更新日:
2026/5/15

最新情報を発信中!
専門家によるセミナーを毎日公開!
セミナー一覧
keyboard_arrow_right※本記事は、医療法等の一部を改正する法律(令和7年法律第87号、令和7年12月12日公布)第30条の18の6および健康保険法第68条の2(条文掲載:中医協 総会(令和7年12月24日))、ならびに第123回社会保障審議会医療部会(令和8年1月19日)資料1-2「医師偏在対策について」、社会保障審議会医療部会・関連検討会ページ(第8回 地域医療構想及び医療計画等に関する検討会 資料2を含む)を基に、ドクターズプライムワーク編集部が独自に編集したものです。
近年、都市部を中心に、一定の経験を積んだ中堅医師が病院を退職し、無床診療所を開業するケースが後を絶ちません。地域の急性期医療を最前線で支える総合病院にとって、働き盛りである医師の流出は、救急受け入れ体制や病棟管理の維持において非常に深刻な脅威となっています。
医師が病院を離れる大きな要因として、「過酷な労働環境」が挙げられます。特に、頻回な救急当直や時間外労働による身体的・精神的な負担は重く、ワークライフバランスを求めて開業という選択肢を取る医師は少なくありません。結果として、残された勤務医にさらに負担が集中するという悪循環に陥っている病院も多く存在します。
しかし、こうした都市部での安易な開業に歯止めをかける新たな制度が動き出しています。
(※本記事の結論:外来医師偏在指標が高い「外来医師過多区域」において、新規開業に対するハードルが大幅に引き上げられ、地域の救急や在宅医療への貢献を義務付ける実質的な「開業規制」が開始されます。)
厚生労働省の資料によると、制度変更の具体的なルールやペナルティとして以下の要点が示されています。

改正後の医療法(第30条の18の6 第3項、令和8年4月1日施行)により、外来医師過多区域に指定された地域で診療所を新規開設しようとする者は、やむを得ない場合を除き、開業日の6か月前までに、地域外来医療の提供に関する意向等を都道府県に届け出ることが義務付けられます。届出内容を踏まえ、都道府県は外来医療の協議の場への参加と、地域で不足する医療機能の提供を要請できます。
地域で不足する医療機能の提供要請
地域の外来医療の協議の場における協議内容を踏まえ、地域で不足している医療機能(夜間や休日等における地域の初期救急医療、在宅医療、公衆衛生等)の提供や、医師不足地域での医療の提供(土日の代替医師としての従事等)が要請されます 。
正当な理由なく要請に従わない医療機関に対しては、都道府県医療審議会での理由等の説明の求めや勧告、さらには医療機関名等の公表が行われます 。

