点数が加算されます。
特に人事・経営面で注目すべき施設基準は以下の通りです。
当該診療科の経験を5年以上有する常勤医師を6名以上配置し、チーム制または交代勤務制を導入すること。
地域医療体制確保加算2において、処遇等の配慮を行っている特定診療科であること。
当該診療科の医師が行った対象手術件数に応じ、通常の休日・時間外手当等とは別に、加算額の30%(100分の30)以上に相当する手当を医師に支給すること(その8割以上を常勤医師に支給し、全医師に周知すること)。
📌 編集部ピックアップ
ある2次救急病院では、若手救急専門医の導入により日勤帯の応需率をほぼ100%まで高め、月平均12.8人の入院獲得(入院率75.8%)、年間3600万円の増収を初年度に達成しました。導入を決めた経営陣は「導入費用はもはやコストではなく確実な投資だった」と振り返ります。外科領域でも同様に、専門性の高い医師の確保が診療実績と収益の両面に直結することが実証されています。
これらの新設加算が示すのは、単なる「病院の増収」ではなく、「増収分を確実に現場の医師に直接還元する」という国からの強いメッセージです。
特に「外科医療確保特別加算」における「加算額の30%以上を手当として支給し、その8割以上を常勤医に配分する」という厳格な要件は、これまでの基本給や一律の当直手当を中心とした給与体系に大きな変革を迫ります。
人事担当者や経営企画部門は、既存の手当体系を見直し、手術実績に連動した新たなインセンティブ制度を設計しなければなりません。また、特定対象医師であるかどうかにかかわらず、勤務間インターバルや代償休息の確保といった労務管理の徹底も求められるため、経営陣と人事、現場の責任者が一体となって制度設計を進める必要があります。
📌 編集部ピックアップ
今回の診療報酬改定について、元厚労官僚の副理事長を務めるある病院では「今回の改定は医療機関の選別を加速する改定だ」と分析しています。同院では救急車受け入れを141件増加(36.7%増)させ、入院率を45%から57%に向上、上半期で1億円の増収と経常収支の赤字から黒字への転換を果たしました。加算要件への対応と収益化の両立には「患者さんが求めていることをやる。それが政策誘導に乗ることになり経営改善につながる」という視点が不可欠です。
経営層や人事担当者は、明日からどのようなアクションを取るべきでしょうか。以下のステップで具体的な取り組みを進めることをおすすめします。
まずは、新たな加算による増収シミュレーションを行い、手当の配分ルールを策定します。対象となる医師に対して、どのような基準で手当が支給されるのかを就業規則等で明確化し、周知徹底することが要件にも含まれています。透明性の高い評価・給与体系は、現在在籍している医師のモチベーションや定着率の向上に直結します。
「当院では外科医療確保特別加算を取得し、手術実績に応じた手当をしっかり還元しています」「チーム制や交代勤務制を導入し、勤務間インターバルや休息時間を確保しています」といった事実は、若手医師を採用する際の非常に強力なメッセージとなります。採用ピッチ資料や病院見学の際に、具体的な給与モデルや働きやすさの事例として積極的に提示しましょう。
常勤外科医の勤務環境を改善するためには、夜間や休日の救急当直体制の抜本的な見直しが不可欠です。
ドクターズプライムワークのような救急の医師採用や体制構築を支援するソリューションを活用し、質の高い非常勤医師による当直体制を確保することで、常勤医の過重な負担を軽減できます。これにより、特定診療科の常勤医がより専門的な手術や術後管理、専門研修に専念できる環境が整い、要件であるチーム制や交代勤務制の実効性を高めることが可能になります。
新設された「地域医療体制確保加算2」と「外科医療確保特別加算」は、若手外科医の確保と定着に向けた重要なインセンティブとなります。経営層や人事担当者は、単に施設基準を満たすための事務作業にとどまらず、これを機に自院の給与体系や労務環境を根本から見直すことが求められます。
医師にとって「働きやすく、正当に評価される病院」であるための制度設計と、外部ソリューションを活用した業務負担の軽減を両輪で進め、持続可能な地域医療提供体制の構築を目指していきましょう。
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ
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