要請に応じなかった場合、勧告を受けた場合、または勧告に従わなかった場合には、厚生労働大臣の判断により、保険医療機関の指定に通常の6年ではなく3年以内の期限を付すことができることとされています(健康保険法第68条の2/令和8年4月1日施行)。再指定時にも従わない状態が続く場合は、さらに短い期限(3年以内)の再指定が想定されています。
出典:令和8年3月9日 第125回社会保障審議会医療部会 資料1 医師確保計画の見直し等に関する参考資料
📌 編集部ピックアップ
医療経営の専門家は、診療所開業を取り巻く環境について「本年度の改定は戦略なき開業を淘汰する改定だ」と指摘しています。一方で、「病院が問われているのは地域の医療サイクルをどう設計するかという役割だ」とも述べており、病院が開業を育てる視点で若手の独立を戦略的に支援し、将来の紹介ネットワークを構築することが重要になると提言しています。
このような実質的な「開業規制」は、現場の医師のキャリアパスにどのような影響を与えるのでしょうか。
これまでのように、「当直が辛いから都市部で日勤のみの診療所を開業しよう」という安易な選択は非常に困難になります。開業にあたって夜間・休日の救急対応や在宅医療を担う必要があり、それに従わなければ保険診療の基盤に関わるペナルティを受けるリスクがあるためです。
結果として、一定数の医師が開業を踏みとどまり、「病院勤務を継続する」という道を選ぶことが強く予想されます。病院の経営層や人事責任者にとって、この動向は非常にポジティブな変化であり、長年の課題であった「優秀な勤務医の引き留め(リテンション)」と「新たな医師の採用」を強化する絶好の好機となります。
ただし、ただ待っているだけで医師が定着するわけではありません。勤務継続を選ぶ医師たちのニーズを的確に捉えた労働環境の提供が不可欠となります。
📌 編集部ピックアップ
医療マーケティングの専門家は、「マーケティング戦略がない病院には医師も集まらない」と指摘しています。2040年問題は患者の奪い合いだけでなくスタッフの奪い合いという二重苦となり、医療マーケティングの本質はバリューとポジショニングにあると強調。DPCデータで地域の疾患分担状況を分析し、「自分たちが何者か、みたいなところまで語れた方がいい」と戦略的な自院のブランディングの重要性を説いています。
病院勤務を望む、あるいは継続を検討する医師が最も重視する条件は「働きやすさ」です。とりわけ「当直業務の免除」や「夜間・休日の負担軽減」は、勤務先を選ぶ上での強力な決定打となります。
では、地域の救急医療体制を維持しながら、常勤医の当直負担をいかにして軽減すべきでしょうか。ここで経営層の皆様に推奨したい具体的なアクションが、外部ソリューションを活用した救急当直のアウトソーシングと体制の抜本的な改善です。
ドクターズプライムワークのソリューションを活用し、夜間や休日の救急当直を質の高い外部医師に委託することで、常勤医の当直負担を大幅に削減することが可能になります。これにより、経営陣としては「当直負担が少なく、ワークライフバランスを保てる働きやすい急性期病院」として自院を強力にリブランディングすることができます。結果として、既存の勤務医の離職を防ぐだけでなく、新たな優秀な医師を採用する際の圧倒的な強みへと変換できるのです。
📌 編集部ピックアップ
ある地方の中規模病院では、医局に負担をかけない共存戦略を採用しています。当直やスポット業務を外部でカバーすることで医局との本流関係を維持し、稼働率90%超・地域2次救急の3割を担当。「負荷の高い業務を外部でカバーし、医局に無理な相談をせずに済み本流の関係性を維持できる」という戦略的なアプローチで、医師確保と地域医療の両立を実現しています。
外来医師過多区域における開業ハードルの引き上げは、総合病院における医師採用・定着の潮目を大きく変える転換点です。制度変更を単なる外部環境の変化と捉えるのではなく、自院の強みを作るチャンスとして活かすことが求められます。
経営層の皆様には、この機を逃さず、ドクターズプライムのソリューション等を用いた「働きやすい病院づくり」に向けて、明日から具体的な体制見直しの一歩を踏み出されることを強くお勧めいたします。
執筆・編集・監修
執筆・編集:ドクターズプライムワーク編集部
「救急車のたらい回しをゼロにする」をビジョンに、100病院を超える支援実績を持つ救急改善プラットフォーム「ドクターズプライムワーク」を運営しています。現状を可視化する「データ分析」と、病院が主体となって医師を確保できる「採用プラットフォーム」を一体で提供し、「自分らしく選べる医療をすべての人に」届けるための基盤を構築しています。 当編集部では、医療機関の変革に伴走する中で得られた現場特有の課題や解決のヒントを整理し、病院運営の質を高める有益な情報を発信しています。
監修:田 真茂(株式会社ドクターズプライム 代表取締役・医師)
聖路加国際病院救命救急センターで当直帯責任者を務めた後、2017年に株式会社ドクターズプライムを創業。詳細プロフィールは、会社紹介ページの監修・運営者情報をご覧ください。
参考情報:厚生労働省、消防庁、中医協、四病協資料、自社実績データ
FAQ



メソッドをもっと見る
keyboard_arrow_right先月は21件お問い合わせがありました
「救急を断らない」を実現する独自メソッドとサービスの全貌。貴院の変革を支える具体的な仕組みを凝縮した、公式資料です。
些細な疑問から、組織の構造変革のご相談まで。まずは対話から始めませんか? 私たちは「チームメイト」としてここにいます。
現場で生まれた成功事例から、持続可能な組織づくりのノウハウまで。変化を恐れない医療従事者・経営者へ送る、価値ある情報を定期配信します。